今年も猛暑到来!「新しい生活様式」における熱中症対策

今年の夏も猛暑になると予想されています。まだまだ新型コロナウイルスの勢いが衰えないため、昨年に引き続き「新しい生活様式」における熱中症対策が必要です。熱中症による死亡者数は、1989年から1998年までは1,708人、1999年から2008年までは3,954人、2009年から2018年までは9,053人と、10年単位でほぼ倍増ペースで推移しています。高齢化の進展や異常気象などの影響と考えられますが、夏でもマスク着用が必要な「ウィズコロナ時代」には、さらに熱中症を引き起こす危険性が高まるため、猛暑とウイルス感染対策を両立して過ごすための知識・対策が必要です。そこで、今夏の気候の予想、マスク着用時における熱中症のリスクとリスク回避対策について紹介します。

第一章 今夏は『ダブル高気圧』で猛暑の見込み

株式会社ウェザーニューズは6月に2021年の夏の暑さに関する予想を発表しました。それによると、今年の7月下旬と8月下旬に日本の上空で高気圧の勢力が強まることから広範囲で暑さがピークとなり、7月~9月の気温は全国的に平年並か平年よりやや高くなるという予想です。また、暑さのピークは7月下旬と8月下旬の2回あり、その間は猛暑日が続くおそれがあります。

今夏の気圧配置の特徴は、太平洋高気圧が7月はじめから勢力を強めますが、より上空の高いところにあるチベット高気圧も本州付近に張り出して、太平洋高気圧と上空で重なり合って「ダブル高気圧」になることです。太平洋高気圧とチベット高気圧は広がる高度が違うため、上空で重なり合います。これにより、2つの高気圧が非常に背の高い1つの高気圧のように働き、最高気温が35℃以上の猛暑日が続くことや、フェーン現象が起こりやすい場所では40℃前後の酷暑になる日もある見込みです。その後も9月にかけて暖かな空気が流れ込みやすく、秋の彼岸のころまで残暑が厳しくなる見込みです。今年は梅雨が早めに明ける地域が多いことから、暑い期間が長く続く可能性があります。

第二章 マスク着用で熱中症リスクが高くなる理由

新型コロナウイルス対策として、マスクの着用、身体的な距離の確保など「3密(密集、密接、密閉)」の回避、手洗いなどが欠かせません。しかし、暑い夏の期間はマスクを着用していると熱中症になるリスクが高まるので注意が必要です。

マスク着用で熱中症リスクが高まる主な理由は、「体温を下げる働きが弱まるため」「水分補給の必要性を感じにくく、水分補給が遅れるため」および「体に負担がかかるため」です。

通常であれば、体温が高くなると人は汗をかき、その水分が蒸発するときに生じる気化熱と呼吸で体温より低い空気を取り込むことの2つで体温が下がるように働きます。しかし、マスク着用時は自分の呼吸で温められた空気しか吸い込めないため、呼吸によって体温を下げ、体を冷やすことが難しくなって熱中症になるリスクが高まります。また、顔がマスクで覆われることで、口の周りの湿度が高くなることから喉の渇きを感じにくくなるため、水分補給が遅れて熱中症になるリスクが高まります。および、マスク着用時は非着用時に比べて、心拍数、呼吸数、血中二酸化炭素濃度、体感温度などが上昇することで身体的な負担が高くなって熱中症になるリスクが高まります。

第三章 コロナ禍における熱中症対策

今年も熱中症による緊急搬送された人が消防庁から報告されています。消防庁は、例年4月下旬から10月上旬まで「新生児」「乳幼児」「少年」「成人」「高齢者」の区分別に熱中症による緊急搬送された人数を傷病程度別、都道府県別にホームページで「熱中症情報」として公表しています。直近のデータを見ると救急搬送された人数は、2021年6月28日から7月4日の期間が1,399人(前年同期間は1,040人)と昨年実績より多く、今後、暑さが厳しくなるにつれてさらに増加することが考えられるため、注意が必要です。

マスク着用で熱中症のリスクが高まるため、暑い日はマスク着用を止めることが熱中症対策としては効果的です。しかし、日本でも感染力がより強く、ワクチンを接種してもワクチンの効果が弱まる変異株が増えてきていることから、暑いからといって、あるいは2回のワクチン接種が終わっているからといって、マスクの着用を無条件に止めることは避けなければなりません。

そこで、コロナ禍における新しい生活様式(マスク着用をした生活)による熱中症対策が必要です。マスク着用で熱中症になりやすくなるため、以下の対策をより徹底して行うようにしましょう。

1.暑熱順化

人の体温調節能力は、暑さに慣れることで高まります。暑くなりはじめの時期から適度な運動(やや暑い環境で、ウォーキングなどの少しばかりきついと感じる強度の運動を毎日30分程度続けること)を心がけると、体が暑さに慣れます。体が暑さに慣れることを「暑熱順化」と言います。「暑熱順化」ができると、低い体温でも汗をかきやすくなり、汗の量が増え、皮膚の血流量も増加し、体から熱が逃げやすくなり体温の上昇を防げます。

2.マスクを外す時間をつくる

高温や多湿といった熱中症になりやすい環境下では、人と十分な距離(少なくとも2メートル以上)が確保できる場合はマスクを外すようにします。

3.こまめな水分補給

マスクを着用する(しなければならない)場合は、強い負荷の作業や運動は避け、喉が渇いていなくてもこまめに水分補給を心がけます。また、周囲の人との距離を十分にとれる場所で、マスクを一時的に外して休憩することを心がけます。大量に汗をかくと、体内からナトリウム(塩分)も失われるため、水分補給として水だけを飲むと血液のナトリウム濃度が薄まり、水を飲む欲求が弱まって、逆に熱中症になりやすくなります。暑くて汗が多く出たときは、0.1%~0.2%の食塩を含む市販の補水液、または1リットルの水にティースプーン半分の食塩(2グラム)を溶かして作った水を飲むようにします。

4.アルコールに注意

注意点としてアルコールは水分補給になりません。暑い夏にキンキンに冷えたビールがおいしいと思う人は多く、ビールで水分補給を兼ねられると思うかもしれませんが、アルコールを飲むと脱水が促され、十分に水分補給したと思っていても実際には体から水分が失われ、熱中症になりやすくなります。

5.涼しい服装

外出時は暑い日や時間帯を避け、涼しい服装で出かけます。

6.エアコンの活用

室内ではエアコンを活用します。しかし、一般的な家庭用エアコンは空気を循環させるだけで、換気していないため、新型コロナウイルス対策として冷房時でも一定時間ごとに窓を開放するなどして換気が必要です。

7.暑さを避ける

少しでも体調に異変を感じたら、速やかに涼しい建物内や建物内に移動できない屋外では風通しのよい日陰などに移動します。

8.日頃の体調管理

毎朝定期的に体温測定などの健康チェック、および日頃の健康管理(睡眠・栄養バランスのよい食事・適度な運動など)を十分に行い、体調が悪いと感じたときは無理せずに自宅で静養を心がけます。

9.熱中症情報の利用

熱中症になりやすい環境で作業などをしなければならないときは、環境省の「熱中症予防情報」サイトで警報が出ていないか念のため確認し、警報が出ていればより注意するように気をつけます。環境省のサイトでは「熱中症警戒アラート」や「暑さ指数(WBGT)」の無料メール配信サービスを利用できます。

「暑さ指数(WBGT)」とは、気温だけでなく湿度や輻射(ふくしゃ)熱も考慮された熱中症が起きやすい外的環境を知るための指標のことです。WBGTが21℃以上では熱中症による死亡事故が発生する可能性があり、運動の合間に積極的に水分補給が必要です。28℃以上では激しい運動や持久走などの体温が上昇しやすい運動は避け、31℃以上では運動を原則中止するのが望ましいとされています。なお、小児の場合はさらに厳格な対応が必要です。

第四章 まとめ

今年も暑い夏が予想されています。しかし、熱中症はウィズコロナ時代の新しい生活様式で暮らすことが必要であっても、こまめな水分補給、暑い環境で無理な作業はしないなど十分な対策を行えば発症を防止できます。しかし、それでも熱中症を100%防止することは困難です。また、熱中症を防止できても、暑さで体力を奪われたり、睡眠不足や食欲不振に陥ったりしてその他の病気や感染症にかからないとも限りません。万が一に備えて、医療費の負担を軽減するために共済に加入しておくことも大切です。共済への加入では手頃な価格で加入でき、家計への負担が少なくて済む全国共済がおすすめです。


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