「老後2,000万円」問題、本当に必要?

2020年3月24日

長寿命化の進展で人生100年時代を迎え、生活費、健康、住居、介護、家族や地域とのつながり、生きがいなどさまざまな老後生活への不安が拡大しています。特に老後の生活費に対する不安は、健康に対する不安とともに老後の2大不安として他を大きく引き離して多くの国民が不安を感じています。老後の生活費不安については、公的年金だけでは生活費が不足するとして、老後生活に2,000万円が必要という報告書を金融庁が2019年6月に発表して大きな話題となりました。大きなニュースでしたが、改めて「老後2,000万円」問題とは何か、本当に必要なのか、どうすれば準備できるのか、そして生活費のなかに含まれる医療費は、老後の2大不安のうちもう1つ、健康に対する不安にも大きく関連することから、老後に医療費がどのくらい必要になるのか、どう対処すればよいのかについて紹介します。

第一章 そもそも「老後2,000万円」問題とは?

老後の生活資金が2,000万円不足するという金額の算出の前提・根拠、および2,000万円という金額に対する注意点、およびこの問題の本質について紹介します。

1.老後に2,000万円が不足する前提・根拠

2,000万円が不足するのは、夫(65歳)と妻(60歳)の2人世帯でともに無職で、30年後(夫95歳、妻90歳)まで夫婦がと死亡せずに生活するという前提です。不足金額を算出するための根拠となる数値は、総務省の「家計調査(2017年)」における高齢夫婦・無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の平均の生活費です。

総務省のデータによると、毎月の収入と支出の内訳は以下のとおりです。

  • 収入:20.92万円(公的年金などの社会保障給付が19.19万円、その他の収入1.73万円)
  • 支出:26.37万円(食費6.45万円、交通・通信費2.76万円、住居費1.37万円、教養娯楽費・交際費7.89万円など)
  • 差額:▲5.45万円

2.2,000万円が不足する計算式

月5.45万円×12ヵ月×30年=1,962万円(約2,000万円)

3.2,000万円という金額に対する注意点

上記の前提より、2,000万円が不足する世帯は、年金の収入が厚生年金か国民年金かによって、および株式や不動産投資の収入の有無によって大きく変動します。また、支出では、住居費が持ち家か賃貸物件かによっても大きく変動します。支出のうち、食費や光熱・水道費など大きく節約するのが困難なものもありますが、教養娯楽費や交際費など収入に合わせて大きく減らせます。そのため、実際に2,000万円より少なくても済む世帯もあれば、もっと多く必要になる世帯もあります。

2,000万円は現金・預貯金または現金化が容易な株式などの有価証券は金融資産であって、不動産や自動車などの固定資産を含んでいません。ただし、不動産や車であっても好きなタイミングですぐに販売が可能な流通性があって売却価値があれば金融資産と同等と考えても問題はありません。

4.老後2,000万円問題の本質

老後2,000万円問題の本質は、公的年金など国や地方自治体から給付に依存するのではなく、自助(自分の力で困難を切り抜ける)で老後の生活設計をしていくことが必要になったということです。その理由は、長寿命化や収入・金融資産の伸び悩みなどによって、資産が寿命の延びに届かないリスクが高くなっていること、また、2004年に政府が打ち出した「年金100年安心プラン」が公的年金で老後の生活も安心と誤解されている面からも言えます。自助は、政府が打ち出した「年金100年安心プラン」で、「保険料は国民年金で1.69万円(2004年度水準の価格)以上に引き上げをしない」、「モデル世帯の受け取る厚生年金は、現役世代の給料の50%以上を確保」を100年先まで維持する試算が、今後の経済成長(物価と賃金の伸び)と出生率低下による労働人口の問題によっては困難になる可能性があることからも必要です。

第二章 老後資金として2,000万円が必要な場合、どのように準備すればよいのか?

公的年金以外に必要な老後資金は世帯の状況によって大きく変わりますが、2,000万円が必要と仮定した場合、どのような心構えで対処し、準備すればよいのでしょうか?

1.退職金は老後資金として十分?

老後資金の主な原資として、今までは退職金に大きな期待ができました。しかし、その退職金が過去に比べると大きく減少してきています。厚生労働省は、約5年ごとに退職金に関する「就労条件調査」を行っています。それによると大卒・勤続20年以上で45歳以上の定年退職者が受け取る退職金の平均額は、2017年は1,788万円です。15年前の2002年は2,499万円でしたので約700万円減少。さらに、それ以前の1990年代は約3,000万円が一般的でしたから、ピークからは約1,000万円減少しています。退職金の増加はもちろん、減少の歯止めもあまり期待できません。それは、これからの経済成長があまり望めないこと、徐々に終身雇用が前提ではなくなり中途採用者が増加することで退職金の意義が薄くなり、また不公平になることから、さらに減少していく可能性が高いと考えられるからです。

また、かつては給与や退職金に大きな差はありませんでした。しかし、能力主義のもと退職金にも大きな差がつくようになり、場合によっては多くもらえる可能性もありますが、平均を下回るリスクも考えなければならなくなりました。加えて、働き方の多様化のもと非正規社員やフリーランスで働く人が増えて退職金をもらえない人が増加しています。これらのことから、特に現在30代から40代の人は退職金を老後資金として大きな期待をしないで老後資金対策を考えるほうがよいでしょう。

2.老後資金のための資産形成の考え方

老後に必要な資金を金融庁は2,000万円と試算しましたが、それは平均的なモデル世帯の場合で、各世帯によって必要な額は大きく異なります。まずは、現在の収入額、退職金が出る場合は現在の勤務会社の退職金規定を確認してその金額、子どもの教育費、住宅資金など収入と支出の把握が必要です。そのうえで、まず自助による資産形成計画を現役期に立て、次に蓄えた資産を働かなくなる退職時期にどう運用するかを考え、最後に医療費・介護費や老人ホームなどへの入所費が必要となる高齢期について考えます。

現役の時期の大切な考え方は、収入から支出を引いた金額を貯金するのではなく、老後に必要な資金を働ける月数で割って、その金額を収入から引いて、残った金額で生活するという考え方が重要です。前者の考え方では、相当な強い意志を持てない限り、資産は増えていきません。後者の考え方では必要十分な金額に不足することはあっても一定の金額を残せます。現在の収入から、必要な老後資金の準備が不可能な場合は、リスクを抑えた投資、定年後も働ける資格やスキルへの自己投資を検討しなければなりません。

そして、資産形成で最も重要なことは、いずれやるではなく、今からやるという意志でできるだけ早期に計画を実行することです。資産形成に有効で効率的なのは早く始めて多くの時間を活用することです。その理由は、「少ない金額から始められて無理なくかつ複利運用で大きく増やせる」および「運用期間が長いほどリスクを小さくして増やせる」からです。どうしても資金が不足する場合は、投資に依存しなければならなくなりますが、長期間の投資は一般的にリスクを小さくできます。投資では常にプラスを継続するのは困難です。投資先を選び、長期間にわたって継続できれば、トータルの収支をプラスにできる可能性が高まります。

退職期や高齢期は、現役期に比べ収入が大きく減少するため、年金収入で不足する金額を現状の金融資産からどう取り崩していくか、あるいは年金収入以外の収入を検討するなど計画を見直します。

第三章 定年後の医療費についても考える

国民1人あたりの生涯医療費は、いったいいくらで、65歳を定年とした場合、65歳からの医療費はいくらになるのかご存じでしょうか?

厚生労働省が2019年1月に2016年度の医療費の状況をまとめて報告した「医療保険に関する基礎資料」によると、生涯医療費は2,685万円です。この生涯医療費を65歳未満までと65歳以上で分けると、65歳未満が1,126万円に対して65歳以上は1,559万円で、その比率は約4対6となり、65歳以上の医療費がそれまでの医療費を1.5倍近く上回ります。なお、この金額はかかった医療費の総額で、国民1人が自己負担した金額ではありません。医療費の自己負担割合は70歳未満が3割、70歳以上75歳未満は原則2割、75歳以上は原則1割で、さらに自己負担限度額をこえると支給される「高額医療費」制度もあり、実際に負担する金額は生涯で個人差がありますが約500万円です。
高齢者は、医療費の負担割合も低くなりますが、主な収入が公的年金になるので医療費の負担はできるだけ抑えるようにしなければなりません。高齢者に多い病気・ケガの自己負担額(医療費、差額ベッド代、食費を含む)の平均は以下のとおりです。

  • がん:約20万円
  • 脳血管疾患:約85万円
  • 虚血性心疾患:約21万円
  • 骨折:約40万円

※参考:厚生労働省「医療給付実態調査 報告書 平成28年度

第四章 まとめ

医療費のウエートは高齢者では高くなることから、医療費の負担で生活の質が落ちないように備えることが必要です。高齢者の場合、病気以外にもケガによるリスクも大幅に増加します。老後資金へ向けて働けるまで働くという計画をしても働けなくなるリスクに備えるには、健康に注意し、そして万が一に備えて医療費の負担を軽減するために掛け金の安い共済に加入しておくことをおすすめします。共済は幅広い年代に対応しているため、若いときからでもそれぞれのライフステージに合わせて加入できます。


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