温暖化なのになぜ厳冬?今季の寒さはどうなるの?

地球温暖化の問題が大きくなる一方で、ここ数年、冬季は厳しい寒さに見舞われ、雪による大きな被害が起きています。地球温暖化が進行しているのに寒さが厳しくなる理由、豪雪で生じる雪害の事例、雪害対策、および今季の寒さの予報について紹介します。

第一章 地球温暖化が進行しているのになぜ寒さが厳しく豪雪が起きるのか?

1.地球温暖化の進行で 地球に与える悪影響

地球温暖化が進行すると地球の温度が上がっていくことに間違いはありません。IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:国連気候変動に関する政府間パネル)の報告書では、有効策をとらずにこのまま地球温暖化が進むと、今世紀末には地球の平均気温が最大で4.8℃上昇すると予測されています。

もし、温暖化の進行を止められないと、以下のような問題が起きると考えられています。

  1. 海水の熱膨張、および南極や北極圏の氷河が解けることで、今世紀末には海面が最大82cm上昇。国土の一部が水面下に沈み、津波や高潮などの水害に見舞われる可能性が高くなる。
  2. 絶滅の危機にさらされる生物が増加する。
  3. 熱帯ではない国・地域でも熱帯感染症が発生する。
  4. 降雨パターンが大きく変わることで内陸部では乾燥化が進み、熱帯地域で台風、ハリケーン、サイクロンといった熱帯低気圧の脅威が増大し、洪水や高潮などの被害が多くなる。
  5. 病害虫の増加で穀物生産が大幅に減少し、世界的に深刻な食糧難を招く恐れがある。

2.地球温暖化で冬季の寒さが厳しくなる理由

地球温暖化で地球の平均気温が上がると予測されているのに冬季の寒さが厳しくなるのは矛盾しているように思えます。しかし、そもそも地球温暖化とは「地球全体の平均気温が均等に上がっていくことを言うのではなく、平均気温の上昇で従来の気候システムが変化し、予期せぬ異常気象が増える可能性が大きくなる」ことを意味しています。そのため、寒冷化や酷暑化が局地的に発生することは地球温暖化がもたらす現象の1つであって、地球温暖化に矛盾しているわけではありません。

そのなかで、日本を含む北半球で冬季に厳しい寒冷化が起きるのは、以下の理由によると考えられています。

1.北極の海氷面積の減少による偏西風の蛇行

温暖化で北極の氷が減少しています。氷は白くて太陽光をよく反射するため、その氷が少なくなると海の水のほうが熱を吸収しやすいため海水の温度が上昇。また、氷は海水から大気への熱の移動を遮断する断熱材の働きがあるため、氷の面積が減ると海水から大気への熱放出が増えて北極の気温がさらに上昇。これにより北極の上空で気圧が高くなります。その結果、偏西風によるジェット気流が従来に比べて南に蛇行し、強い寒気が中国大陸から日本列島に流れてきて厳しい寒さをもたらします。

2.海洋における深層循環の変化・一時停止

海洋の表層と深層との間で水温と塩分濃度の差があることから、約1,000年という非常にゆっくりとした流れで循環しています。つまり、海水は海流の流れとは別に、深いところにある海水と浅いところにある海水とがゆっくりと循環する流れを作っています。この循環が、地球温暖化やその他のさまざまな要因で変化することで、深層にある冷たい海水と表層の温かい海水の循環が変化して気候変動をもたらします。IPCCは報告書で深層循環の速度が遅くなったり、場合によっては停止したりする可能性を指摘しています。この場合、赤道付近はますます暑く、高緯度地域はより寒くなりかねません。

3.ラニーニャ現象の発生

ラニーニャ現象の発生した冬は寒くなる傾向があります。ラニーニャ現象とは、太平洋の赤道エリアの日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く現象のことです。逆に、同じ海域の海面水温が平年より高い状態が続く現象はエルニーニョ現象と呼ばれます。それぞれ数年おきに発生し、日本を含み世界中で異常気候をもたらす原因になっていると考えられています。エルニーニョ現象が冬季に発生すると暖冬になる傾向があります。なお、ラニーニャ現象・エルニーニョ現象が地球温暖化で頻発するのか、および気候変動の規模が大きくなるかについては研究者の間で意見が一致していません。地球温暖化の影響の可能性があるという調査結果がある一方、地球温暖化の影響ではないという調査結果も出されています。

2001年以降にラニーニャ現象が冬季に発生したのは5回で、そのとき、日本の12月から2月の平均気温は5回中の4回が平年よりも低くなりました。特に2005年から2006年の冬と、2017年から2018年の冬は気温が全国的に平年よりも大きく低下。2017年から2018年の冬は西日本に32年ぶりという記録的な寒さをもたらしました。そのラニーニャ現象を気象庁は2021年11月に確認したと発表。そのため、2021年から2022年の冬の寒さは厳しくなることが予想されます。

第二章 豪雪などによる被害状況

厳しい寒さの冬になると雪の多い地域では豪雪などによる大きな被害が発生します。どのような被害が出るのかについて、まだ記憶に新しい2021年1月に起きた大雪による被害について紹介します。

この年は前年の12月14日から21日にかけて強い冬型の気圧配置が続き、この影響で北日本から西日本の日本海側を中心に断続的に雪が降り、全国的に広い範囲で大きな被害をもたらしました。さらに年が明けた1月7日から8日朝にかけては低気圧が急速に発達。日本の上空に強い寒気が流れ込んで11日まで強い冬型の気圧配置が続き、豪雪や観測史上における最大風速を記録するなど北日本から西日本にかけて広範囲に大雪・暴風の被害が出ました。豪雪によって「停電」「断水」「交通障害」「人や車の転倒・スリップ事故」「家屋や施設の設備の倒壊・破損」「雪崩」「除雪中の人身事故」「雪解け水による被害」などさまざまな被害が生じます。これらの被害は、大きく人的被害、物的被害、社会・公共インフラに分かれます。

1.人的被害

2020年の12月から2021年2月28日までの期間における死傷者数は以下のとおりです。
(2021年3月15日 17時 消防庁発表のデータ)

死傷者数

死亡者 105人
負傷者(重傷者) 649人
負傷者(軽症者) 999人
負傷者計 1,648人

死亡者の年齢・状況

65歳以上が全体の83%、除雪中が全体の86%です。65歳以上の高齢者が除雪作業をするときは細心の注意が必要です。

状況

65歳未満 65歳以上

雪崩 1人 1人 2人
屋根の雪下ろしなど除雪中 15人 80人 95人
落雷 2人 6人 8人
その他 1人 4人 5人
19人 91人 110人

2.物的被害

2021年1月7日から2月22日までの期間における物的被害の状況は以下のとおりです。
(2021年2月22日 15時 内閣府発表のデータ)

一般住居の被害

全壊 半壊 一部損壊 床上浸水 床下浸水
1 2 297 2 18 320

公共施設の被害

高校、文化施設、文化財など91の施設に屋根、庇(ひさし)の一部破損や倒木の被害が発生。

農林水産物の被害

調査中を除き、施設、設備、農作物などの被害額は計119.5億円。

3.社会的インフラの被害

主な被害は以下のとおりです。

  • 電気ガス水道のライフラインは、停電が東北電力管内において最大7万5,870戸、北陸電力管内において最大約4,030戸発生。水道の断水が東北、北陸、中部、四国、中国、九州地方などで最大1万6,235戸発生。
  • 積雪や倒木による村落の一時孤立が3県で計258世帯発生、またスキー客280人が孤立。
  • 高速道路や国道の通行止めはなし。ただし、大規模な渋滞の発生や雪による立ち往生に対する救急支援が発生。
  • 公共航空便の欠航が計541便発生、その他にも鉄道やバスの運休が各地で発生。

第三章 雪害の対策

雪の多い地域では、主に除雪中の事故が多く、また人命に関わることから最も注意が必要です。雪の少ない地域でも凍結による転倒事故や車のスリップ事故が多発するので大きなケガをしないように対策が必要です。そこで、除雪中の事故防止対策と凍結による転倒・スリップ事故防止対策について紹介します。

1.除雪中の事故の対策

落雪などによるケガや家屋の倒壊を防止するには定期的に除雪作業を行います。雪害で一番多い被害は除雪作業中の事故のため、除雪するときには天候や作業環境をよく確認しなければなりません。特に、よく晴れた日の雪下ろしは雪解けによって足を滑らせて転落すると、大きなケガをする危険性が高くなります。また、雪下ろしが長時間になり疲労や寒さから心筋梗塞などの発作が起きると死に至る危険性があります。そのため、よく晴れた日を避け、事故の防止と事故を早期発見するために、2人以上で作業をし、また万が一に転落してもケガを軽減できるように屋根の下などには雪を少しだけ残しておきます。

2.凍結による転倒・スリップ対策

一番いいのは、凍結しそうなときや大雪のときにはなるべく外出しないことです。大雪や雨の後に気温が下がるようなときは不要不急の外出はできるだけ避けます。どうしても外出しなければならない場合は、屋根の下など落雪の危険性のある場所を避け、また両手を自由に使えるようにして転倒時の衝撃を軽減できるようにします。歩行時は、小さな歩幅で靴の裏全体を踏みつけて歩きましょう。靴は靴底がゴムになって滑りにくいものを履いて出かけましょう。また、帽子や手袋をしていると、転倒したときにケガの程度を軽減できます。

車の運転でも外出を避けるのがよいですが、出かけなければならないときは路面に注意し、路面にあった適切なタイヤに交換しましょう。普通のタイヤで運転することは避けます。また、天候の急変や道路の凍結に備えて、防寒着や除雪用スコップ、ジャッキ、タイヤチェーンなどのほか、防水手袋、ぞうきん、新聞紙などを積んで出かけます。凍結した道路ではスタッドレスタイヤや4WDの車でも過信はできません。そのためチェーンは特に寒い日の夜間や早朝の運転時には必要になることがあります。なお、雪によるホワイトアウトの発生時や、滑りやすくて運転が危険なときは無理に運転しないでハザードランプを点灯させ停車して安全が確認できるまで待機しましょう。

3.その他の対策

大雪の多い地方では、雪によってテレビの映りが悪くなったり、映らなくなったりすることがあります。そのためインターネット環境のない家庭ではテレビで災害情報を確認できるように光テレビの導入が可能であれば検討しましょう。また、道路が寸断すると孤立する可能性のある村落では、天気予報を確認して食べ物や飲み物を備蓄しておくことも大切です。なお、雪の少ない地域での雪対策として重複する内容も含まれますが、NHKのホームページの「雪の少ない地域での雪対策 」のページが参考になります。

第四章 まとめ

雪によるケガに備えるためには全国共済の「生命共済」がおすすめです。また、都会では家屋などの建物に被害が出ることは少ないかもしれませんが、冬に多くなる火事、および風水害などの保障も受けられる「新型火災共済」に加入しておくと、万が一のときに安心できるのでおすすめです。

 


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