災害時の備蓄を効果的・効率的に行える「ローリングストック法」とは

自然災害が巨大化して数十年に一度の災害が毎年というほど日本の各地で起きています。また、近いうちに巨大地震が起きることも予想されています。これらの災害時には、支援物資やライフラインの復旧が遅れることから、従来は3日分の食品の備蓄が必要とされてきました。しかし、内閣府は3日分の備蓄では不足するとして少なくとも1週間分の備蓄を推奨しています。1週間分を賞味期限に注意して備蓄することは簡単なことではなく、また保存食では長期間になるほど食欲や栄養面で満足感を得ることは困難です。

そこで、まだあまり認知されていませんが、保存食による備蓄に変えて、通常の食生活をしながら、備蓄もできるローリングストック法という方法によって1週間分の食品を備蓄することを内閣府が推奨しています。災害に打ち勝つために重要な食生活を量的に不足させることもなく、また食欲や栄養面にも配慮できて充実した食生活を送れるローリングストック法とは、どのような方法かについて紹介します。

第一章 災害に備えるには3日分の食品の備蓄では不足な理由

大きな地震や洪水などの大きな自然災害が起きると道路や鉄道網が寸断され、食品や必要な日用品の調達が簡単にできなくなります。そのため、従来は最低3日分の備蓄が推奨されていました。しかし、年々自然災害の規模が大きくなり、また非常に大きな災害を広い地域にわたってもたらす可能性の高い南海トラフ巨大地震などに対しては、1週間以上の備蓄が望ましいとされています。

3日分が必要とされた理由は、災害発生から3日を過ぎると被災者の生存率が著しく下がってしまうため、災害の発生から3日間は人命救助が最優先されるからです。そのため、避難所への物資輸送や道路やライフラインの復旧のための本格的な作業は、原則としてその後に実施されます。そこで、この3日間は支援物資やライフラインの復旧がなくても自力で生存しなければならないため、少なくとも1人あたり3日分の備蓄が必要とされました。

しかし、巨大地震の東日本大震災と阪神・淡路大震災、および近い将来に起こる可能性が高いとされている首都直下地震での電気・水道・ガスのライフラインが9割程度復旧するまでの日数の実績と予測は内閣府などによると以下の表のとおりです。そのほか、近年の異常気象による水害や風害の規模が大きくなっており、完全に復旧するまでの時間が長引くようになってきています。また、復旧して支援物資が届いても、支援物資の食品では食欲がわかなかったり、栄養摂取が不十分になったりする恐れがあります。そのため、日常の食生活に近い食事が1週間できる備蓄が簡単にできる方法が求められています。

電気・水道・ガスの9割程度復旧までの日数

東日本大震災 阪神・淡路大震災 首都直下地震(予測)
電気 6日 2日 6日
水道 24日 37日 30日
ガス 34日 61日 55日

第二章 災害時の新しい備蓄方法「ローリングストック法」とは?

従来は、長期間の保存が可能な食品を1人あたり3日分備蓄することが推奨されていました。しかし、以下の問題点があり、うまく運用できていない家庭が多いのが現実です。

  • 3日分の食品では不足する可能性がある
  • 何をどれくらい保存したかを忘れてしまい、補充が的確にできなくて災害時の必要なときに不足する
  • 賞味期限を確認して入れ替えることが面倒で、必要なときに賞味期限切れで食べられない食品がでる
  • 食べ方を知らない、あるいは温めることが必要であったり、熱いお湯がないと食べられなかったりする保存食が混じっていて役に立たないことがある
  • 備蓄しっぱなしで、保存場所が収納場所の奥のほうになって入れ替えや賞味期限の確認がしにくい

そこで、内閣府は新しい備蓄方法としてローリングストック法を推奨しています。

1.ローリングストック法とは

備蓄する食品を保存食だけにしないで、災害時の食品の備蓄を日常の食生活のなかで行う方法が、ローリングストック法です。ローリングストック法とは、具体的には日常の食生活に必要な食品を、多めに買っておき、消費したらその分だけを新しく買い足して、常に一定量の食品を備蓄しておく方法のことです。多くの家庭では、切らすと困る調味料や調理時間がないなど簡単に食事を済ませたいときのためにインスタント食品、レトルト食品、缶詰など賞味期限の長い食品を予備として購入して保存しています。

ローリングストック法は、この日常の食生活で行っている予備の食品の購入・保存を災害時に必要な食品の備蓄としても活用することです。つまり、日常の食生活のために購入している食品にプラスして備蓄に必要な分も購入して、消費を繰り返しながら常に災害時に必要な備蓄分の食品を保存する方法です。これにより、備蓄食品の量や賞味期限が分かり、さらに災害時にも日常生活に近い食生活ができます。

2.ローリングストック法を成功させる3つのポイント

ローリングストック法をうまく運用するには以下の3つのポイントを徹底することが必要です。

ポイント1 賞味期限の短い・保存期間の古い食品から消費する

備蓄した食品を使うときは必ず賞味期限の短い・保存期間の古い食品から使います。そのためには備蓄するときに新しく購入した食品を右側(または左側、あるいは一番下)に置き、左側(または右側、あるいは一番上)から使っていくなど保存方法を決めて備蓄すると手間がかかりません。

ポイント2 使った分は必ず補充する

使った食品は必ず次回の買い物時に購入して補充します。買い物に行く機会が少なければ使った食品名や数量を都度、メモに書いておくとよいでしょう。ただし、備蓄分を一度に多く使ったときは、できるだけ早く補充するようにしなければなりません。災害がいつ起こるかは予測できず、運が悪いと補充する前に災害に遭う可能性があります。その場合、食品が不足してしまいます。

ポイント3 卓上カセットコンロを準備しておく

保存食であれば火や水がなくても食べられますが、ローリングストック法で備蓄する食品の多くは火で温めたり、熱いお湯を使ったりと簡単な調理が必要です。災害時は電気・水道・ガスが止まり、備蓄しても食品を調理して食べられないことがあります。特にガスの復旧は最も時間がかかるため、火が使えない期間が長くなる可能性があります。そのため、卓上カセットコンロとカセットガスボンベは必需品です。多くの家庭にあるかと思いますが、なければ用意しておく必要があります。また、実際に被災した人の多くが災害時には温かい食事をしたかったと語っています。温かくしなくても食べられる食品でも温めて、あるいは熱いお湯を使うことでおいしく食べられます。

3.ローリングストック法を食品以外で活用

ローリングストック法は、食品だけでなく日常生活で必要な日用品などの必需品にも利用できます。ウエットタオル、ティッシュペーパー、ラップ、紙皿(紙コップ)、乾電池、使い捨てカイロ、カセットボンベ、マウスウォッシュ、アルコール消毒液、綿棒、医薬品など日常的に使用する量にプラスした量を保存し、消費した量を常に補充しておくことで災害が起きても必要な品がなくて困るということを避けられます。

第三章 ローリングストック法での備蓄に適した食品の選び方

ローリングストック法で保存する食品は、日常の食生活で購入している食品で、数日間の保存ができるものであれば、特にこの食品でなければならないというものはありません。多くの家庭が、ふだんの生活で缶詰、インスタント食品、レトルト食品、パスタ類、調味料、根菜類などを購入しており、これらの食品は、日持ちします。しかし、以下のポイントにあてはまる食品であれば災害時の食生活に、より適した備蓄ができます。それらの食品を災害時は冷蔵庫が使えないことを前提に、家族全員が1週間に食べる量を保存し、消費した分の購入を繰り返すことで、備蓄した食品の鮮度を保て、日常生活に近い食生活を送れるメリットが得られます。

ポイント1 常温で食べられる食品であること

災害時には、基本的には電気やガスが使えないと考えて、常温で食べられるレトルト食品や、自然解凍で食べられる冷凍食品を多めに保存しておきます。

ポイント2 いつも食べているものと同じ食品・家族の年齢や好みにあった食品

避難所生活の場合、「好き嫌いがあって子どもが支援物資を食べない」「食物アレルギーがある場合、支援物資を簡単に食べられない」ことがあります。また、これらの特別な事情がなくても災害時には大人であってもストレスで食欲がなくなります。しかし、いつも食べている食品や好きな食品であれば食べられる可能性があります。高齢者や子どもはストレスに弱く食欲が落ちるので家族構成にあわせて、高齢者や子どもが好きな食品を、あるいは食物アレルギーを考慮した食品を多めに保存しておきましょう。

ポイント3 不足しがちな栄養がとれる食品

保存の利く食品は便利な反面、緑黄色野菜に多いビタミンAやビタミンCなどのビタミン、肉や魚から多く摂取できるたんぱく質などの栄養素が特に不足します。ビタミン類は、野菜や果物ジュースに含まれており、たんぱく質は肉や魚の缶詰やレトルト食品ですが摂取できます。また、高野豆腐などで植物性たんぱく質を摂取できます。ドライフルーツは、摂取が不足する食物繊維を多く含み、果物の甘みも感じられます。日常生活で食べていなくても、長期保存ができるので、できれば備蓄しておきたい食品の1つです。

ポイント4 水分を多く含む食品

食欲のないときは、食事をしてもなかなか喉を通りません。無理をして食べても、そのことがさらに食欲を失わせることがあります。しかし、水分を多く含む食品は比較的、簡単に摂取できます。ゼリータイプの食品や水分が多くて、歯であまりかまなくても摂取でき、栄養も取れるスープ類のレトルト食品を備蓄しておきましょう。

第四章 まとめ

いつ起こるか分からない災害にあったときに食品や水がないと助かるはずの命も、最悪は失う可能性があります。ローリングストック法では、1週間分の食品であっても簡単な方法で、しかも賞味期限を切らして無駄にしてしまうことや、災害時に使えないという問題を起こすこともなく備蓄できます。ただ、近年は洪水によって家屋が水没する災害も多く発生しています。河川が近いなど水害に遭うリスクの高い地域では、保管場所に注意して備蓄することも必要です。

また、災害から命を守るには食品・水が必須ですが、経済的に災害から命の次に大切な財産を守るには家屋や家財に対する保障を受けられるように万全の備えをしておくことが必要です。家屋や家財の保障は、全国共済の「新型火災共済」が、火災や風水害、地震(特約への加入で大きな保障)などによる災害の損害に対して、合理的な掛け金で幅広く受けられるのでおすすめです。


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