共済金の受け取り順序について

全国共済に加入していて共済金を受け取ることになったとき、病気やケガのときの受取人は本人なので誰が受け取るかで問題が発生することはありません。しかし、万が一、事故や病気で本人が亡くなったときの死亡共済金は、当然ですが本人は受け取れません。死亡共済金は、一般的には万が一の死亡に備えて遺族となる配偶者や子どもの生活費の負担を軽減する目的で加入しますが、全国共済では原則として受取人の指定ができず、死亡共済金の受取人の順序が決められています。

将来、家族関係が現在の状態から変化していく可能性もあることから、念のため死亡共済金の受け取り順序を知っておくことは無駄ではありません。また、法律が定める遺産相続の対象となる財産と共済金の扱いは異なります。そこで、全国共済の死亡共済金の受取人の順序、および死亡によって生じる大きな金額の共済金の受け取りは、相続の金額に大きな影響を与え、相続財産としての扱いが異なることから、遺産を相続する権利のある相続人、相続の順序、相続する割合についても解説します。

第一章 全国共済の受取人順序

1.全国共済の生命共済(こども型を除く)

全国共済の生命共済(こども型を除く)の受取人はご加入者本人ですが、死亡共済金の受取人は、ご加入者の死亡時点における以下の順序に決まっています。

1位 ご加入者の配偶者

ご加入者と同一世帯に属するご加入者の
2位 子ども
3位 孫
4位 父母
5位 祖父母
6位 兄弟姉妹

ご加入者と同一世帯に属さないご加入者の
7位 子ども
8位 孫
9位 父母
10位 祖父母
11位 兄弟姉妹
12位 同一世帯に属さない甥・姪(おい・めい)

2.全国共済の生命共済(こども型)

こども型の場合、共済金の受取人はご契約者本人ですが、ご契約者が亡くなった場合に支払われる共済金および損害賠償共済金の受取人は、ご加入者の子どもです。もし、ご契約者と子どもが同時に亡くなった場合、子どもの死亡共済金の受取人は、子どもの死亡時点における以下の順序に決まっています。

こどもと同一世帯に属し、生計を一にする子どもの
1位 父母
2位 祖父母
3位 兄弟姉妹
4位 同一世帯に属する方

その他、子供の
5位 父母
6位 祖父母
7位 兄弟姉妹

*同一世帯に属するとは、ご加入者と別の住所に住んでいても、その理由が「修学、療養、勤務など」の事情によると判断されるときは、同一世帯に属します。
*各順序の同一世帯に属する方のなかでは、ご加入者によって扶養されている方がいればその方が上位の受取人です。
*生命共済(こども型を除く)の死亡共済金の受取人は、ご加入者が全国共済の承認を得ることで以下の条件を満たす方に限って指定または変更ができます。
(1)ご加入者に婚姻の届出のある配偶者がいない場合で、ご加入者と内縁関係にある方
(2)特別な事情がある場合で、以下の方
(2-1)前記2位~4位の方
(2-2)ご加入者に婚姻の届出のある配偶者がいない場合で、ご加入者と同居、もしくは日常生活において世帯員と同様な生活状態にある方またはそれに準ずる方
*特約コースの共済金の受取人は生命共済(こども型を除く)と同様です。
*遺言による受取人の指定・変更はできません。
*死亡共済金の受取人が複数人のときは、その受取割合は均等です。

第二章 遺産相続の順序

人が亡くなったときには、その人が生前に所有していた財産(遺産)は、法律でどのような順序で、誰が受け取る権利があって、どのように割合で分配しなければならないかが定められています。死亡で生じる共済金は、相続税法では相続の課税対象です。ただし、厳密には生前に所有していた財産ではなく、死後に得られるためにこのような財産は「みなし相続財産」と呼ばれ、生前に所有していた財産とは異なった扱いがなされます。死亡による共済金は、大きな金額を受け取ることから相続税の金額に大きな影響を与えます。そこで、亡くなった人が生前に所有していた財産について法律が定める受け取る権利のある人、受け取る順序、および受け取れる財産の割合について紹介します。

1.遺産を受け取れるのは原則として法定相続人

遺産を受け取れる遺族を法律は法定相続人として定めています。法定相続人には受け取り順序があり上位ほど受け取れる割合が大きく、下位になるほど小さくなります。法定相続人は、必ず受け取れる配偶者以外に、第1順位の子どもおよび直系卑属、第2順位の両親などの直系尊属、第3順位の兄弟姉妹および代襲相続人です。

代襲相続人とは、代わりに相続できる権利を受け継いだ人のことです。例えば、子どもがすべて亡くなっているとき、孫がいれば、相続できる権利のない孫に相続できる権利が生じることです。同様に兄弟姉妹がすべて亡くなっているときに甥・姪(おい・めい)がいるときは、甥・姪が代襲相続人になります。なお、代襲相続人とは呼びませんが、両親がともに亡くなって、祖父母が健在であれば祖父母も法定相続人です。

もし、法定相続人のすべてがいないときの相続財産は国の財産になります。なお、亡くなった人が法律で認められる書式で遺言を書くことで、法定相続人以外にも財産を相続させられます。

2.法定相続人が相続できる順序と財産の割合

財産を相続するときの割合も法律で法定相続分として以下のように定められています。

・配偶者:全体の2分の1(その他の法定相続人がいなければ全額を相続します)
・第1順位の子ども:配偶者がいれば全体の2分の1(配偶者は2分の1、子どもが2人いれば各4分の1、3人いれば各6分の1と子どもの人数で財産の2分の1を均等割して相続します。配偶者がいなければ子どもが全額を相続します)
第2順位の直系尊属:配偶者がいれば全体の3分の1(配偶者は3分の2を相続します。第2順位の法定相続人は第1順位の法定相続人が1人でもいれば相続できません。配偶者も子どもも子どもの代襲相続者もいなければ、第2順位の直系尊属が全額を相続します)
・第3順位の兄弟姉妹:配偶者がいれば全体の4分の1(配偶者は4分の3を相続します。第3順位の法定相続人は第1、第2の法定相続人が1人でもいれば相続できません。兄弟姉妹の人数で財産の4分の1を均等割して相続します)

なお、亡くなった人が法律で認められる書式で遺言を書くことで、法定相続人の相続割合を任意の割合に変更できます。極端な場合、全額を慈善団体や法定相続人以外の第三者に寄贈できます。ただし、遺言で全財産を慈善団体や第三者に相続させると書くと無効となって寄贈できません。この場合、全財産を慈善団体あるいは第三者に遺贈すると「遺贈」という用語を使う必要があります。ただし、遺言で全額あるいは一定の金額を遺贈すると書くことは有効ですが、その場合、法定相続人の配偶者と第2順位までの親族には「遺留分」という権利が認められ、遺留分の権利を行使すれば、法律で認められた割合の遺留分の財産を相続できます。

第三章 遺産相続と共済金受け取りの違い

法律が定める遺産相続と共済金の受け取りは、説明をしてきましたように受取人や受け取る金額の割合などは異なっています。もし、このことを知らないと共済金の受取額の全額を亡くなった人の相続財産のなかに含めてしまって、法律や遺言によって法定相続人、あるいは遺贈相手に配分してしまう可能性があります。法律は、財産を相続する権利のある法定相続人など全員が遺産分割協議を開いて合意すれば、原則として財産の受け取り割合や受取人を誰にするかは任意に決定してもよいとしています。

しかし、死亡時に所有していた相続対象財産と死亡による共済金の受取金額は少し性質が異なります。共済金は、相続財産とは別に共済が定める順序の人が全額を受け取れます。このことをしっかり知っておくと亡くなった人の意志を尊重することにもつながります。なお、一般的な相続財産とは異なる扱いがされますが、共済金の受取額は相続税の対象です。

まとめ

死亡時の共済金の受取人、受け取り割合の考え方は、法律が定める一般的な相続財産の受取人と受け取り割合とは異なることを説明しました。近年、遺産相続で親族が争うケースが増加しています。正しい知識があれば受け取れる権利分は争いを避けてしっかり受け取れます。意外に死後の共済金の受け取りの詳細については、本人も将来法定相続人になる親族もあまり強い関心を持っていません。重要なことなので、これを機会に知識として持つようにしてください。

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