全国共済加入者が入れる「個人賠償責任保険」って何?

2018年11月20日

どんなに注意して生活していてもちょっとした不注意で、人の大切なモノを壊したり、人に大きなケガをさせたりするリスクは避けられません。特に小さな子どもは、周囲に対する十分な配慮ができず、何が高額でどれが重要なのかに対する知識がないため大きな事故を起こしやすいので注意が必要です。損害額が小さければよいのですが、数十万円をこえると家計の負担が大きくなります。特に、自転車事故では実際に裁判で約1億円の賠償が命じられており、一般の家庭では支払えず自己破産に追い込まれる可能性もあります。そこで、日常生活での過失によって損害賠償をしなければならなくなったときに補償をしてもらえる「個人賠償責任保険」について紹介します。「個人賠償責任保険」に加入することで、小さな負担で大きな安心が得られます。

第一章 個人賠償責任保険とは?

1.個人賠償責任保険の補償範囲

個人賠償責任保険とは、日常生活で生じた以下のようなさまざまな事故で法律上の賠償責任を負ったときに補償をしてくれる保険のことです。

  • 風呂や洗濯機の水をあふれさせて階下の部屋の家財を使用できなくしてしまった。
  • 洗濯物をベランダで干しているときに植木鉢を落として駐車中の車、あるいは通行人をキズつけてしまった。
  • スキーやスノーボードをしているとき、あるいは自転車で走行中に不注意で人に衝突してケガをさせてしまった。
  • デパートで買い物中に展示してある壊れ物の商品に誤ってぶつかって商品を割ってしまった。
  • 子どもが友達のオモチャなどを壊してしまった。
  • ボールで遊んでいた子どものボールが道路に飛びだし、バイクを運転中の人にあたって転倒させ、ケガをさせてしまった。など

これらの事故で高額な場合、数千万円にもなる賠償責任が実際に生じています。特に、近年は自転車事故による賠償金額が高額化し、約1億円という支払いを命じた裁判の判決も出ています。

2.個人賠償責任保険への加入方法

個人賠償責任保険への加入は一般的には他の保険に加入し、特約として加入する必要があります。保険だけでなく多くのクレジットカードに付帯されている個人賠償責任保険に特約として加入もできます。なお、特約での加入になるため、個人賠償責任保険だけへの加入はできません。例えば火災保険、自動車保険、傷害保険などに加入していないと利用できません。また、特約のため加入した保険を解約すると自動的に「個人賠償保険」も解約されます。特に加入後、長い期間が経過するとどの保険の特約に加入していたのかを忘れて、加入していた保険を解約すると万が一のとき利用できないので注意が必要です。また、補償内容の詳細は、それぞれの個人賠償責任保険によって異なるので加入するときは補償内容を十分に確認することが必要です。

3-1.個人賠償責任保険の特徴1 補償金額の割に保険料が安い

個人賠償責任保険の保険料は、保険やクレジットカードの種類、また補償される上限の金額、付帯されるサービスの内容によって変わりますが、年間で1,200円から5,000円程度です。補償金額は3,000万円程度から無制限まであります。補償金額を下げても保険料は年間で数百円程度しか変わらないので、安心ためには加入する個人賠償責任保険の上限額にしておくことをおすすめします。

3-2.個人賠償責任保険の特徴2 対象となる人の範囲が広い

個人賠償責任保険の2つ目の特徴は、保険料が安いだけでなく保険を利用できる人の範囲が広いことです。一般的には、加入者本人以外に下記の人の賠償責任に対して補償額が支払われます。他の保険では、家族全員を補償の対象にするには、保険料がアップする「家族タイプ」などに加入しなければなりませんが、個人賠償責任保険では保険料が変わらずに家族も利用できます。

  • 加入者の配偶者
  • 同居の親族
  • 生計を同一にする別居の未婚の子

以上の他に、社会の変化に対応して補償範囲が以下の事例に見られるように拡大しています。ただし、まだすべての個人賠償責任保険で補償範囲が拡大しているわけではありません。加入にあたっては事前の確認が必要です。

認知症の親族が起こした事故の補償

認知症患者の増加によって認知症患者が起こす事故が増加。家族が保護責任者として賠償を命じられるケースが出てきています。従来の個人賠償責任保険は、同居の親族であっても、心神喪失状態にある認知症患者が起こした事故やトラブルによる補償は対象外が一般的です。しかし、近年になって補償対象にする保険が増加しています。この場合、別居で認知症の親を介護する立場であれば補償を受けられます。なお、認知症患者の保護監督責任を十分に果たしていることが裁判で認められれば、法律上の賠償責任は生じません。

事実上の婚姻関係にある同性間のパートナーが起こした事故の補償

最近、東京都渋谷区が同性のカップルを一般的な男女の結婚に相当する関係として認め、パートナーシップ証明書の発行を開始。社会的にLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーなどのセクシャルマイノリティに対する総称)への対応が変化してきています。これを受けて、従来では補償の対象ではなかった事実上の婚姻関係にある同性間のパートナーが起こした賠償責任も従来の配偶者が起こした賠償責任と同様に扱うとする保険会社が現れています。

4.個人賠償責任保険で補償されない賠償責任とは

個人賠償責任保険で補償されるのは、偶然に起きた事故で他人にケガを負わせたり、他人のモノを壊したりして法律上の損害賠償責任を負ったときに負担しなければならない損害や関連する訴訟費用などに対してです。法律上の損害賠償責任がないにもかかわらず、相手と示談をして支払った損害は補償されません。

具体的には、以下のような事故では保険会社によって多少の差異はありますが、一般的に補償されません。また、個人賠償責任保険は特約で加入するため、間違って2つ以上加入していることもありますが、その場合、それぞれの個人賠償責任保険から重複して補償は受けられません。

  • 同居の親族に対する損害賠償事故
  • 他人から借りたモノや預かったモノを壊したり、キズをつけたりした賠償事故(最近、別途補償額が設定されて補償を受けられる保険も発売され始めています)
  • 業務遂行中に起こした業務に関連する賠償事故
  • 自動車、船舶、航空機などの車両の所有、管理、運転などによって生じた賠償事故(自転車による歩行者との事故や自転車に乗っていて、止まっている自動車にぶつかりキズを付けた事故は補償されます)
  • 地震などの天災や火災で他人のモノを壊したり、傷つけたりした賠償事故
  • その他、故意に起こした事故、ケンカなどの闘争による事故、スポーツ中に起きた事故などで法律上の賠償責任が生じない事故

5.個人賠償責任保険で確認しておきたい示談交渉サービス

最近の個人賠償責任保険には示談交渉サービス付きが主流になりつつあります。必ずしもすべてに示談交渉サービスが付帯されていません。損害賠償責任が発生すると補償金額とともに示談交渉をすることが精神的、時間的に大きな負担になりますが、このサービスが付いていると負担を大幅に軽減できます。

第二章 各社の個人賠償責任保険

共済加入者が入れる以下の個人賠償責任保険について保険料、補償内容など概要について紹介します。なお、各社の加入条件、補償内容、保険料は変更される可能性があります。加入の際は、最新の情報を各社のホームページで確認してください。

1.全国共済加入者が入れる保険

  • 1・1 年額保険料 1,680円(月額140円)
  • 1・2 補償金額  上限3億円
  • 1・3 示談交渉  サービス付き
  • 1・4 加入資格  生命共済または新型火災共済の加入者

2.コープ共済加入者が入れる保険

  • 2・1 年額保険料 1,680円(月額140円)
  • 2・2 補償金額  上限3億円
  • 2・3 示談交渉  サービス付き
  • 2・4 加入資格  「たすけあいのジュニア20コース、女性コース、医療コース、ベーシックコース」 「プラチナ85」「あいぷらすのゴールド85 3型・5型」の加入者

3.全労済加入者が入れる保険

  • 3・1 年額保険料 3,050円から4,400円(月額約254円から367円)
    *保険料には、家財が火災・風水害・落雷などによって被害にあった場合に受けられる保険の保険料も含まれます。
    *保険料は居住する家屋が木造の場合4,400円、鉄骨・耐火構造の場合3,500円、マンション構造の場合3,050円
  • 3・2 補償金額  上限1億円
  • 3・3 示談交渉  サービス付き
  • 3・4 加入資格  「家族のスマイルプラン」の加入者(加入すると自動的に個人賠償責任保険が付帯されます)
    *下記に該当する場合、全労済まで問い合わせると別のプランを案内してもらえます。
    ・住宅保障など「家族のスマイルプラン」以外の保障内容を希望する場合
    ・エコ設備を設置し使用している住宅(エコ住宅)に居住している場合
    ・持ち家(別棟)、持ち家(貸家)の契約を希望する場合
    ・全労済の火災共済・自然災害共済、または他の火災契約がある場合
    ・店舗などの併用住宅に居住している場合

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