住宅の全壊・大規模半壊・半壊の違いをご存じですか?保険や共済の保障に大きく関係

近年は毎年、住宅が被害を受ける大きな自然災害が発生しています。住宅が被害を受けると住宅の被害状況を示す全壊、大規模半壊、半壊の戸数がニュースで報道されます。この全壊・大規模半壊・半壊は、自然災害によって生じた損害を救済するために国や地方自治体が行う「公助」による支援金額や、災害に備えて加入していた保険や共済の保障金額に大きく関係しています。そこで、全壊・大規模半壊・半壊の違いや2019年に起きた主な自然災害における全壊・大規模半壊・半壊の発生戸数、およびどのような「公助」が受けられるかについて紹介します。また、「公助」だけで住宅や生活を再建することは困難なため、自然災害による保障もしっかり受けられる全国共済の火災共済についても紹介します。

第一章 ニュースなどで耳にする全壊・大規模半壊・半壊とは?

国は災害によって住宅が被害を受けたとき、被災住民の生活再建を支援するための制度の1つとして被害を受けた住宅の被害認定を迅速かつ的確に実施できるように「災害の被害認定基準」を定めています。認定基準では住宅の被害の程度は、「全壊」「大規模半壊」「半壊」、および「半壊に至らない一部破損」の4区分に分けられています。区分の判定基準は「損壊基準判定」と「損害基準判定」の2種類があります。

1.全壊とは

全壊とは、住宅全部が倒壊、流失、埋没、焼失するなどで居住できなくなる、または住宅の損壊がひどく補修しても元通りに再使用することが困難な状態になることです。

1-1 損壊基準判定
住宅の損壊、焼失、流失などした床面積がその住宅の延べ床面積の70%以上に達した程度の場合。

1-2 損害基準判定
住宅の主要な構成要素の経済的な損害割合がその住宅全体の経済的価値の50%以上に達した程度の場合。住宅の主要な構成要素とは、具体的には基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえなど)、床板、はり、けたなどのことです。住宅の構造上は重要でない間仕切り用の壁、間柱、畳、局所的な小階段などは含みません。

2.大規模半壊とは

大規模半壊とは、居住する住宅を構造耐力上の主要な部分の補修を含む大規模な補修を行わなければその住宅に居住することが困難な状態になることです。

2-1 損壊基準判定
住宅の損壊部分がその住宅の延べ床面積の50%以上70%未満の場合。

2-2 損害基準判定
住宅の主要な構成要素の経済的な損害割合がその住宅全体の経済的価値の40%以上50%未満の場合。

3.半壊とは

半壊とは、住宅が居住するために必要な基本的機能の一部を喪失する大きな損壊を受けているが、補修すれば元通りに再使用できる状態のことです。

3-1 損壊基準判定
損壊部分がその住宅の延べ床面積の20%以上50%未満の場合。

3-2 損害基準判定
住宅の主要な構成要素の経済的な損害割合がその住宅全体の経済的価値の20%以上40%未満の場合。

4.半壊に至らない一部破損
半壊に至らない一部破損とは、損壊基準判定・損害基準判定のいずれにおいても被害の程度が20%未満の場合のことです。

第二章 2019年に起きた多くの災害での住宅被害状況

2019年の1月から9月末までに起きた主な自然災害によって生じた全壊・大規模半壊・半壊した住宅戸数は、発生した自然災害別に消防庁が公表しているデータでは以下の表のとおりです。表の数字には非住居家屋・公共建物の被害は含まれていません。また、自然災害では住宅などに対する物的損害のほかに人的損害も多数出ていますが数字は除いています。なお、消防庁は、床上浸水、床下浸水は、全壊・大規模半壊・半壊・半壊に至らない一部破損の4つに区分しないで公表しています。内閣府によると住宅の1.8メートル天井以上まで浸水した場合は全壊、床上1メートル以上1.8メートル未満の浸水は大規模半壊、床上1メートル未満の浸水は半壊、床下浸水は半壊に至らない一部破損と定義しています。ただし、浸水の程度とは別に水害によって住宅の基礎などに対する損害が大きい場合などは全壊と判定されることがあります。

2019年度に起きた自然災害別の住宅の状況(2019年9月現在)

全壊 半壊 一部破損 床上浸水 床下浸水 備考
台風17号 0 0 602 14 32 主な被災地は宮崎県。その他11道県に被害が出る
台風15号 219 2,126 39,828 86 111 主な被災地は千葉県。その他7都県に被害が出る
8月27日からの大雨 87 110 14 1,645 4,513 主な被災地は佐賀県。その他9道県に被害が出る
台風10号 1 0 13 1 5 特に被害の多かった地域はなく11府道県に被害が出る。
台風8号 1 0 5 2 2 九州3県に被害が出る。特に被害の多かった地域はない。
台風5号および梅雨前線による大雨 0 0 4 291 557 主な被災地は福岡県。その他12県に被害が出る
6月29日からの大雨 9 7 30 92 385 主な被災地は鹿児島県。その他3県に被害が出る。
山形県沖で起きた地震 0 36 1,245 0 0 主な被災地は山形県・新潟県。その他1県に被害が出る。
5月18日からの大雨 0 0 1 6 41 主な被災地は宮崎県。その他3県に被害が出る。
熊本県で起きた地震 0 0 7 0 0 主な被災地は熊本県のみ。

第三章 公的支援制度の概要

災害による被害を受けると公的な支援制度(公助)を受けられます。どのような支援制度があって、どのような条件で支援を受けられるのかを知らないと損をする可能性があります。なぜなら支援を受けるには申請が必要となるからです。被災を受けたときは心身とも疲弊している状態なので、自動的にすべての支援が受けられるのが理想です。しかし、現状は申請しなければなりません。また、大きな災害では被災者も多くなります。支援は申請が受理された順に処理をされます。被災後の生活再建を早めるには迅速に申請手続きをすることが重要です。

そのためには支援制度についての知識が必要になることから、利用できる主な公的支援制度について損害を受けた住宅の再建を目的とした「被災者生活再建支援制度」を詳細に紹介し、その他住宅や生活の再建に役立つ支援制度を紹介します。なお、以下の支援制度の内容は2019年9月現在です。支援制度は変更される可能性があります。最新の支援制度について市町村の担当窓口やその他適切な窓口で確認してください。

1.被災者生活再建支援制度による支援金の概要

一定規模以上の被害をもたらした自然災害で住宅に損害が生じたとき、支給条件に適合すれば、被災者生活再建支援制度による支援金が支給されます。

1-1 支援対象になる被災世帯

  • 住宅が全壊した世帯
  • 住宅が半壊、または住宅の敷地に被害が生じ、住宅をやむを得ず解体した世帯
  • 災害による危険な状態が継続しているため住宅に居住不能な状態が長期間継続し、長期避難した世帯
  • 住宅が大規模半壊して大規模な補修を行わなければ居住が困難な世帯

(注)被災時に居住していた世帯が対象。空き家、別荘、賃貸している住宅などは対象外です。

1-2 支援金の金額

支給額は以下の基礎支援金と加算支援金の合計額です。ただし、1人世帯は以下に示す各金額の4分の3です。

基礎支援金(住宅の被害程度に応じて支給される金額)

住宅の被害程度 全壊 解体 長期避難 大規模半壊
支援金額 100万円 100万円 100万円 50万円

(注)住宅が半壊や敷地の被害であっても、住宅を解体するなどした場合や、火山の噴火などによる危険のため長期避難した場合、全壊扱いになる可能性があります。

加算支援金(住宅の再建方法に応じて支給される金額)

住宅を建設・購入、補修、および公営住宅以外の住宅を賃借した場合に応じて以下の金額が支給されます。

住宅の再建方法 建設・購入 補修 賃借
支援金額 200万円 100万円 50万円

(注)いったん住宅を賃借した後、住宅を建設・購入、または補修する場合、まず賃借による50万円が支給されます。その後、建設・購入、または補修が行われると建設・購入の場合、150万円(最初の50万円と合計して200万円)、補修の場合、50万円(最初の50万円と合計して100万円)支援金が支給されます。

1-3 支援金の申請窓口、必要書類、申請期間

  • 申請窓口:市町村
  • 申請時の必要書類
    基礎支援金:罹災(りさい)証明書、住民票など
    加算支援金:住宅の建設・購入、補修、賃借の契約書など
  • 申請期間
    基礎支援金:災害発生日から13カ月以内
    加算支援金:災害発生日から37カ月以内

2.災害弔慰金・災害障害見舞金の支給

災害で死亡した人がいた場合、遺族に対して最大500万円の災害弔慰金が支給されます。また、災害で負傷、または病気になり精神または身体に著しい障害が残った人がいた場合、最大250万円の災害障害見舞金が支給されます。

3.災害援護資金の貸し付け

返済が必要ですが、災害で被害を受けた人に対して生活の再建に必要な資金が最大で350万円が貸し付けられます。貸付利率、無金利の据え置き期間、償還期間が優遇されています。

4.災害復興住宅融資(住宅の建設、新築住宅・中古住宅の購入、住宅の補修)

返済が必要ですが、災害で被害が生じた住宅の所有者または居住者が住宅を建設する場合、建設資金として最大1,680万円(被災親族同居の場合2,320万円)、土地取得資金として最大970万円、整地資金として最大450万円の融資を受けられます。新築住宅または中古住宅を購入する場合、最大で2,650万円(被災親族同居の場合3,290万円)の融資を受けられます。いずれも520万円の特例加算額を追加して利用できる可能性もあります。住宅を補修する場合、補修費として最大740万円、整地費として最大450万円、建物を別の土地に移動する引方移転費として最大450万円の融資を受けられます。なお、整地費と引方移転費の両方を希望する場合、合計で最大450万円となります。

5.住宅金融支援機構融資の返済方法の変更

独立行政法人住宅金融支援機構の住宅ローンを返済中の被災者は、被災の程度によって1年~3年間の返済払い込みの猶予、返済払い込みの猶予期間中の金利を0.5%~1.5%引き下げ、1年~3年間の返済期間の延長など返済方法を変更できます。

6.その他の支援制度

上記の他にも、損害を受けた住宅に住めない、損害を受けていなくてもその地域に住むことが危険な場合、仮設住宅などへの入居の支援があります。被災世帯に障害者、要介護者がいる場合や母子・寡婦世帯である場合、有利な条件で融資が受けられる制度もあります。および被災者が災害に備えて防災工事や地すべりなどの対策を実施する場合に有利な条件で融資を受けられる制度などがあります。

6-1 仮設住宅公営住宅特定優良賃貸住宅などへの入居

6-2 生活福祉資金制度による被災者への貸し付け(住宅の補修等)

6-3 被災者への父子寡婦福祉資金制度による住宅資金融資

6-4 宅地防災工事資金融資

6-5 地すべり等関連住宅融資

第四章 公助だけでは生活再建が困難、自助による災害への備えが必要

住宅が損害を受けたとき返済が不要な支援金は最大でも300万円です。東日本大震災のような大きな災害では多額の義援金(約4,400億円 ※2012年2月時点での東日本大震災義援金)が集まりますが、それでも住宅が全壊した場合で1世帯あたり約110万円、大規模半壊で約85万円、半壊で約50万円にとどまります。そのため最大でも全壊した住宅の世帯で約400万円しか住宅の再建費用になりません。なお、住宅が浸水被害にも遭っていたり、母子・父子世帯であったりすると加算されますが加算額は数十万円程度です。

不足分は、低金利の融資を受けられますが、住宅ローンが残っていれば二重ローンとなって返済が困難を極めます。また、高齢世帯では返済に十分な収入が不足して融資を利用できない可能性があります。そのため公助や共助以外に自助で住宅・生活再建が余裕を持ってできるように火災共済へ加入し、さらに地震特約を付加しておくことが重要です。

1.火災共済に加入したときの基本保障額

全国共済の火災共済地震特約を付加して加入すると、火災の他にも地震や風水害などの保障を手頃な掛け金で受けられます。例えば、30坪2,100万円の住宅保障、家族人数4人で1,600万円の家財保障に加入したとすると、火災のときに最大で住宅と家財合わせて3,700万円の保障が受けられます。

2.火災共済に加入時に風水害の損害を受けたときの保障額

上記の条件で加入しているとき、風水害などの自然災害での損害を受けると全壊の場合に最大600万円の保障が受けられます(加入額が2,000万円未満の場合、加入額の30%の保障)。半壊、一部破損、床上浸水の場合は所定の基準に従って保障が受けられます。

3. 火災共済に加入時に地震の損害を受けたときの保障額

同じく上記の条件で地震によって半壊・半焼以上の損害を受けた場合、加入額の20%、740万円の保障が受けられます。なお、地震特約に加入していない場合は加入額の5%、185万円の保障が受けられます(保障額は最大で300万円)。

4.火災共済・地震特約に加入したときの掛け金

掛け金は、上記の保障金額で木造住宅の場合、住宅への保障が月額1,470円、家財への保障が月額1,120円、地震特約が月額2,331円です。なお、掛け金を年払いにすると約5%安くなります。また、住宅が鉄筋コンクリート造りの場合、火災保険の掛け金が約40%、地震特約の掛け金が約45%安くなります。

5.風水害・地震での損害程度の判定

風水害・地震で受けた住宅の損害が全壊・半壊の判定は、市町村が発行した罹災証明書による判定となります。

巨大化する自然災害の損害に対して公助による一定の支援が期待できますが、公助だけではスムーズな住宅・生活再建は困難です。全国共済の火災共済+地震特約で十分な備えをするようにしてください。

全国共済への加入をお考えの方は、まずは資料請求からいかがでしょうか?
こちらから全国共済への資料請求ができますので、ぜひお役立てください。