シニア世代はロコモティブシンドローム(ロコモ)に注意して予防が重要!

2018年の日本人の平均寿命は、厚生労働省の発表によると男性が81.25歳、女性が87.32歳でともに過去最高でした。一方、介護を必要としないで自立して生活できる年齢を表す「健康寿命」は2016年のデータですが、男性が72.14歳、女性が74.79歳です。平均寿命との差が約9年から13年もあります。

この現状が続くと医療費や介護費の国庫負担が増えるだけでなく、1人当たりの年金受給額も実質的に下がって貧困な高齢者が増加するだろうと有識者は指摘しています。そのため厚生労働省は2040年までに男女とも健康寿命を3年以上延ばす目標を掲げ、健康寿命を短くする原因となる「ロコモティブシンドローム(通称 ロコモ)」や「認知症」などの対策をすすめています。今回は支援・介護が必要になって自立した生活ができなくなる最も大きな原因であるロコモとは何か、ロコモかどうかの確認方法、および予防策について紹介します。

第一章 ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは?

1.ロコモとは

ロコモとは、筋肉や骨、関節など私たちが体を動かす器官である運動器に何らかの障害が起こり、「立つ・座る」「歩く」「重いものを持つ」などの移動機能が低下して日常生活に支障が生じている状態のことです。これにより体を自由に動かせなくなって徐々に「つまずく」「転ぶ」「軽作業ができなくなる」などの支障が発生し、自立した生活が困難になっていきます。ロコモは、最初は動作をゆっくりとしたり、つえなどの補助器具を利用したりすることで自立した生活ができます。しかし、進行すると介護が必要になり本人だけでなく家族も生活の質(QOL)が低下するため、ロコモを予防してできるだけ長く自立した生活を送れるようにすることが重要です。

公益社団法人 日本整形外科学会が公認する「ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト 」には支援・介護が必要になった原因が記載されています。それによると、運動器の障害(ロコモ)が最も多く1位です。

  • 1位 運動器の障害:24.6%
  • 2位 認知症:18.0%
  • 3位 脳血管疾患:16.6%
  • 4位 高齢による衰弱:13.3%
  • 5位 その他:27.5%

2.ロコモ人口と要支援・要介護者数

公益社団法人 日本整形外科学会のホームページにはロコモ人口は予備軍も含めると推定で4700万人 に達すると書かれています。この人数は総人口の37%強 を占めます。高齢者に限定すると比率はさらに大きくなります。

また、要介護・要支援の認定者数は厚生労働省が公表している「介護保険事業状況報告」によると、2019年4月末時点で約659万人 (男性約207万人、約女性452万人)です。この人数は65歳以上の人口に対して5人に1人の約18%強です。高齢になるほど比率は高まることから要支援・要介護になる大きな原因のロコモにならないように注意をする必要があります。

第二章 ロコモティブシンドローム(ロコモ)とメタボリックシンドローム(メタボ)は密接に関係

ロコモは、加齢による骨や筋肉の衰え、過度なダイエットや激しすぎる運動などのほかにメタボリックシンドローム(メタボ)が大きく関係しています。その理由は、メタボになる主な原因が運動不足や不適切な食生活習慣にあるからです。運動不足、および低栄養や栄養のバランスの悪い不適切な食生活では骨や筋肉を十分に強くできません。また、メタボになると動脈硬化が促進されて心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる病気を発症するリスクが高くなるうえ、命が助かっても重い後遺症で体が不自由になる可能性があります。また、肥満によって足腰の関節の負担が増大するほか、骨粗しょう症など運動器の機能が大きく低下する病気になる可能性が高まります。

メタボはロコモに、ロコモはメタボにお互いに悪影響を与えます。特に40歳を過ぎると悪影響が強まります。厚生労働省によるとメタボに該当するのは40歳から74歳では男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボの疑いの強い人(該当者)と予備軍であると公表しています。具体的な人数はメタボ該当者が約960万人、その予備軍が約980万人で合計約1,940万人 です。

第三章 ロコモティブシンドローム(ロコモ)の確認方法と予防策

1.ロコモかどうかの簡単な確認方法

自分では問題ないと思っていてもロコモの兆候があるかもしれません。ロコモは、どの程度の障害が起きたときにロコモであるかを判断するのはなかなか困難ですが、早く分かって予防策を実行すれば予防を効果的に行えます。ロコモの兆候やロコモの程度を知るには公益社団法人日本整形外科学会が公認する「ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト」にある「ロコチェック」「立ち上がりテスト」「2ステップテスト」「ロコモ25」を使うと簡単に確認できます。確認の結果、ロコモに該当しなくても加齢とともに運動器は必ず衰えていくので予防を早い段階から心がけて実行することが大切です。

1-1 ロコチエック (ロコモの兆候の確認)

ロコチェック」では、以下の7項目のいずれか1つに当てはまればロコモの可能性があります。

  1. 片足立ちで靴下がはけない
  2. 家のなかでつまずいたり、すべったりする
  3. 階段を上がるのに手すりが必要である
  4. 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
  5. 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1リットルの牛乳パック2個程度)
  6. 15分くらい続けて歩くことが困難である
  7. 横断歩道を青信号で渡りきれない

1-2 立ち上がりテスト (脚力やバランス能力の確認)

このテストでは、片足または両足でどの程度の高さから立ち上がれるかによって下肢筋力の強さを測定し、ロコモ度を判定します。下肢筋力が一定以上弱まると体をスムーズに移動できなくなりロコモと判定されます。なお、テストは無理をしないように、またテスト中に膝に痛みが起きそうな場合や痛みを感じるときは中止します。無理をして立ち上がろうと反動をつけると後方に転倒する恐れがあり危険です。

テストは、最初に高さ40cmの台に腰掛けて、両足で反動を付けずに立ち上がれるかどうかを確認します。できない場合、この時点で「ロコモ度2」と判定されます。「ロコモ度2」とは、体を移動させる機能の低下が進行しており、将来、自立した生活ができなくなるリスクが高い状態のことです。特に痛みを伴っていれば何らかの運動器疾患が発症している可能性もあります。その場合は整形外科専門医の受診をおすすめします。

両足立ちができた人は次に左右それぞれ片足で40cmの台から反動を付けずに立ち上がれるかを確認します。できた場合は、30cm、20cm、10cmの順に徐々に高い台から低い台へ同様に立ち上がれるかを確認し、左右両方とも片足で立ち上がれた台の高さがテスト結果です。できなかった場合は、30cm、20cm、10cmの順に徐々に高い台から低い台へと今度は片足ではなく両足で同様に立ち上がれるかを確認し、両足で立ち上がれた台の高さがテスト結果です。

テスト結果で、どちらか一方の片足で40cmの高さの台から立ち上がれないと「ロコモ度1」と判定されます。「ロコモ度1」は、体を移動させる機能の低下が始まっており、筋力やバランスを保つ能力が落ちてきている状態です。進行を予防するにはロコモーショントレーニングなど運動を習慣づける必要があります。また、栄養バランスに注意し、十分なたんぱく質とカルシウムを摂るように心がけることが必要です。テスト結果で、両足で20cmの高さから立ち上がれないと「ロコモ度2」と判定されます。テスト方法が分かりにくい場合は、日本整形外科学会のホームページで確認してください。

1-3 2ステップテスト (脚力やバランス能力に加えて柔軟性の確認)

このテストでは歩幅を測定します。歩幅を調べることで下肢の筋力・バランス能力・柔軟性などを含めた歩行能力を総合的に判定できます。

テストは、スタートラインを決めて両足のつま先をそろえて立ち、次にできる限り大股で2歩歩いて両足をそろえて立ちます。この位置に印を付けて2歩分の歩幅を測定(2回測定を行い距離の長いほうを記録)します。次に測定した距離を自分の身長で割ります。計算結果を2ステップ値としてロコモ度を判定します。なお、バランスをくずした場合はバランスをくずさないでできた距離を測定します。

1-4 ロコモ25テスト (体の状態、生活状況からロコモ度の確認)

このテストは、最近の体の状態、生活状況に関して以下の25の質問に答えるとロコモ度が判定されます。質問のすべてに回答して判定結果を見ると点数が表示され、点数が7点以上、16点未満は「ロコモ度1」、16点以上は「ロコモ度2」です。「ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト」で確認すると点数が自動的に集計されます。自分で計算する場合は、選んだ選択肢を記録して最初の選択肢が0点、次が1点、2点、3点、4点として合計点数を算出します。

1-4-1 最近1カ月の体の痛みに関する質問

以下の質問に対してそれぞれ「痛くない」「少し痛い」「中程度痛い」「かなり痛い」「ひどく痛い」のいずれかで回答します。

  • 1.頚・肩・腕・手のどこかに痛み(しびれも含む)がありますか
  • 2.背中・腰・お尻のどこかに痛みがありますか
  • 3.下肢(脚のつけね、太もも、膝、ふくらはぎ、すね、足首、足)のどこかに痛み(しびれも含む)がありますか以下の質問に対して「つらくない」「少しつらい」「中程度つらい」「かなりつらい」「ひどくつらい」のいずれかで回答します。
  • 4.ふだんの生活で体を動かすのはどの程度つらいと感じますか。

1-4-2 最近1カ月のふだんの生活に関する質問

以下の質問に対してそれぞれ「困難でない」「少し困難」「中程度困難」「かなり困難」「ひどく困難」のいずれかで回答します。

  • 5.ベッドや寝床から起きたり、横になったりするのはどの程度困難ですか
  • 6.腰掛けから立ち上がるのはどの程度困難ですか
  • 7.家の中を歩くのはどの程度困難ですか
  • 8.シャツを着たり脱いだりするのはどの程度困難ですか
  • 9.ズボンやパンツを着たり脱いだりするのはどの程度困難ですか
  • 10.トイレで用足しをするのはどの程度困難ですか
  • 11.お風呂で体を洗うのはどの程度困難ですか
  • 12.階段の昇り降りはどの程度困難ですか
  • 13.急ぎ足で歩くのはどの程度困難ですか
  • 14.外に出かけるとき、身だしなみを整えるのはどの程度困難ですか
  • 15.隣・近所に外出するのはどの程度困難ですか
  • 16.2kg程度の買い物(1リットルの牛乳パック2個程度)をして持ち帰ることはどの程度困難ですか
  • 17.電車やバスを利用して外出するのはどの程度困難ですか
  • 18.家の軽い仕事(食事の準備や後始末、簡単なかたづけなど)は、どの程度困難ですか
  • 19.家のやや重い仕事(掃除機の使用、ふとんの上げ下ろしなど)は、どの程度困難ですか
  • 20.スポーツや踊り(ジョギング、水泳、ゲートボール、ダンスなど)は、どの程度困難ですか

以下の質問に対して「控えていない」「少し控えている」「中程度控えている」「かなり控えている」「控えている」のいずれかで回答します。

  • 21.親しい人や友人とのおつき合いを控えていますか
  • 22.地域での活動やイベント、行事への参加を控えていますか

以下の質問に対して「2~3km以上」「1km程度」「300m程度」「100m程度」「10m程度」のいずれかに最も近いものを回答します。

  • 23.休まずにどれくらい歩き続けられますか

以下の質問に対して「不安はない」「少し不安」「中程度不安」「かなり不安」「ひどく不安」いずれかで回答します。

  • 24.家の中で転ぶのではないかと不安ですか
  • 25.先行き歩けなくなるのではないかと不安ですか

2.ロコモの予防策

ロコモを予防するには栄養バランスの取れた食事と適度な運動をすることを若いときから習慣にして継続することが必要です。これにより効果的に骨と筋肉などの運動器を強くできます。また、ロコモを予防することはメタボの予防にもなります。

2-1 ロコモの予防に効果的な食事

ロコモ予防には、炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルの「5大栄養素」をバランス良く、また規則正しく摂取することが必要です。特に骨を強くするには、カルシウムが不足しないように緑黄色野菜、海藻類、大豆製品、および牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品や小魚を多めに摂るようにします。また、カルシウムを体内に効果的に吸収するにはビタミンDが不足しないようにしなければなりません。さらに、骨の形成や維持に働くビタミンKや葉酸、およびマグネシウムなども必要です。これらのビタミン、ミネラルは納豆、青菜、大豆、海藻、ほうれん草などに多く含まれています。なお、ビタミンDは食事以外にも日光を浴びることで体のなかでつくり出せ、日光浴をすることも骨の形成に役立ちます。

2-2 ロコモの予防に効果的な運動

筋肉は使わなければ急激に弱くなります。また、骨は負荷をかけることで強くなります。そのため筋肉や骨をつくるために食事に注意し、同時に運動をして骨や筋肉を使うことが必要です。運動といってもスポーツをする必要はなくウォーキングや簡単な手足を動かす体操、つま先立ちしてかかとを落としたり、足を踏み出して元にもどしたり、テーブルに手を添えて片足で立つことの繰り返しなどでも問題ありません。

2-3 ロコモ予防を開始したい時期

筋肉量や骨密度は40歳ころから低下し始めて、50歳以降になると急激に低下していきます。そのため遅くとも40歳前からは意識してロコモを予防するようにしましょう。幸いに筋肉や骨は意識すれば自分で鍛えられるので運動器の寿命=健康寿命を延ばせます。

第四章 まとめ

ロコモ予防は、栄養バランスのとれた食事と適度な運動で効果的に予防できます。しかし、加齢や病気などで健康寿命を維持できずやむを得ず病気やケガで入院し治療を受けなければならなくなることも起こります。万が一の備えとして、合理的な掛け金で大きな安心が得られる全国共済への加入をおすすめします。

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