スポーツ保険ってどんな保険?

2019年2月20日

5年ごとに政府が調査している「社会生活基本調査(2016年度)」によると、健康志向の高まりなどの影響で10歳以上が散歩・ウォーキングや軽い体操までを含めると対象人口約1.1億人に対して0.8億人(約7割)が何らかの運動・スポーツをしています。散歩・ウォーキングや軽い体操ではケガをする可能性は低いかもしれませんが、体を動かす野球、サッカー、テニスなどではケガをすることが多くなります。最悪の場合は死亡する可能性も考えられます。また、高齢になると軽い運動でもケガ・死亡のリスクが高くなるので万が一に備える必要があります。そこで、主にスポーツや軽い運動をしているときの事故による損害や賠償責任に対して補償が受けられるスポーツ保険について紹介します。

第一章 スポーツ保険って何?

1.スポーツ保険ってどんな保険?

スポーツ保険とは、主にスポーツ活動中のケガや死亡に対する補償が受けられる保険です。大きく分けると団体でしか加入ができない保険と個人でも加入できる保険に分かれます。

2.団体加入と個人加入のスポーツ保険の違い

団体として加入するスポーツ保険は、公益財団法人スポーツ安全協会が扱う保険が最も一般的です。このスポーツ保険には、個人がスポーツ団体や文化活動団体などの団体に加入すると、その団体の運営者が加入していることも多く、その場合は個人での加入は不要です。運営者が加入していないときは、4名以上のアマチュアの団体・グループであれば、同財団法人に申請することで全員が加入できます。

一方、個人で加入できるスポーツ保険には、スポーツ単位や1日単位で加入できる保険などさまざまな選択肢があります。基本は個人での加入ですが、団体で行うときは代表者が保険契約者となって参加者の万が一に備えるなどの団体加入と同じような契約形態を検討できる保険もあります。公益財団法人スポーツ安全協会に加入できない団体、団体ではなく個人で行うスポーツ、あるいは1日だけの補償に備えたいときに利用できます。

3.団体加入のスポーツ保険の補償範囲と保険料・補償額

スポーツ保険の補償範囲は、団体・グループでの活動中だけではなく、活動への往復中の事故に対しても、以下の4つの補償を受けられます。なお、以下の補償の概要、補償額、保険料は公益財団法人スポーツ安全協会の「スポーツ安全保険」の内容です。その補償内容や補償額、およびその適用条件などの詳細は変更される可能性があります。詳細は同財団法人のホームページで確認してください。なお、「スポーツ安全保険」では、団体でのスポーツ活動中の事故だけでなく、絵画、音楽、料理などの文化活動、地域の清掃、緑化運動、交通整理などの地域活動・ボランティア活動中の不慮の事故に対する補償も受けられます。

3-1 傷害・死亡に対する補償の概要

急激で偶然、突発的な事故により生じたケガ、死亡、後遺障害、入院、手術、通院に関する費用に対して補償を受けられます。夏場に起きやすく近年増加している熱中症、あるいは細菌性・ウイルス性食中毒による治療費も補償の対象に含まれます。

補償額は、最大で死亡時2,100万円、後遺障害時3,150万円、入院1日あたり5,000円、通院1日あたり2,000円です。

3-2 賠償責任により生じた費用に対する補償の概要

他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりすることで生じる法律上の損害賠償責任による賠償金に対して補償を受けられます。

補償額は、対人・対物賠償の合算で1事故について最大5億500万円、ただし、対人賠償は1人最大1億500万円です。

3-3 突然死葬祭費用に対する補償の概要

急性心不全、脳内出血などによる突然の死亡に対して、親族が負担した葬祭費用の補償を受けられます。

補償額は180万円を限度とした実費です。

3-4.保険料

保険料は、原則中学生以下か高校生以上、スポーツ活動かそれ以外の活動か、スポーツ活動のなかで危険度が高いかなどで異なり、危険なスポーツ活動を除くと最低年額800円から最高年額1,850円です。危険なスポーツに対する保険料は年額1万1,000円です。危険なスポーツには、山岳登はん、アメリカンフットボール、ボブスレー、スカイダイビングなどが含まれます。

4.個人加入のスポーツ保険

4-1 個人加入のスポーツ保険の種類と補償範囲の概要

1人でも加入できる個人加入スポーツ保険は、各社からいろいろな保険が提供されています。例えば、「ミズノスポーツ保険」「ちょこっと保険スポーツプラン」「1DAYレジャー保険」「ケガの保険 日常の事故」「スポーツジョイエ(ジョイエ傷害保険スポーツ向けプラン)」など多数あります。保険料は月額で数百円から補償内容によって数千円まであります。スポーツ中のケガや死亡に対する補償だけでなく以下のような補償も受けられるのが一般的です。補償金額は保険料や補償範囲によって異なります。

  • 日常生活、例えば階段で転倒、散歩中に自転車とぶつかったケガの治療費用などの補償
  • 旅行中にカメラやバッグなどを盗まれるなど携行品の損害補償
  • 過失で人をケガさせたり、人の財産に損害を与えたりしたときの法律上の個人賠償責任に対する補償

4-2 個人加入のスポーツ保険に加入するときの注意点

スポーツ保険は、スポーツをしているときに起きた事故による補償だけでなく日常生活で起こる事故に対しても補償されます。逆にスポーツ保険以外の傷害保険も、スポーツに関連した事故に対して補償されます。そのため、他の傷害保険に加入しているときにスポーツ保険に加入すると補償が重複します。新たにスポーツ保険に加入するときは、それぞれの保険の補償内容を確認してから加入しないと保険料が無駄になる可能性があります。

重複を検討するときには、スポーツ保険としてスポーツ中の事故の補償を前面に出している保険は、一般的に以下の特徴があります。これらの特徴が加入済みの傷害保険や医療保険でカバーされていないか、カバーされていても不足かどうかを十分検討することで無駄をなくせます。

  • 事故による入院・通院で発生した費用に対して1日目から補償
  • 入院・通院の1日あたりの補償額が定額
  • 損害賠償の保険金額が大きい

第二章 ゴルファー保険とは

スポーツ全般ではなく、特定のスポーツをしているときのさまざまな事故に備える保険として、ゴルファー保険があります。多くのスポーツのなかでゴルフ中のリスクのみに備える保険があるのは、中高年齢者が多く行うスポーツであること、用具が高価であること、およびホールインワン・アルバトロスを達成するとお祝いの費用が発生するなどの理由からと思われます。通常のスポーツ保険は国内での事故に対する補償、ゴルファー保険は一部の補償を除き海外での事故に対する補償も一般的に受けられます。保険料は、月額、あるいは1回(日帰り、1泊2日、2泊3日、3泊4日)あたり数百円からです。

第三章 ゴルファー保険の余談

ゴルファーの誰もが一度は実現したいと思うのがホールインワンです。しかし、近年は、あまり多額の費用をかけないようになってきているようですが、ホールインワンを達成すると「祝賀会の費用」「同伴キャディなどへのチップ(祝儀)」「ゴルフコースへの記念植樹費用」「贈呈用記念品購入費用」など数十万の費用がかかるので、うれしい反面、費用負担を考えると喜んでばかりいられません。このような費用を負担するスポーツ保険がないことからスポーツ保険のなかでゴルフに限定したゴルファー保険が生まれたと思われます。

実は、このホールインワンを達成して祝う習慣は海外にはあまりない日本独特の習慣のようです。なぜ、お祝いをしてもらうべき人が、逆に多額の費用をかけて人をもてなす習慣ができたのでしょうか? はっきりとしたことは不明ですが、似たようなこととして昔から日本では、家を新築するとき、餅やお金を屋根の上からバラまく習慣があります。このような文化的な背景から、あるお金持ちがホールインワンをしたときに派手に大盤振る舞いをしたことが徐々に広まって、その後ホールインワンを達成すると、しなければならないものとして定着したのではないかと推測されています。

まとめ

激しいスポーツ、軽度な運動を問わず事故は起こる可能性があります。万が一に備えることは重要なことから、スポーツ保険の補償内容、保険料、および加入検討時の注意点などについて紹介しました。思いがけない事故が起こる可能性のあるスポーツを、安心して楽しめるように、スポーツ保険の無駄が生じないように検討してください。

 

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