リモートワーク(テレワーク、在宅勤務)で健康を保つための方法
新型コロナウイルスの感染拡大を防止する目的の1つとして、2020年の春に多くの企業がリモートワークを導入しました。リモートワークは、引き続き感染予防対策として新しい生活様式がこれからも求められることから着実に定着・増加していくと考えられます。リモートワークには労使双方にメリットがありますが、一方でデメリットもあります。ここでは、デメリットのなかの1つ、健康問題に注目してリモートワークではどのような健康上の問題が生じるのか、その問題の対策はどうすればよいのかについて紹介します。
第一章 働き方改革と新型コロナウイルスにより急増したリモートワーカーの推測人数
働き方改革は、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少から生じる人手不足対策や、育児や介護との両立などを図るため場所や時間にとらわれない働き方をしたいというニーズの多様化に応えるべく2019年に厚生労働省が提唱しました。このリモートワークを含む働き方改革については、大企業のみならず中小企業も積極的に取り組んでいることが、株式会社ココナラが緊急事態宣言前の2020年3月に中小企業に対して行ったアンケート調査で分かっています。調査結果によると複数回答で約4割の企業がリモートワークを推進しています。ただし、調査時期が3月のため、働き方改革以外に新型コロナウイルス対策も含まれていると考えられます。
その後、新型コロナウイルスによる感染拡大を防止するために政府は2020年4月7日に7都府県に対して、その後4月16日に全都道府県に対して緊急事態を宣言しました。7都府県への緊急事態宣言後にリモートワークがどのくらい増加したかについては、4月10日から12日にかけて株式会社パーソル総合研究所が調査した結果で分かります。調査は、企業に対してではなく全国の従業員人数10人以上の企業で働く20~59歳の男女の正規社員に対して行われました。同社は、緊急事態宣言前にも同じ調査を実施しており、比較した値は以下のとおりです。全国平均の値は、4月16日以降に調査されていれば、もっと大きな数字になっていたと推測されます。
正規社員がリモートワークしている率
7都道府県緊急事態宣言後 | 緊急事態宣言前(3月中旬) | 増加率 | |
全国平均 | 27.9% | 13.2% | 211.3% |
*4月7日に緊急事態が宣言された地域(7都府県)に限ると38.8%に、東京都のみに限定すると49.1%に急増しています。なお、同社によると27.9%の数値を国勢調査に基づいて簡易推計すると、全国の正規社員でリモートワークをしている人数は、約400万人増加して760万人に達するとしています。
第二章 リモートワーカーが抱える不安・課題
リモートワークには、「通勤時間が短縮できる」「生産性を向上できる」「場所や時間の制約を受けない多様な働き方ができる」「優秀な人材を確保できる」「コスト削減につながる」など労使双方にメリットがあります。一方、デメリットとしては、「コミュニケーションが取りにくい」「自己管理がしにくい」「サービス残業が増える・働く時間が多くなる」「正当に評価されるか不安である」「主にIT端末を使える仕事のみである」「運動不足になる」「働きすぎる可能性がある」「情報漏えいの危険が高くなる」「労働実態の把握が難しい」「人材育成がしにくい」「組織的な仕事がしにくい・チーム力が低下する」「リモートワーク導入の経費がかかる」などがあります。
リモートワーカーが感じる不安・課題としては、株式会社パーソル総合研究所の調査結果 で、以下の項目があがっています。
- 運動不足(73.6%)
- リモートワークでは不可能な仕事もある(60.2%)
- プリンターなどの必要機器がない(47.8%)
- 相手の気持ちが分かりにくい(37.4%)
- 仕事をしていないと思われる(28.4%)
- 出社する同僚の業務負担が増加する(26.4%)
- 労働時間が長くなる(21.0%)
上記結果からリモートワーカーの多くが運動不足について気にしています。運動不足は、自己管理で解消しないと生活習慣病などの健康リスクが高くなっていきます。
第三章 リモートワークで健康を保つために必要なこと
1.リモートワークを行うときの作業環境に関する留意事項
リモートワークを行う環境について、厚生労働省はガイドライン を設けています。自宅の環境を変更することは簡単ではありませんが、できるだけ以下の環境になるようにして仕事をしましょう。不適当な環境での長時間・長期間の作業は健康面で問題が生じるリスクが高まります。
ガイドラインが示す作業環境
部屋 | ・パソコンなどの設備の容積を除き、10平方m以上の空間
・窓などで換気できる |
照明 | ・机上は照度300ルクス以上 |
窓 | ・パソコンのディスプレイに太陽光が入射しないようにカーテンなどを設ける |
机 | ・必要なものが配置できる広さがある
・作業中に脚が窮屈にならない空間がある ・体に合った高さがあること、または高さの調整ができる |
イス | ・安定していて、簡単に移動できる
・座面の高さを調整できる ・傾きを調整できて背もたれと肘掛けがある |
室温・湿度 | ・室温17℃~28℃、相対湿度40%~70%にするように努める
・エアコンの気流は0.5m/秒以下で直接、継続してあたらない |
パソコン | ・ディスプレイの照度は500ルクス以下で、輝度やコントラストが調整できる
・キーボードとディスプレイは分離して位置を調整できる ・操作しやすいマウスを使う |
その他
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・イスには深く腰かけ、背もたれに背を十分にあて、足裏全体が床に接した姿勢ができる
・ディスプレイと約40cm以上の視距離を確保して作業する ・情報機器(パソコンなど)を使用する業務が過度に長時間にならないようにする |
(引用:厚生労働省『テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン』)
2.リモートワークで健康を保つために留意したいこと
健康を保つために一般的に必要な「規則正しい生活(適切な睡眠、栄養バランスのよい食事、適度な運動)」などについては、ここでは省略します。健康を保つ一般的な生活は、新型コロナウイルスやその他の病気の対策にもなる免疫力を高めるための生活に含まれることから、『免疫力を高めてコロナウイルスをはじめとした病気から体を守りましょう』の記事を参考にしてください。
以下に、リモートワークを自宅でするときに留意したいことを紹介します。基本的には自分なりのリモートワークのメリットを見つけて、メリットを伸ばすためにどうすればよいかを考えて実践すること。および、自律的に仕事をすることが求められることから、計画を立てて仕事をする癖を身につけることも重要です。
- 適度なタイミングで気分転換する(外に出て新鮮な空気を吸う、短い時間でも軽い運動をするなど)
- 事務所ではしにくい間食が簡単にできるので食べすぎないようにする
- 長時間のパソコン使用による目の疲労や手指、肘、肩、首の痛みがでないようにする
- 子どもなど同居家族によって集中力をなくすことなどの、ストレスを強めないように配慮する
- 今までと異なる環境のため、ストレスが生じないようにする
- リモートワークという働き方のメリットを生かせる考え方をしてストレスがたまらないようにする
第四章 まとめ
新型コロナウイルス対策で急速に増加したリモートワークは、今後も徐々に浸透していく可能性があります。そのため、リモートワークをまだ行っていない人もこれから必要になる可能性があるため、心身の両面で健康に仕事をこなせるようにすること、あるいは備えることが重要です。そして、どんなに備えても完全に病気やストレスなどを避けることは困難なため、万が一に備えて共済へ加入して金銭面での不安を軽くしておくことをおすすめします。
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