『FCP(Family Continuity plan:P家族継続計画)』をご存じですか?

2022年5月25日

近年の大規模災害に対応するためには、事前の準備がなければ大切な人命や財産の保全が十分にできません。そんななか、企業の多くが「BCP(Business continuity plan:事業継続計画)」を策定して大規模な災害や事故に備えています。しかし、家庭ではまだその備えが浸透していません。そこで「BCP」を家庭でも使えるようにした「FCP(Family continuity plan)家族継続計画」の重要性と必要性について紹介します。

第一章 『FCP:家族継続計画』とは?

「FCP」とは、大きな災害や予期せぬ事故が起きたときに家族の安全を守り、生活再建をスムーズにするための方法をまとめた計画書のことです。防災計画には大きく2つの目的があります。1つは「大切な人命を守ること」、もう1つは「暮らしを守ること」です。どちらも不可欠で「FCP」には、この観点から緊急事態が発生したときに「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」について、どのように対処すべきかを記載します。その結果、家族全員が災害や事故に対する行動が適切・迅速に実行できます。「自然災害」や「不測の事故」から完全に逃れることは不可能ですが、対処方法を知っておくことで、被害を最小限に抑えられます。

第二章 なぜ『FCP:家族継続計画』が必要なのか?

1.「FCP」が必要な理由

東日本大震災や阪神淡路大震災などの大災害では多くの企業が貴重な人材や設備を失い、事業を続けることが困難な状態に陥りました。そのため多くの企業が「BCP:事業継続計画」を策定し、災害や事故に備えています。 それは、企業だけでなく家庭も同様の対策が必要です。そうしないと家族の命や財産を守り、被害を最小限に抑え、生活再建がスムーズにできません。

企業単位や地域単位では防災対策のための計画書を作成して、それを実行できるように訓練が定期的に行われています。しかし、家庭の単位では訓練どころか計画書の作成もほとんどできていません。家庭であっても計画を立て、それをきちんと実行できるようにする必要があります。なぜなら、人は思いがけないことが突然起きると、頭が真っ白になり、何をすれば最もよいかとっさに判断できなくなるからです。その結果、右往左往しかできない、あるいはぼう然として必要な行動が何もできなくなります。それを避けるためには「FCP」の作成はとても有用です。

2.異常事態で正常に行動できなくなる理由

防災システム研究所合同会社のホームページに、大きな災害や事故に遭遇したときの、人が取る行動パターンを研究したイギリスの心理学者ジョン・リーチ博士の研究結果が掲載されています。それによると人の取る行動は以下の3つに大きくわかれます。約9割の人が泣き叫んで何もできなくなるか、ショックでぼう然となって何もできない状態「凍りつき症候群」になると報告されています。

  1. 落ち着いて行動できる(10~15%)
  2. 我を失って泣き叫ぶ(15%以下)
  3. ショック状態に陥り呆然として何もできない状態になってしまう(70~75%)

その結果、突発的に災害や事故の直撃を受けると脱出や避難できるチャンスが十分にあったにもかかわらず、避難が遅れて犠牲になることがよく起きています。その主な理由は、経験したことのない現象が目の前で起き、その現象が急激に変化・展開することに脳の機能がついて行けずに混乱して自己コントロールができなくなってしまうためです。多くの人は、強い恐怖を感じると体が動かない、あるいは考えることもできないフリーズ状態になってしまいます。一瞬であれば、すぐに元に戻れますが、大災害や事故によって起きる現象が長く続くと、フリーズ時間も長くなって、大切な人命や財産を失ってしまう可能性が高くなります。自分はいつでも冷静に行動できるという自信があっても、それは冷静な状態にいるからそう言えるのであって、異常な状態では正常な行動ができなくなると考えたほうがよいでしょう。

また、 フリーズ状態にならなくても「正常性バイアス」「多数派同調バイアス」という思考(先入観や思い込み)が 働き、その結果、間違った行動しかできないことが起こります。

「正常性バイアス」とは

予期しない事態に遭遇したとき、「このような事態はありえない」という先入観や思い込みで、事態を正常の範囲だと無理に認識しようと脳が働くことです。「恒常性バイアス」ともいいます。さまざまな事態に遭遇するたびに、過剰に反応していると精神的に疲れてしまうので、ストレスをできるだけ回避できるように脳が自動的に働き、心を落ち着かせます。必要な働きではありますが、この働きが過剰になると緊急事態なのに問題ないと判断して逃げ遅れて命を落とすことになる可能性があります。

「多数派同調バイアス」とは

異常な状態に遭遇して、どのように行動してよいか迷ったときに周囲の人と同じ行動を取ることが最も安全と脳が判断する働きのことです。「集団同調性バイアス」ともいいます。1人だけ違った行動をするよりも、他の人と同じ行動をしたほうが正しく安全な行動であるという先入観や思い込みです。自分は危険と 思っていたのに、他の人が動かないので自分も 一緒に動かないなど判断してしまうと、
命を落とす可能性があります。

2つのバイアスが働いて命を落とした事件や事故の実例は過去に多く起きています。前述したイギリスの心理学者ジョン・リーチ博士の研究で「(1)落ち着いて行動できる」とした人たちが、正しい行動をできたのかは明らかにされていません。もし、落ち着いて行動できたとしても「正常性バイアス」や「多数派同調バイアス」が働いていたなら、正しい行動ができていない可能性があります。

このような「 フリーズ状態で的確な行動ができない、行動が遅れること」および「間違った先入観を持つこと」を回避するには、「FCP」の作成が 有用です。そうすることで、家族間で決まり事が作れ、 緊急事態でも対応できるようになります。

第三章 『FCP:家族継続計画』を具体的にどのように作成するのか?

1.「FCP」作成のための基本的な考え方

「FCP」の作成には、「家族全員の生命と健康を守ること」「人的・財産的な被害を最小にすること」「できるだけ早く生活再建ができるようにすること」の3つの視点が必要です。次に、それぞれの視点を「ヒト(人命・健康)」「モノ(安全対策・備蓄)」「カネ(財産保全)」「情報(生活や財産保全、家族の安否確認に必要・重要なデータ)」の観点から対策や行動計画を作成します。また、「事前に行うべき準備」と「災害や事故に遭遇したときの心構え・行動」、そして「災害や事故後に元の生活を再建するために必要な計画」に分けて作成します。できるだけ多角的な視点から考えて作成するとよい計画にできます。

2.「FCP」の作成手順

具体的な「FCP」の計画書は自宅の立地状況、家族構成などによって変わります。そのため一つのひな型として紹介するのは困難です。情報を家族全員が共有することが重要なので、例えば以下の項目などについて家族で話し合って作成するとよいでしょう。

(1)地震など災害や事故が発生したらどうする?

  • 緊急地震速報を聞いたとき
  • 地震の揺れを感じたとき(台所で調理中、就寝時、外出時など)

(2) 安全に避難する方法を把握しているか?

  • 自宅周辺の危険情報は分かっているか?
  • 避難場所への安全なルートは分かっているか?
  • 家族の連絡先やバラバラになったときの連絡方法は明確か?
  • 避難時の持ち出し品はどこにあるか分かっているか、また誰が何を持ち出すか明確になっているか?

(3)備蓄はできているか?

  • 飲食物の備蓄は家族分できているか?
  • 家族に病人や高齢者、乳幼児などがいる場合、必要な医薬品や生活用品はそろっているか?
  • トイレが使えないときの準備はできているか?

(4)住宅や室内の危険な箇所のチェックや財産保全はできているか?

  • 住宅の耐震チェックや耐震対策
  • 大型家具や家電製品の転倒対策
  • ガラスなどの飛散防止対策
  • 外への避難経路対策
  • 火災保険や地震保険が未加入であれば加入の検討

その他にもインターネット上に作成上の参考になる情報が多く掲載されています。ここでは地震に焦点を絞った一般的な対策として東京都がまとめた「今やろう。災害から身を守る全てを。東京防災」というページを紹介します。必要な知識も含めて家庭版を作成するときに参考になるでしょう。「FCP」のよい計画を作ることは、「どのような災害が起こるか想定することで効果的な災害対策ができる!」の記事で紹介しました効果的な災害対策につながります。またこの記事における災害対策の内容は「FCP」にも利用できます。

 


全国共済への加入をお考えの方は、まずは資料請求からいかがでしょうか?
こちらから全国共済への資料請求ができますので、ぜひお役立てください。