交通事故は減少したのに自転車事故の割合はなぜ増えたのか?その危険性と対策

自動車性能の向上などで交通事故の発生件数が減少しているなか、交通事故全体に占める自転車事故の割合が近年増加しています。自転車事故は全体の約80%(警察庁2020年度データ)が対自動車との事故です。被害者になるケースが圧倒的ですが、「自転車対歩行者」「自転車相互」の事故で加害者になることもあります。加害者になった場合、約1億円という損害賠償が命じられる事例も起きています。そのため被害者にも加害者にもならないようにしなければなりません。そこで、自転車事故の割合が増加している理由、自転車事故の危険性、自転車保険への加入義務化などについて解説します。

第一章 自転車事故の交通事故全体に占める割合はなぜ増加?

警察庁のデータによると自転車事故を含む交通事故の総発生件数は、2010年の72.6万件から2020年は30.9万件へと大幅に減少しています。しかし、自転車事故が交通事故全体に占める割合は近年増加傾向を示しています。

自転車事故件数は交通事故全体の件数の減少につれて、15.2万件(2010年)から6.8万件(2020年)へと減少。また、自転車事故の交通事故全体に占める割合も2016年までは減少を続けていました。しかし、2016年の18.2%を底に上昇に転じ、2020年には21.9%になりました。この傾向は都市部において顕著です。例えば警視庁管轄下(東京都内)では2016年の32.1%から2020年は40.6%へと全国平均を大きく上回って上昇しています。

その理由の1つとして、警察関係者はフードデリバリーサービスの利用が増えていることをあげています。多くの人が新型コロナウイルスによって外食を控えるなか、フードデリバリーサービスの需要が増加。配達員が知らない道を調べるためにスマートフォンを見ながら走行するといった前方不注意などによる事故が起きています。さらに、収入が配達件数に比例するため、信号無視や走行中の自動車をすり抜けて急ぐなど無理な運転をする配達員がいることが自転車事故を増加させています。また、フードデリバリーサービス以外でも、コロナ感染防止のために電車やバスなどを避けて自転車で通勤する人が増加していることも自転車事故増加の理由の1つでしょう。

第二章 自転車事故の危険性と対策

自転車事故の危険性は大きく2つあります。1つは、自転車事故の多くが対自動車で起きるため、大きなケガをしたり、死亡したりするリスクが高いことです。もう1つは、対自転車や対人との事故で加害者になって数千万円以上の大きな金額の賠償責任を負う可能性があることです。

「自転車事故を起こしやすい年齢」「自動車運転中に遭遇した自転車の危険行為」「自転車事故による損害賠償額の事例」「子どもの自転車事故が起きやすい場所、原因」などを知って自転車事故に遭わないように注意しましょう。

1.自転車事故を起こしやすい年齢

一般社団法人 日本損害保険協会がまとめた2020年の自転車乗車中の事故による死傷者数の年齢別割合は以下のとおりです。

年齢別 割合
14歳以下 9.9%
15-19歳 17.2%
20-29歳 13.1%
30-39歳 11.7%
40-49歳 12.5%
50-59歳 10.8%
60歳以上 24.8%

2.自動車運転中にドライバーが感じる自転車の危険行為

自転車事故は全体の約80%が対自動車で起きるため、ドライバーが感じる以下の自転車の危険な運転行為を知って、自転車に乗るときは注意しましょう。

  • 信号無視や自動車の前方での無理な横断、右左折、割り込み、追い越し
  • スマホを見ながら、ヘッドホンを聞きながらの運転
  • 夜間の無灯火運転
  • スピードの出しすぎ
  • 2人乗り
  • 路肩を逆走
  • 進路妨害や蛇行運転
  • 幅寄せや危険な車間距離の保持

3.自転車事故の高額な損害賠償事例

賠償額 被害者(年齢・性別) 被害の内容 加害者と過失の内容
9,521万円 62歳女性 後遺障害 小学生男子・無灯火
9,266万円 24歳男性 後遺障害 高校生男子・通行違反
6,779万円 38歳女性 死亡 男性・交差点安全進行義務違反
5,438万円 55歳女性 死亡 男性・信号無視
4,746万円 75歳女性 死亡 男性・信号無視

上記の事例で子どもが加害者になるケースが見受けられます。また、高齢化社会を迎え、高齢者が増加し高齢者が自転車事故に遭うケースは多くなることが予想されます。高齢者は、軽い接触事故でも転倒しやすく、また転倒したときに骨折したり、頭を強く打ったりしてケガの程度が重くなるので、注意が必要です。

4.子どもの自転車事故が起きやすい場所、原因

高齢者とともに自転車事故を起こしやすい子どもが、よく事故を起こす場所や原因、および対策について紹介します。

小学生の交通事故は、およそ6割が自転車乗車中に起きており、歩行中よりも多いので自転車に乗るときは交通事故を起こさないように注意が必要です。

4-1 子どもが自転車で交通事故をよく起こしている状況と場所

子どもの自転車事故は警視庁のデータによると「出会い頭」が約70%、ついで「左折時」が約11%、「右折時」が約6%と、この3つで全体の約90%を占めます。そのときの違反行為は、「安全不確認」が約20%、「一時不停止」が約12%、「交差点安全進行義務違反」が約11%と多く、その他では「信号無視」「ハンドブレーキの不的確な操作」「前方不注意」などです。しかし、事故が起きたとき違反をしていたのは半分程度のため、違反をしていなくても事故に遭う可能性があります。

圧倒的に多い「出会い頭」の事故は、自動車などから死角になっている交差点へ十分に安全を確認しないままの飛び出しで起きていると思われます。一時停止の場所だけでなく常に安全確認することがもっとも重要です。

4-2 自転車乗車時の安全確保のために必要な5原則

(1)自転車は車道を走行する

13歳未満の子どもは車道の走行が例外として認められ、歩道を走行できますが、歩行者に対しての配慮が必要です。それ以外の年齢では、自転車は原則車道を通行しなければなりません。もし違反すると、通行区分(車道と歩道)違反で3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。また、これに加えて自転車による違反者を対象とした「自転車運転者講習制度」が始まっています。「自転車運転者講習」は、以下のような違反などで受けなければならない可能性があります。

  • 歩道を走行するなど本来自転車が走るべきでない場所を走る通行区分違反を犯す
  • 信号無視、酒酔い運転など「危険行為15類型」とされる違反もしくは交通事故を3年以内に2回以上繰り返す

「自転車運転者講習」は時間が3時間、手数料が6,000円の講習で、講習を受けなかったときは、5万円以下の罰金が科せられます。自転車の違反の取り締まりは自動車に比べると厳しくありませんが、場合によってはこのような厳しい罰則が科せられる可能性があります。

(2)自転車は車道では左側を通行する

車道を走行するときは、道路の左側に寄って通行しなくてはなりません。

(3)歩道を走行するときは歩行者を優先し、車道寄りをゆっくり走行する

歩道を走行しなければならないときは、以下に注意して走行しなければなりません。

  • すぐに停止できる速度で走行する
  • 歩行者の通行を妨げる場合は一時停止する
  • 車道に近いところを徐行で走行する
  • 歩行者が多いときは自転車を降りて押して歩くなど配慮する

(4)安全ルールを守る

「2人乗りをしない」「並走しない」「暗くなりはじめたら早めにライトをつける」「信号を守り、交差点では一時停止と安全を確認する」などのルールを守って走行しましょう。

(5)子どもはヘルメットを着用

子どもが自転車に乗るときだけではなく保護者などが子どもを自転車に乗せるときもヘルメットを着用させます。

第三章 自転車事故への備え「自転車保険加入」の義務化

自転車事故においても自動車事故と同様に被害者救済の観点から、条例により自転車損害賠償責任保険などへの加入を義務化する動きが広がっています。加入義務化は国の法律ではなく自治体が制定する条例によって義務化されています。そのため、加入を義務化、または努力義務としている自治体は、国土交通省によると2021年10月1日現在で34都道府県・2政令指定都市です。

1.加入を義務化・努力義務化している都道府県

加入を義務化している都府県は、「宮城」「秋田」「山形」「群馬」「埼玉」「東京」「神奈川」「山梨」「長野」「静岡」「愛知」「三重」「滋賀」「京都」「大阪」「兵庫」「奈良」「愛媛」「福岡」「熊本」「大分」「宮崎」「鹿児島」の23都府県と千葉市、岡山市です。

努力義務としている道県は「北海道」「青森」「茨城」「千葉」「富山」「和歌山」「鳥取」「徳島」「香川」「高知」「佐賀」の11道県です。なお、上記に該当していない県の住民であっても、義務化されている都道府県をサイクリングなどで走行するときは、自転車保険の加入が義務づけられる場合があるので注意してください。

2.加入すべき自転車保険とは?

加入すべき自転車保険は指定されていません。各自治体は条例で「加害事故を起こしたとき被害者に補償できる保険(個人賠償責任補償)に加入」するように定めています。加入するときは、巨額の賠償にも応じられるように1億円から2億円程度の補償内容の保険に加入することをおすすめします。また、自転車保険への加入義務は未成年者も含まれるので、家族全員が対象となる保険を選びましょう。保険料も1人ずつ加入するよりも安くなる可能性があります。

第四章 まとめ

全国共済の生命共済、傷害保障型共済、新型火災共済に加入していれば、個人賠償責任保険へ加入でき、年額保険料1,680円(1カ月あたり140円)で最大3億円の補償内容です。神奈川県では自転車保険への加入が義務化されており、また自転車事故による補償も高額になることもあるため、自転車に乗る機会があれば全国共済で個人賠償責任保険へ加入することをおすすめします。


全国共済への加入をお考えの方は、まずは資料請求からいかがでしょうか?
こちらから全国共済への資料請求ができますので、ぜひお役立てください。