日本を取り巻く自然災害リスクへの備え
日本は世界の国のなかでも自然災害が多く発生する国です。近年は、その自然災害の規模が大きくなって大きな被害をもたらしています。世界のなかで日本の自然災害がどれほど多く発生するのか、および自然災害から身を守る方法について紹介します。
第一章 先進国のなかで最も自然災害リスクが高い日本
1.日本が自然災害に遭うリスクが高い理由と世界の他の国との比較
日本は、以下の地形的・気候的な条件や国土の開発が進んでいることから世界の他の国と比較すると非常に自然災害が多く、災害が発生すると大きな被害が出る国です。
- 日本列島が4つのプレートによって形成され、地震活動、火山活動が活発なこと
- 平野部が少なく河川の長さに対して高低差が大きく、水の流れが急なこと
- 梅雨の季節があり、さらに大雨をもたらす台風の進路上に日本列島があって集中豪雨が起きやすいこと
- 土地の開発が進み、山裾、河川、海岸、火山などの近くまで住宅や農地が多いこと など
上記の条件によって日本が自然災害に遭うリスクが世界の他の国と比較してどれほど大きいかというと、国連大学が、世界の171カ国を対象に調査した報告書で分かります。報告書では日本が自然災害に見舞われるリスクは、世界で4番目に高いとされています。一方で、日本は災害に対する備え、対処能力が発展途上国などに比べると優れているので、全体として自然災害に対するリスクの高さは世界で17位の評価です。しかし、先進国に限るとアメリカは127位、イギリスは131位とほとんどの先進国が100位以下で、日本の災害に対するリスクは先進国のなかでは圧倒的に高くなっています。
内閣府によると、世界全体に占める日本の災害発生割合は、地震の回数で20.8%(マグニチュード6以上)、活火山の数7.0%、自然災害による死者数0.4%、災害による被害額18.3%を占めています。日本の国土面積は、世界の0.25%でしかないことを考慮すると、災害の数、被害がいかに多いか分かります。
また、スイスの再保険会社スイス・リーが、2013年に世界616都市を対象に自然災害による被災者数を推計した結果によると、トップ10の1位に東京・横浜、5位に大阪・神戸、7位に名古屋がランクされています。その他は、中国が2カ所(3位、8位)のほかは、フィリピン、インドネシア、インド、アメリカ、イランが各1カ所しかなく日本のリスクの高いことが示されています。
2.日本はどの自然災害のリスクが高いの?
日本は、台風、地震、豪雨による洪水や土砂災害などの被害に関するニュースが多く、これらの被害が多いと直感的に分かりますが、被害金額でみると、どのような自然災害による被害が大きいのでしょうか? 中小企業庁は、被害額と災害の発生件数別に、「地震」「台風」「洪水」「地すべり」「火山」の5つの自然災害について比率を発表しています。なお、災害の定義が「死者10人以上」「被災者100人以上」「緊急事態宣言の発令」「国際救援の要請」となっており一定規模以上の災害に限定されています。
2-1.被害額別の割合
- 地震 82.8%
- 台風 14.1%
- 洪水 3.1%
- 地すべり -
- 火山 -
2-2.発生件数別の割合
- 台風 57.6%
- 地震 16.8%
- 洪水 14.4%
- 地すべり 6.6%
- 火山 4.8%
被害額は、圧倒的に地震が多く、災害の発生件数では台風が最も多くなっています。住んでいるエリアによって、自然災害の脅威の大きさは異なりますが、地震、台風は影響を受ける範囲が広く、日本は地震の発生回数・台風の上陸回数も多いことから、日本のどこに住んでいても注意が必要です。洪水、地すべり、火山は住んでいるエリアによって脅威度が大きく変わりますが、自然災害の規模が大きくなって想定外のエリアで災害が発生する可能性が増えていることから、どこに住んでいても注意を怠らないようにしなければなりません。
第二章 災害への備えとしてできること
大自然の脅威は、人間の英知を持ってしても完全に防止できませんが、いつ自然災害が起きても大丈夫なように備えを適切にしておくことで、財産や最も大切な人命を失うリスクを大幅に軽減できます。
1.家具の転倒防止
阪神・淡路大震災では、建物の崩壊も激しかったのですが、建物に特別な被害がなくても家具の転倒によって、大ケガをしたり、家具の散乱で逃げ遅れたりして被害が大きくなりました。大型の家具、家電製品などを転倒しないようにしたり、転倒してもドアの開閉に支障がないように配置を考えたりすることで被害を小さくできます。
2.懐中電灯やスリッパを手元に常備
夜間の地震に備えてスムーズな避難ができるように懐中電灯やスリッパを手元においておきます。
3.食料・飲料・生活必需品などの備蓄
1人あたり、飲料水3日分(1人1日3リットルが目安)、非常食3日分(アルファ米、ビスケット、板チョコ、乾パンなど)、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、マッチ、ろうそく、カセットコンロなどを常に備蓄しておきます。なお、大規模地震では、3日分ではなく1週間分の備蓄が望ましいとされています。また、飲料水とは別に、トイレを流したりするための生活用水も必要なため、水道水を入れたプラスチック製のタンクを用意しておく、風呂の水をいつも張っておくなどの備えをしておくとより万全です。
4.非常用持ち出しバッグの準備
自宅から避難しなければならないことも考慮して、飲料水、食料品、貴重品(健康保険証を含む)、衣類(下着を含む)、その他、薬などの救急用品、ヘルメット、防災ずきん、マスク、軍手、懐中電灯、携帯ラジオ、予備電池、携帯電話の充電器、毛布、タオル、洗面用具、ウェットティッシュ、携帯トイレなどをすぐに持ち出せるように準備しておきます。乳児のいる家庭は、ミルク・紙おむつ・ほ乳びんなどの用意が必要です。寒い季節には使い捨てカイロも用意しておきましょう。
5.自宅、勤務先など居住・生活地域でのハザードマップの確認
ふだん生活している地域にどのようなリスクがあるのかを知っておくことが大切です。それによってさまざまな災害から生じる危険に迅速で適切な対応ができます。
国土交通省の「重ねるハザードマップ」で今、住んでいる地域のハザードマップを確認できます。また、全国の市町村が作成したハザードマップへも同じページにある「わがまちハザードマップ」から確認できます。使い方が、少し分かりにくいですが、それぞれの利用方法は操作マニュアルを読むと分かります。
6.災害情報の把握・確認と防災から身を守る知識の習得
災害の最新情報を、テレビ・ラジオ・インターネットで確認し、あわせて避難指示などに関する情報を入手して避難するタイミングが遅くならないようにしましょう。
また、さまざまな災害から身を守るために気象庁のホームページの「災害から身を守る」に記載されていることを読んで知識として持っておくと、慌てることなく冷静に災害に対処できます。
7.避難場所・避難経路の確認と災害の発生状況の確認
災害が起きたとき、あわてずにスムーズに避難できるように、今住んでいる近くの避難場所(避難所)がそこにあるかを確認しておきましょう。前述の国土交通省の「重ねるハザードマップ」や市町村のホームページにある防災情報マップや、配布されているパンフレットなどで確認できます。また、以下のスマートフォンアプリ、またはYahoo!JAPANホームページでも確認できます。
7-1.スマートフォンのアプリ
7-2.ホームページ
なお、避難場所への避難経路を災害の種類に応じて確認しておきましょう。避難経路としては、災害の種類にもよりますが、「狭い道路」「古い建物がある道路」「ガラス張りのビルが建つ道路」「大きな看板がある道路」「河川沿いの道路」「土砂災害やがけ崩れ・落石の危険がある道路」などを避けます。
8.避難場所の用語に関する知識
避難できる場所は、厳密には大きく分けて「避難場所(指定緊急避難場所)」と「避難所」の2種類があり、さらにそれぞれが2種類に分かれます。災害の大きさや利用目的などに応じて適切に使い分ける必要があります。また、災害の種類によって避難すべき場所が変わる可能性もあります。
避難できる場所は、厳密には大きく分けて「避難場所(指定緊急避難場所)」と「避難所」の2種類があり、さらにそれぞれが2種類に分かれます。災害の大きさや利用目的などに応じて適切に使い分ける必要があります。また、災害の種類によって避難すべき場所が変わる可能性もあります。
避難場所 (指定緊急避難場所) |
広域避難場所 | 市町村が指定した大規模な避難場所
(地震などによる火災が拡大して、地域全体が危険になったときなどに避難する場所) |
一時避難場所 | 危険を回避するために一時的に避難する場所 | |
避難所 |
指定避難所 | 災害の危険がなくなるまで、または自宅に戻れないため、一時的に滞在して生活できる場所
(市町村が指定した施設) |
福祉避難所 | 高齢者、障がい者、乳幼児など生活に配慮が必要な人が滞在して生活できる場所
(市町村が指定した施設) |
注)市町村によって「避難場所」「避難所」の名称が異なります。また、避難場所と避難所の両方を兼ねている場合があります。
8-1 警察、消防、防災責任者の指示を守ること
市区町村や気象庁などの避難に関する指示、警報、および避難するときは、警察・消防・地元の防災責任者などの指示に従って行動することが大切です。
8-2 自宅から避難するときの注意点
自宅から避難するときは以下の点に注意して避難します。
- 避難の前に、ガスの元栓など火の元に注意し、電気のブレーカーを落とし、戸締まりを確認すること
- 避難をするときは、持ち物を最小限にして両手を自由に使えるようにして、できれば複数人で一緒に避難すること
- 避難にあたっては、周囲の状況などを総合的に判断して避難すること(必ずしも指定の避難場所がベストとは限りません)
洪水の危険があるときは、以下の点にも注意しましょう。
- 洪水の危険が迫っているときは、車での避難は自動車が水につかると動かなくなったり、水圧で扉が開かなくなったりするので危険です。
- 避難時には、橋や川の近くはできるだけ避けて避難しましょう。また、大雨のときは川や用水路に増水・洪水の様子を見にいくのは危険なので避けましょう。
第三章 万が一に備えて共済へ加入すると安心
自然災害の被害を完全に防止することは困難です。自然災害の多い日本では災害に遭うリスクが高く、被災後の生活再建を早期にできるようにするためにも全国共済の新型火災共済および地震特約へ加入することをおすすめします。
万が一のとき、火災・地震以外の災害にも幅広く保障を受けられます。詳しくは全国共済の窓口へお問い合わせください。自然災害の被害を完全に防止することは困難です。自然災害の多い日本では災害に遭うリスクが高く、被災後の生活再建を早期にできるようにするためにも全国共済の新型火災共済および地震特約へ加入することをおすすめします。万が一のとき、火災・地震以外の災害にも幅広く保障を受けられます。
詳しくは全国共済の窓口へお問い合わせください。
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