70歳からの健康保険『高齢受給者証』と『後期高齢者医療制度』について

75歳以上になると『後期高齢者医療制度』の対象となることはよく知られています。しかし、70歳以上になると交付される『高齢受給者証』についてはあまりよく知られていません。『高齢受給者証』は70歳になると、居住地の自治体から自動的に送付されてくる 証明書で、収入の状況などにより医療機関等の窓口での自己負担金の割合が示されています。そこで、『高齢受給者証』について 必要な知識と、202010月より制度が一部改正された『後期高齢者医療制度』についてあわせて紹介します。

第一章 70歳から始まる『高齢受給者証』とは?

高齢受給者証とは、国民健康保険加入者で年齢が70~74歳の後期高齢者医療制度の適用を受けていない人に交付される証明書のことです。70歳になった翌月(1日生まれは当月)から後期高齢者医療制度に加入するまでの間、保険証とあわせて使います。

高齢受給者証は、居住地を管轄する自治体から70歳の誕生月(1日生まれの人は前月)の月末までに郵送されてきます。 毎年8月に更新され、翌年以降75歳未満までの郵送月は、誕生月ではなく毎年7月中です(有効期限は8月1日から翌年の7月31日まで)。70歳以上の人が被保険者となったとき、および70歳以上の人が被扶養者として認定されたときは、その都度交付されます。

高齢受給者証には医療機関で受診したときの一部負担金の割合が記載されています。一部負担金の割合は所得などによって異なり、 1割~3割です。

一部負担金の割合は以下の表のとおりです。対象者が被保険者か被扶養者かによって条件が異なります。

70歳以上の被保険者

一部負担金の割合

標準報酬月額(注1)が
28万円未満

標準報酬月額が
28万円以上

1割または2割(注2

3

70歳以上の被扶養者

一部負担金の割合

被保険者が70歳未満

被保険者が70歳以上

1割または2

被保険者の報酬月額が28万円未満

被保険者の報酬月額が
28万円以上

1割または2

3

(注1)標準報酬月額とは、被保険者が事業主から受け取る給料などの報酬月額を区分した金額のことです。詳しくは全国保険協会の「標準報酬月額・標準賞与額とは?」を参照してください。
(注2)誕生日が昭和19年4月1日生まれ以前の場合、一部負担金等の軽減特例措置により1割(ただし、75歳以上の被保険者および被扶養者は2割)です。

なお、一部負担金の割合が3割であっても、 該当期間の収入が基準収入額に満たない場合、申請することで、1割または2割負担になる場合があります。 基準収入額とは、単独世帯で年収383万円未満、夫婦2人世帯で年収520万円未満です。申請書の名称は「健康保険高齢受給者基準収入額適用申請書」です。なお、収入の合計は現時点の収入ではなく、前々年(受診する月が9月~12月までのときは前年)のため、注意が必要です。

第二章 75歳以上が加入する『後期高齢者医療制度』とは?

1.後期高齢者医療制度とは

後期高齢者医療制度とは、原則75歳(寝たきりなど一定の条件を満たす場合は65歳)以上で加入しなければならない医療制度のことです。そのため後期高齢者医療制度の対象者は75歳になると、加入していた医療保険(健康保険組合、国民健康保険など)から脱退しなければなりません。会社勤務などで健康保険組合に加入していた人が後期高齢者医療制度に加入すると、その人の扶養家族で75歳未満の配偶者は、国民健康保険に加入する手続きが必要です。その理由は後期高齢者医療制度には扶養という概念がないためです。

後期高齢者医療制度の資格は、75歳の誕生日当日から発生します。75歳の誕生日を迎えると、これまで加入していた医療保険(健康保険組合、国民健康保険など)から自動的に後期高齢者医療制度に加入することになります。なお、65歳以上74歳以下で、寝たきりなど一定の障害があると認定された人の資格取得は、条件を満たしていると認定された日からです。

2.医療費の自己負担割合

後期高齢者の窓口での医療費の自己負担割合は、2022年9月30日までは、原則1割負担で現役並みの所得者が3割負担の2区分でした。しかし、同年10月1日以降は、原則1割負担、一定以上の所得者は2割負担、現役並みの所得者は3割負担の3区分に変更になりました。

2-1 自己負担割合が3割になる条件

現役並み所得があるとして3割負担となるのは、同じ世帯の被保険者のなかに住民税課税所得145万円以上の人がいる場合です。

2-2 自己負担金が2割になる条件

一定以上の所得があるとして2割負担となるのは以下の(1)(2)の条件の両方を満たす場合です。

(1)同じ世帯の被保険者のなかに課税所得が28万円以上、145万円未満の人がいる。
(2)同じ世帯の被保険者の「年金収入+その他の合計所得金額」が、被保険者1人の場合200万円以上、2人以上の場合、その合計額が320万円以上であるとき。

  • 「年金収入」とは、公的年金控除などを控除する前の公的年金等の収入金額です。収入に遺族年金や障害年金は含まれません。
  • 「その他の合計所得金額」とは、合計所得金額から公的年金などにかかる雑所得を控除した後の金額です。なお、合計所得の金額は「給与所得は給与所得控除後さらに10万円を控除した額」、「長期(短期)譲渡所得は特別控除ができるときは、その額を控除した額」です。

※ 新たに2割負担になる人への負担軽減(配慮措置)

10月からの区分変更により自己負担割合が1割から2割になった人の負担軽減(配慮措置)のため、医療機関の窓口で支払う自己負担の増加額が1ヵ月あたり3,000円までに抑えられます。 同一月内に同じ医療機関で受診した場合は上限額以上を窓口で支払う必要はありません。複数の医療機関を受診し上限額を上回って支払った金額は高額療養費として、登録している金融機関口座に払い戻されます。ただし、負担軽減(配慮措置)ができる期間は2022年10月1日から2025年9月30日までの3年間です。また、外来医療のみに適用され、入院医療には適用されません。

新たに2割負担の区分が設けられたのは、自己負担割合を見直すことで現役世代の負担を抑え、国民皆保険を将来も維持していくためです。見直しが必要な理由は以下の2つです。

(1)団塊の世代が75歳以上になり始め、医療費の増大がさらに見込まれること。
(2)後期高齢者の医療費のうち、自己負担を除いて約4割が現役世代の負担(支援金)となっており、今後も拡大していく見通しであること。

2-3 自己負担割合が1割になる条件

上記の3割負担、2割負担に該当しない場合。つまり、同じ世帯の被保険者全員の住民税課税所得が28万円未満の場合。同じ世帯の被保険者のなかに住民税課税所得が28万円以上、145万円未満の人がいても、以下に該当しない場合です。

  • 「年金収入」+「その他の合計所得金額」の合計額が、被保険者1人のとき200万円以上、被保険者が2人以上のとき合計320万円以上

3.後期高齢者医療制度の保険料

後期高齢者医療制度の保険料(2年ごとに見直し)は、都道府県によって異なり、均等割と所得割にわかれます。厚生労働省によると2022・2023年度の全国平均の保険料は以下のとおりです。

  • 1人あたりの保険料額:月額6,472円(年額7万7,663円)
  • 均等割額(年額):4万7,777円
  • 所得割率:9.34%

各都道府県別の月額保険料、均等割額、所得割率は、厚生労働省のホームページで確認できます。当該年度の月額保険料の最低は秋田県の4,097円、最高は東京都の8,737円で、2倍以上の開きがあります。所得割率の最低は岩手県の7.36%、最高は大阪府の11.12%で、約1.5倍の開きがあります。

第三章 『後期高齢者医療制度』はなぜできたのか?

後期高齢者医療制度は、少子・高齢化が一層進行するなか、高齢者の医療費の急増に対処するための制度として、2008年4月に施行された制度です。後期高齢者医療制度は、従来の制度では高齢者の医療費の急増に対して、以下の問題があり、それらを解決するために制度が改正され、施行されました。

従来の医療制度の問題点とは

(1)高齢者の保険料と現役世代の保険料が区分されていないため、世代間の費用負担の関係が不明確。
(2)市町村が実施主体として医療給付を行っているが、運営責任が不明確。
(3)加入する制度や市区町村により、保険料額に大きな格差が存在。

厚生労働省が公表しているデータによると、2015年度の国民一人あたりの医療費の平均は33.3万円です。 しかし高齢者の医療費を見ると、70~74歳で約65万円、75~79歳で約80万円と平均を大きく上回っていて、高齢者の医療費がいかに大きいかが分かります。ちなみに75歳以上の医療費は国民全体の医療費の約3分1(35.8%)を占めています。内閣府の2018年のデータによると、75歳以上の人口が総人口に占める割合は14.2%のため人口比からは全体平均の約2.5倍の医療費を使っています。

75歳以上の後期高齢者の医療費総額が医療費全体に占める構成比は、しばらくはさらに上昇していきます。これらの財源負担は大きな問題であるため、高齢者の医療制度はこれからも見直されていく可能性があります。

第四章 まとめ

長寿は 喜ばしいことです。しかし「人生100年」の超高齢化社会を迎えるにあたって、医療費の負担や人間らしく生きる生きがいが持てるかなど難しい問題が 増加しつつあります。特に高齢になると病気やケガのリスクが高まり、医療制度も自己負担の割合がふえて医療費の問題が大きくなります。手頃な掛け金で始められる全国共済への加入で、可能な限り医療費のリスクに備えるように 検討してみてはいかがでしょうか。

 


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