増加する『コロナ鬱(うつ)』とは?症状や原因と対策

新型コロナウイルスによって、今までの生活様式とは異なって制約の多い生活を送らなければならなくなりました。こうした環境の変化に強いストレスを感じると心理的な負担が増大していきます。その結果、『コロナ鬱』と呼ばれる症状を示す人が増加しています。まだ、ストレスを強く感じていなくてもコロナに感染して後遺症に悩んだり、肉親や友人・知人に感染させないようにする心配が増大したりすると心理的負担が大きくなります。これらをきっかけに『コロナ鬱』になる可能性があります。あらかじめ『コロナ鬱』になる可能性のあることや、どのような症状で、どう対策すればよいかを知っておくことは大切です。

第一章 鬱(うつ)病患者が急増の原因はコロナ

日本国内における鬱病・鬱状態の人の割合は、経済協力開発機構(OECD)のメンタルヘルスに関する国際調査によると、2013年の調査では7.9%でした。ところが、新型コロナウイルスの流行が始まった2020年には17.3%と約2倍に増加しています。年々、鬱病の患者数は増加傾向にありますが、コロナ前後で増え方が大きく異なっています。厚生労働省「自殺対策白書」によると自殺理由の1位は「健康問題」で全体の約半数を占め、その状態が長く続いています。またその内「鬱病」による自殺者は、例年4割近くを占めています。「健康問題」による自殺は、10年以上、実数も比率も減少傾向を保っていたのが、2020年に突然急増しました。この急な自殺増加を招いた「健康問題」は、他の健康上の大きな変化が見当たらないので「コロナ鬱」が原因と考えられます。

さらに、統計的なデータではありませんが、愛知県の精神科医らが2020年3月下旬に外来患者を調査した結果、1日の患者68人のうち58人がコロナへの強い不安を訴えたという報告もあります。このように多くの患者が同一の心配事を訴えた例は、東北から遠く離れていたせいもありますが、東日本大震災を含めても過去に一切なかったといいます。それだけ、コロナ流行の初期の頃は不安を強く感じる人が多かったのでしょう。現在は当時のコロナに対する得体の知れない恐怖・不安ではなく、自粛はいつ終わるのか、我慢はいつまでしなければならないのかという不安やイライラに変化してきています。さらに、コロナによって経済活動の自粛も長引き、これによる経済的な問題で将来に対する不安を増大させている人が当時より増えています。

第二章 『コロナ鬱』はどのような症状?

『コロナ鬱』の医学的な定義はありません。新型コロナウイルスによる自粛生活で生じるストレスや、感染への不安によるストレスなど、コロナウイルスに関連して心身に不調が表れて鬱状態になることを意味しています。そのため症状は、一般的な鬱病の症状と同じです。

1.『コロナ鬱』の主な症状は以下のとおりです。

1-1 精神的な症状

  • 気分が晴れない、気分が落ち込む、悲観的になる
  • 興味や喜びや楽しみを感じられない
  • 気力がわかない、やる気が出ない、仕事に行きたくない
  • 孤独感、絶望感、虚無感、不安感を覚える
  • 集中力が続かない、イライラする
  • 自尊心を持てない
  • 自責感や罪悪感が強まる
  • 死について何度も考える

1-2 身体的な症状

  • 睡眠障害
  • 頭痛、めまい、下痢、便秘、肩こり
  • 倦怠(けんたい)感
  • 食欲不振または食欲過多
  • わけもなく涙が出る
  • 息苦しくなる
  • 飲酒や喫煙量が増える

2.『コロナ鬱』の原因から見た症状の特徴

鬱病の原因は大きく分けると以下の3つです。

(1)外因性

アルツハイマー型認知症、甲状腺機能低下症などの病気や、薬の副作用が直接的な原因で起こる鬱病。

(2)内因性

脳の何らかの原因で起こる鬱病。具体的な原因がはっきりしない鬱病ですが、薬による治療の効果が出やすいと言われています。

(3)心因性

性格や環境の変化などが原因で生じる精神的な問題によって起こる鬱病。具体的な原因がはっきりしている場合は「反応性抑鬱」と呼ばれることがあります。

『コロナ鬱』は、「コロナウイルスに関連して心身に不調が表れて鬱状態になること」のため、心因性の「反応性抑鬱」に分類できます。「反応性抑鬱」の症状の特徴は、内因性の鬱病と比べると比較的軽微で、多くの人に表れるという特徴があります。また、ストレスの原因となる状況の改善で症状が好転しやすいという特徴もあります。そのため『コロナ鬱』の症状の重さは「鬱病」よりは軽く、「抑鬱」な状態を示すのが一般的です。

第三章 『コロナ鬱』の対策

『コロナ鬱』の主な防止対策は以下のとおりです。

(1)規則正しい生活をする

行動制限や在宅勤務などによって、今までの生活リズムと異なり、またそれによって生活が不規則になると心身の不調につながる可能性が高くなります。環境変化に合わせて規則正しい生活習慣を作ることで、心身の不調を防止できます。

(2)適度な運動をする

適度な運動はたまったストレスの発散に効果的です。運動をスポーツジムで行っていた場合、行く機会が減っていると、それがストレスになっているかもしれません。器具は使えませんが、無料動画など見ながら自宅でもできる運動や散歩などを適度にしましょう。

(3)根拠のない新型コロナウイルスの情報を遮断する

新型コロナウイルスの情報のなかには不正確で誤った情報も多く含まれています。これらの情報を正しいとして受け取れると不安になる場合があります。不安になってその情報が正しいか、どうかを調べることは大切です。しかし、不安な情報を信じて似たような情報が他にもないかとネットを調べまくるのは余計に不安感が増大するのでやめましょう。人間は自分に都合のよい情報のみを探して、そのほかの情報をあえて見ようとしなくなる傾向があります。その結果、正しい情報は排除して間違った情報ばかりを見て、これが本当だと信じ込みやすいので注意が必要です。

(4)やる気が起きないで不安が募るときは興味のあることや好きなことをする

自分の興味のあることや好きなことをすると、時間を忘れて熱中できて気分転換できます。好きな音楽を聴く、好きな映画やスポーツをみる、好きな本を読むなどをしましょう。

(5)人とのコミュニケーションを増やす

コロナによる自粛生活や在宅勤務などで人とのコミュニケーションが少なくなると、ストレスを感じる人がいます。その場合は友人などとSNS、電話でのコミュニケーションを積極的にとりましょう。友人が近くにいれば会って話すなどの時間を作ることも大切です。

(6)バランスのよい食事を心がけ、十分な睡眠をとる

ビタミンやミネラルなどの栄養素が不足するとイライラや不安が増し、集中力の低下を招く可能性があります。バランスのよい食事を心がけましょう。症状のなかに食欲がなくなる場合がありますが、食事を抜いたり、好きなものだけを食べたりすることを避けます。また、十分な睡眠をとることもストレスの解消に効果的です。不安やストレスが強くなると睡眠障害が起きますが、長く続く場合は医師に相談して睡眠導入剤を処方してもらうと眠りやすくなります。

(7)自分の症状を冷静に見つめる

「コロナは怖い」「感染するのが不安」などの気持ちは多くの人が感じることです。それを否定して普通に振る舞おうと意識しすぎるとかえって恐怖や不安が増幅する場合があります。このようなときは、むしろ自分は「コロナに不安になっている」「コロナに敏感になりすぎている」と認め、受け入れることが大切です。不安や恐怖を認めて受け入れることは、心の負担やストレスに対する基礎的な自己防衛術の一つです。そして、不安や恐怖は克服できると信じることが心の負担を軽くするための第一歩です。いつかコロナは終わると信じ、またコロナの不安や恐怖は克服できると信じて、そのときには何をしようかと、明るい未来を考えると効果的です。

通常「症状のある状態がほとんど1日中、2週間以上続くときは鬱病のサイン」と言われています。以上の対策でも症状が改善しないときは、医師に診てもらいましょう。あるいは、地方自治体の「こころの健康」や「こころの悩みに関する相談」窓口や保健センターなどに相談しましょう。また、厚生労働省がSNSによる相談を受け付けています。

第四章 まとめ

心の不安と体の状態は表裏一体です。心の不安でストレスが強くなると病気も発症しやすくなります。『コロナ鬱』などにならないように防止対策をするとともに、万が一の備えとして保険や共済に加入しておくことも大切です。経済的な負担が重くなるとストレスは大きくなります。家計への負担の少ない月額1,000円で加入できる全国共済への加入をおすすめします。


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