介護保険制度とは?申請方法や適用されるサービスについて解説

医療技術の進歩や健康志向の強まりで平均寿命が延び、「人生100年」の超高齢化社会を迎えています。寿命の延びは喜ばしいことですが、一方で病気や体力の衰え、認知症の発症などで自立した生活が困難で、介護を受けないと生活していけなくなる高齢者が増加しています。これらの高齢者を社会全体で支える仕組みがないと、「老老介護」や「認認介護」などの社会問題が大きくなり、社会全体の活力が失われる危険性があります。高齢者を支える介護保険制度とは何か、また介護サービスを受けるための申請からの流れ、および利用できる介護サービスについて紹介します。

介護保険は金額を含め、制度について内容が改正されることがあります。以下の制度内容、金額は2022年1月現在です。

(注)「老老介護」とは高齢者が高齢者を介護すること。「認認介護」とは認知症の高齢者が認知症の高齢者を介護すること。

第一章 介護保険制度とは?

1.介護保険制度とは?目的や介護費用の自己負担率

介護保険制度とは、自立した生活が困難になった高齢者を社会全体で支え合う保険制度のことです。その目的は、高齢化と核家族化の進展で家族だけでは高齢者を支えることが難しくなった今日、「老老介護」「認認介護」「介護のための離職」などの社会問題を回避し、高齢者やその家族の老後の不安を解消することです。2000年に創設され、現在では介護を必要とする約600万人以上が利用しています。介護サービス費用の1割(前年度の所得によっては2割~3割)を自己負担することで利用できます。

2.介護保険への加入年齢と保険料の徴収方法

介護保険への加入(保険料の支払い)は、40歳の誕生日の前日が属する月からで、その月から介護保険料が徴収されます。給与所得者で健康保険に加入している場合の介護保険料は、健康保険の保険料と一体で徴収されます。介護保険料は原則、被保険者と事業主がそれぞれ2分の1ずつ負担します。給与所得者ではなく国民健康保険に加入している場合、介護保険料は国民健康保険の保険料と一体で徴収されます。

3.介護保険加入者の種類(第1号被保険者と第2号被保険者の違い)

介護保険の加入者は、65歳以上の第1号被保険者と、40歳から65歳未満の第2号被保険者に分けられます。第1号被保険者は、原因を問わず要介護認定または要支援認定を受けることで介護サービスを利用できます。第2号被保険者は、加齢に伴う特定の疾病が原因で要介護または要支援認定を受けたときに介護サービスを利用できます。特定疾病とは以下の病気です。

  • がん(末期)
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靱帯(じんたい)骨化症
  • 骨折を伴う骨粗しょう症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺(まひ)、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄(きょうさく)症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞(へいそく)性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

4.介護保険証の送付時期

介護保険の保険証は、65歳で第1号被保険者になったときに居住地の市区町村から郵送されてきます。なお、40歳から65歳未満の第2号被保険者に介護保険証は発行されませんが、特定疾病に該当し、介護が必要と認定されたときに発行されます。

第二章 介護保険サービスの申請から利用までの流れ

介護サービスを利用するには、介護認定を受ける必要があります。介護保険サービスを受けるための申請から利用までの流れを紹介します。

1.要介護認定の申請

まず、市区町村の窓口で「要介護(要支援)認定」を申請します。申請時に第1号被保険者は「介護保険の被保険者証」、第2号被保険者は「医療保険の被保険者証」が必要です。

2.認定調査と主治医の意見書作成

申請後、市区町村の職員などの認定調査員が自宅や介護施設などを訪問して、本人や家族から心身の状況について聞き取り調査を行います。調査の内容は全国共通です。また、主治医(かかりつけ医)に医学的見地から心身の状況についての意見書を市区町村が主治医に直接作成を依頼します。主治医がいないときは、市区町村が指定する医師の診察が必要です。意見書の作成費用の自己負担はありません。

3.審査による要介護度の判定

調査結果と主治医意見書の一部の項目はコンピューターに入力され、全国一律の判定方法で要介護度の一次判定が行われます。さらに、一次判定の結果と主治医意見書に基づき、介護認定審査会による要介護度の二次判定が行われます。どのくらいの介護が必要かの要介護度は、介護度の低い方ほうから「要支援1、2」と「要介護1~5」の7段階に分かれています。介護が必要ないと判定されると「非該当」と認定されます。

4.要介護度の認定と通知

市区町村は、介護認定審査会の判定結果に基づき要介護認定の結果を申請者に通知します。申請から認定の通知までは原則30日以内です。要介護度は時間の経過や状況の変化で変動します。そのため要介護度の認定の有効期間は「新規と変更申請」は、原則6カ月(状態に応じて3~12カ月)。「更新申請」は、原則12カ月(状態に応じて3~24カ月)です。有効期間を過ぎると利用できないので有効期間満了までに認定の更新申請が必要です。心身の状態に変化が生じたときは、有効期間の途中でも要介護度の変更申請ができます。

5.介護(介護予防)サービス計画書の作成

要介護度の認定を受けると介護サービスが利用できますが、サービスを受ける前に「介護(介護予防)サービス計画書(ケアプラン)」の作成が必要です。「要支援1または2」の介護予防サービス計画書の作成依頼は地域包括支援センターに相談して作成してもらいます。「要介護1~5」の介護サービス計画書は、介護支援専門員(ケアマネジャー)のいる知事が指定する居宅介護支援事業者へ依頼して作成してもらいます。介護(介護予防)サービス計画書は、どのような介護サービスを、いつ、どれだけ、どう利用するかなどを本人や家族の希望、心身の状態や費用を考慮して作成されます。

6.介護サービスの利用開始

介護(介護予防)サービス計画書が作成されると計画に基づいたサービスが利用できます。なお、介護認定で「非該当」と認定されると介護保険が適用されるサービスの利用はできません。しかし、市区町村は日常生活に支障があり、社会的支援があれば自立した生活が可能な場合、さまざまな介護保険適用外の介護支援サービスを提供しています。「非該当」でも条件を満たせば、有償または無償で利用できます。住んでいる市区町村の窓口、または近くの地域包括支援センターに相談してください。

介護サービスの利用にあたっては利用の上限金額が支給限度額として介護度に応じて決められています。また、支給限度額の対象になる介護サービスと対象外の介護サービスがあります。詳しくは、後述で紹介します。

7.介護サービス利用の上限金額(支給限度額)

介護保険サービスは、1カ月に利用できる上限金額(上限単位)が、介護度の区分に応じて「支給限度額」として決められています。上限を超過してもサービスは利用できますが、超過した金額は全額を自己負担しなければなりません。上限金額内で効果的に介護サービスを利用するためにも介護(介護予防)サービス計画書の作成が重要です。

なお、「支給限度額」は、金額ではなく単位で決められています。単位で決められているのは、人件費に地域差があることや介護サービスごとに人件費の割合を変えて金額に反映させるためです。1単位あたりの単価はサービスごと、地域ごとに10~11.40円の間に設定されています。以下の表では、わかりやすくするために1単位10円の場合で金額を表示しています。1単位あたりの単価は住んでいる市区町村に確認をしてください。

要介護度 支給限度額(単位) 1割負担の場合の自己負担額
要支援1 5万320円( 5,032単位) 5,032円
要支援2 10万5,310円(10,531単位) 1万531円
要介護1 16万7,650円(16,765単位) 1万6,765円
要介護2 19万7,050円(19,705単位) 1万9,705円
要介護3 27万480円(27,048単位) 2万7,048円
要介護4 30万9,380円(30,938単位) 3万938円
要介護5 36万2,170円(36,217単位) 3万6,217円

介護サービス利用金額が高額になった場合、市区町村に申請することで「高額介護サービス費」制度を利用できます。「高額介護サービス費」制度では、収入に応じて定められている下記の利用者負担上限額を超過すると、超過した金額は払い戻されます。

収入区分 負担上限額(月額)
年収約1,160万円(課税所得690万円)以上 140,100円(世帯)
年収約770万円(課税所得380万円)以上

年収約1,160万円(課税所得690万円)未満

93,000円(世帯)
年収約770万円(課税所得380万円)未満 44,400円(世帯)
世帯の全員が市町村民税非課税

*前年の公的年金等収入額
+その他の合計所得金額が80万円以下

24,600円(世帯)
*24,600円(世帯)

*15,000円(個人)

生活保護を受給している世帯など 15,000円(世帯)

(注)負担上限額は一世帯あたりです。一世帯に2人以上の要介護者がいる場合でも利用者負担上限額は変わりません。

高額介護サービス費に該当すると、介護サービスを利用した約3カ月後に市区町村から通知と制度利用の申請書が送付されてきます。申請書に必要事項を記入し市区町村の窓口に提出すれば申請が完了し、一度申請すれば、それ以降は条件に当てはまると自動的に超過額分について支給されます。申請期間は介護サービスを利用した月の翌月1日から2年間です。

第三章 介護保険ではどのようなサービスが受けられる?

1.介護保険で利用できるサービス

介護保険で利用できる介護サービスを厚生労働省は「公表されている介護サービスについて」というページで紹介しています。厚生労働省によると26種類54サービスがありますが、大きく分けると以下の5つの介護サービスを受けられます。詳しくは厚生労働省のページで確認してください。

(1)居宅介護支援

介護サービスの利用にかかる相談、ケアプランの作成などを受けるサービス

(2)自宅で受けられる家事援助などのサービス

掃除・洗濯・買い物・調理などの生活援助、身体介護、訪問看護、訪問リハビリ、居宅療養管理指導などを受けるサービス

(3)施設で受けられるサービス

施設などに出かけて日帰りで受けられる食事・入浴・リハビリなどを受けるサービス

(4)施設などで生活(宿泊)して受けられるサービス

施設などに短期間宿泊、または長期間入居して食事や入浴などの支援や、心身の機能を維持し、向上させるためのリハビリの支援などを受けるサービス。

(5)福祉用具の利用や住宅改修支援のサービス

介護用ベッド、車イスや入浴・排せつ時に利用する機器のレンタルや購入費用の支援。住宅に手すりを付けたり、バリアフリーに改修したりする費用の支援など

2.介護保険適用外のサービス

介護保険適用外のサービスとは、例えば食事を自宅まで届ける「食事宅配サービス」や要介護者本人の利便性の向上に直結しない支援などです。また、介護保険で利用できるサービスの利用にあたって生じた食費、居住費、日常生活費なども介護保険の適用外です。

第四章 まとめ

介護保険の利用でさまざまな介護サービスや支援を受けられます。医療費についても健康保険で一定程度のカバーはできます。しかし、医療費は高齢になるほど健康保険ではカバーできない入院時の食事代や差額ベッド代などが高額になって、家計を圧迫する可能性が高くなります。医療費の負担増に備えて高齢者でも手頃な掛金で加入できる全国共済への加入をおすすめします。


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