持病があっても加入できる?引受基準緩和型保険とは?
生命保険や医療保険への加入率は公益財団法人 生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(2019年)」によると、男性は81.1%、女性は82.9%です。多くの人が長い人生を安心して生活できるように保険に加入しています。しかし、保険には無条件で加入できません。通常の保険に加入するには加入条件をクリアすることが必要です。持病があると条件をクリアできずに加入できない可能性があります。一方、持病があっても人生を長く生きられるように持病の進行や症状を抑えたり、よりよい治療ができたりと医療技術は年々進歩しています。そこで、持病があっても長い人生を安心して生活できるように通常の生命保険に加入できなくても加入できる可能性のある引受基準緩和型保険について紹介します。
第一章 引受基準緩和型保険とは?
1.引受基準緩和型保険の概要
引受基準緩和型保険とは、持病などによって加入時の条件をクリアできないときでも加入できるように通常の保険よりも加入基準の甘い保険のことです。
一般的に、生命保険などは加入時に過去の持病や病歴なども含め、多数の項目について健康状態を詳細に告知する義務があります。一方、引受基準緩和型保険は、持病や入院・手術歴などの告知項目が少なく、告知内容も簡単です。以下の告知項目に対して、すべて「いいえ」と回答できれば原則として加入できます。
一般的な引受基準緩和型保険の告知項目は以下のとおりです。
- 入院・手術・検査・先進医療を最近3カ月以内に医師にすすめられましたか?
- 入院または手術を過去2年以内にしましたか?
- がん・肝硬変・慢性肝炎で医師の診察・検査・治療・投薬を過去5年以内に受けましたか?
なお、上記の期間・病名・受けた治療など告知に必要な詳細内容は保険会社によって異なります。保険会社によっては別表などで、「心臓病」「脳卒中」「認知症」「うつ病」「糖尿病の合併症」など告知対象となる病名を多く記載しています。その場合、自分の持病や過去の病歴がそれらに該当しないか、発症した日はいつか、投薬を受け始めた日はいつかなどの細かい確認が必要になる場合があります。
引受基準緩和型保険の告知については医師の診断・審査はなく、自分の意思で告知内容を決められますが、告知内容には自己責任が求められます。例えば、この程度であれば問題はないと勝手に判断して、病歴などを偽って告知すると告知義務違反になる可能性があります。告知した内容が事実と異なることが判明すると、場合によっては給付金(保険金)の支払いを受けられず、契約も解除されて支払った保険料が無駄になります。告知すべきか、告知しなくてもよいのか判断が難しい場合、保険会社に確認することをおすすめします。告知は、保険会社の担当者に口頭で伝えても告知したことになりません。告知の書面に明確に記載しておきます。また、担当者に告知は不要と言われても書面で、その旨を記録に残しておきましょう。
2.引受基準緩和型保険の保障内容
引受基準緩和型保険には、入院給付金や手術給付金などがあり、一般的な保険と同じように見えます。しかし、保障内容は以下のような制限や制約がついています。加入時には給付金の支給条件をよく調べることが重要です。ただし、保険会社や商品によって詳細は異なります。
- 入院保障限度日数が少ない
- 日帰り手術費用が減額されている
- 免責期間が設定されている(契約後1年間は入院や手術などの給付金の金額が50%削減など)
- 入院や手術の保障は、障害(ケガ)のみで病気は対象外になっている など
3.引受基準緩和型保険の保険料
引受基準緩和型保険は、一般的な保険に比べて保障内容が厳しいうえに保険料が高く設定されています。保障内容や保険会社によって異なりますが、2割~5割程度高額です。
保険料が高額になるため、引受基準緩和型保険へ加入を検討するときは、まず多くの保険会社に通常の保険に加入できないか相談してください。各保険会社の加入基準は異なるため、持病の内容によっては1社に加入を断られても別の保険会社には加入できる可能性があります。なお、一般的に民間の保険会社よりも共済の加入基準は緩いので、共済へ加入できないか忘れずに相談することをおすすめします。
第二章 なぜ保険は持病があると加入しにくいの?
持病のある人が保険に加入しにくい、あるいは加入できない理由は、健康な人と同じ条件で保険に加入できると制度の公平さが失われるからです。持病がある人の病気になる確率や死亡する確率は健康な人より高いため、同じ条件で加入できると持病のある人より健康な人の保険料の負担が重くなり不公平さが生じます。生命保険や医療保険に限らず異なる保険でも同様に公平になるような制度・仕組みが作られています。例えば自動車保険は同じ保険に加入できますが、事故を起こす頻度や年齢、年間の走行キロ数など、事故を起こす確率の高い人は保険料が高額に設定されています。また、火災保険でも火災の被害に差が出る木造住宅とマンションなどのコンクリート住宅では保険料に差がついています。
第三章 無選択型保険とは?
引受基準緩和型保険に似ている保険として無選択型保険があります。無選択型保険とは、持病やその他の健康状態を保険会社に告知や医師の診断を受けなくても加入できる保険のことです。ただし、無条件で加入できるわけではありません。「病気で入院中」「余命宣告を受けた」など健康状態に大きな問題がある場合、あるいは年齢が高くなりすぎると加入できないのが一般的です。
無選択型保険は、一般的な保険に比べて保険料が高く、給付金(保険金)の額は低くなります。また、免責事由の範囲も広いので注意が必要です。保険会社によって異なりますが、一般的に以下のような制約があります。加入時には、保障内容と保障条件をよく確認するようにしてください。
- 契約日から一定期間内に病気で死亡したときは、死亡保険金ではなく払い込んだ保険料相当額しか受け取れない
- 持病などは加入から一定期間が経過しないと保障されない
- 持病以外の病気でも、一定期間が経過しないと保障されない
第四章 まとめ
健康なときに生命保険や医療保険に加入しないで、健康状態に問題が起きてからでは保険に加入しようと思っても通常の保険には加入できない可能性があります。持病で通常の保険に加入できなくても加入できる可能性のある保険について紹介しました。いつ、どこで病気を発症し、ケガを負うかは予測ができません。持病が悪化して医療費が今以上にかさんだり、最悪は働き盛りの年齢で死亡したりするリスクもあります。長く安心した生活を送れるように、持病があるからと保険への加入を諦めずに加入を検討してみてください。
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