共済と保険ではどちらが適している?それぞれのメリットとデメリット
生活協同組合や農業協同組合などによる共済事業も、民間の保険会社による保険事業も、死亡、病気、ケガ、火災や地震などのリスクに備えられます。では、どちらに加入したほうが、より合理的で十分な保障を受けられるのでしょうか。それぞれのメリットとデメリット、および共済と保険のどちらに加入するほうがよいのか選び方のポイントについて解説します。
第一章 共済と保険の主な違いは?
共済と保険の主な違いに、「事業目的」「加入(契約)対象者」「取扱商品の種類・特徴」「根拠法令・監督官庁」「使われている用語」などがあります。まとめると以下の表のとおりです。
共済 | 保険 | |
事業目的 | 非営利目的 (組合員の相互扶助が目的) |
営利目的 (利益の獲得が目的) |
加入(契約)対象者 | 組合員および地域などに限定がある | 不特定多数 |
取扱商品の種類 | 保険に比べて種類が少ない | 種類が多い (共済では受けられない保障も受けられる) |
商品の特徴 | 年齢やライフステージなどに合わせて、きめ細かな保障内容にできるカスタマイズの自由度が低い | 共済に比べて保障内容を自分に合わせてカスタマイズできる自由度が高い |
監督官庁
根拠法令(注) |
厚生労働省、農林水産省など
消費生活協同組合法、農業協同組合法など |
金融庁
保険業法 |
使われている用語 | 共済掛金
共済金 加入者 割戻金 |
保険料
保険金 契約者 配当金 |
(注)監督官庁・根拠法がなく共済事業を行っている小規模な共済組合があります。詳しくは金融庁の「根拠法のない共済について」を参照してください。監督官庁があると、共済事業に関して法令違反の有無、経営状況、リスク管理などに対する監督が行われ、経営破綻などに対する一定の歯止めがかかります。
第二章 共済のメリット・デメリット
共済と保険はほぼ同じ種類のリスクに備えられますが、前述のとおり事業目的や加入(契約)対象者、取扱商品の種類・特徴などが異なります。そこからそれぞれにメリット・デメリットが生じています。まず共済のメリット・デメリットを紹介し、次に保険のメリット・デメリットを紹介します。
1.共済の4つの主なメリット
1-1 保険と比較して掛金が割安
共済事業は非営利を目的として運営されているため、利益を目的とする保険事業よりも掛金が保険料に比べて安くなっています。さらに共済事業では、毎年の決算で生じた余剰金は原則として割戻金として加入者に還元されます。割戻金の還元率や還元方法、還元の条件は、共済組合や加入する商品によって異なります。
1-2 ほとんどの共済は掛金が一律
ほとんどの共済は、保障内容が同じ場合、原則として年齢や性別による掛金の違いがありません。ただし、高齢者と高齢者以外では、掛金が同程度であれば保障が小さくなり、保障が同じであれば掛金が高くなります。
1-3 保障内容がシンプルでわかりやすい
共済の多くの商品は保障内容がシンプルで、保障を年齢やライフステージなどできめ細かく設定できません。また、掛金も多くの場合、年齢や性別などに関係なく一律のため、掛金と保障内容をすぐに把握できます。一方、保険ではきめ細かく設定できますが、保障内容と保険料の関係がわかりにくく、見積もりをしないと把握ができない面倒さがあります。
1-4 告知義務による加入制限が保険よりも一般的に緩く加入しやすい
共済は加入時の告知(健康状態の報告)が、一般的に保険より緩いので加入しやすくなっています。保険では加入条件の審査が厳しい一方で、保障内容を制限して加入が可能な保険や、保険料が高くなる代わりに加入できる保険などが用意されています。
2.共済の2つの主なデメリット
2-1 保険に比べて商品の種類・保障が充実していない
自分にあった保障内容の商品を選んだり、きめ細かく保障を設定したりはできません。そのため、貯蓄性のある商品への加入や、あるいはカスタマイズして死亡したときの保障だけを大きくするなどはできません。また共済には高齢者には適した商品が少なく、選択肢が狭くなるなどの問題もあります。
2-2 組合員になる必要がある
保険はどこに住んでいても好きな保険に加入できますが、共済では組合員になる必要があります。共済事業を行っている組合は1つではないため、複数の共済を利用したい場合、それぞれの組合員にならないと利用できません。また、特定の地域内に住んでいるか、その地域内の会社に勤務していないと組合員になれないなどの制限があります。
第三章 保険のメリット・デメリット
1.保険の2つの主なメリット
1-1 商品の種類が多く保障内容のカスタマイズも細かくできる
保険は共済よりも商品の種類がはるかに多くていろいろな特徴を持った保険商品を選べます。さらに、保障内容を細かくカスタマイズでき、自分に合った保障内容にして加入できます。
1-2. 公的なセーフティネットがある
金融庁の監督を受ける保険会社は、生命保険契約者保護機構に加盟しています。そのため加入している保険会社が経営破綻しても他の保険会社または保険機構が契約を引き受けるため、保障を継続して受けられます。
2.保険の2つの主なデメリット
2-1 共済と比較して保険料が割高
保険会社は利益追求が目的です。そのため競争に勝つために広告宣伝費・販促費が増加し、株主への配当金による還元が必要になるなど保険料が割高になっています。また、選べる商品が多く、カスタマイズ性も高いということは、その分多くの管理コストがかかるため保険料が高くなります。
2-2 自分に適した保障内容の商品を選びにくい
保険には商品の種類が多く保障内容のカスタマイズを細かくできるメリットがあります。一方で、保障内容がわかりにくいため、よく調べないと余分な保障をつけて無駄が生じる可能性があります。また、保険料を抑えるために保障を削りすぎて不十分な保障で保険に加入する可能性も高くなります。その場合、死亡や病気・ケガをしたときに十分な保障を受けられないという問題が起きる可能性があります。
第四章 共済と保険どちらが適している?選び方のポイント
共済と保険の大きな違いは、コスト(掛金または保険料)の違いと保障内容の種類・カスタマイズ性の自由度の違いです。この2つのポイントで選ぶと割安なコストでムダの少ない保障内容にできます。
1.共済への加入が適している人や条件
1-1 割安な掛金で最低限のリスクに備えたい場合
最低限のリスクにできるだけ割安なコストで備えたいときは、高額な保障やきめ細かな保障は不要なため、共済が適しています。ただし、共済で十分な保障が得られないときは、基本の保障を共済にして、共済ではカバーできない保障を保険で補完するとよいでしょう。なお、共済でも特約を付加することで、保障内容を充実させられます。先に共済の特約をよく調べましょう。
1-2 職業や持病・既往症などで保険への加入が困難な場合
保険に入りにくい職業や持病・既往症がある場合も、共済であれば加入できる可能性があります。ただし、保険でも、保険料は高額になりますが、加入条件が緩和された保険に加入できる可能性があります。
1-3 保険に加入しているけれどその保険では保障が不足するのでカバーしたい場合
保険に加入したとき、保険料の負担が重くて保障内容を抑えて加入することがあります。あるいは、加入後に結婚や子どもができるなどのライフステージの変化で、保障内容を増やしたり、手厚くしたりしたいとき、共済なら割安なコストで保障を追加できます。
2.保険への加入が適している人
2-1 共済では無理な保障内容・金額の保険に加入したい場合
共済は保障の種類が保険よりも少なく、またカスタマイズ性も低いため、コストよりも保障内容を重視したい場合は保険が適しています。
2-2 保障と同時に貯蓄も兼ねたい場合
保険には、掛け捨て型で貯蓄性のない商品のほかに貯蓄性のある保険を扱っています。目的に応じて「終身保険」「養老保険」「学資保険」「個人年金保険」などの保険に貯蓄性があります。共済では一部の共済組合が同様な商品を扱っていますが、種類が少なく選択肢は保険ほど多くありません。また、貯蓄性保険ではありませんが、病気やケガで収入が途絶えたときに保障が受けられる「収入保障保険」なども保険であれば加入できます。
第五章 まとめ
共済と保険の違いをよく理解することで両方のメリットを生かし、デメリットを補完してリスクに合理的に備えられます。共済は掛金が安くて保障内容がわかりやすいメリットがあります。一方、保険は保険料が割高ですが、きめ細かな保障を受けられるように自由度の高いカスタマイズできるメリットがあります。そのため、まず共済への加入を検討しましょう。共済で受けられる保障内容や金額に不足がある場合、不足する保障内容を保険でカバーするように検討するとコストを抑えて充実した保障が受けられるようにできます。
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