共済金の受け取りには税金がかかる?
共済金を受け取ったとき、そのお金に対して税金は課税されるのか、また課税されるとしたらどのような税金が課税され、課税額に違いはあるのかなどを正しく知っておくことはとても重要です。知識があることで税金の支払いを節約できます。そこで共済金には、どのような税金が課税されるのか、あるいはされないのか、また課税されるときにはどのような税金が課税され、課税額はどのように計算されるかについて解説します。
第一章 課税されない共済金と課税される共済金の違い
共済金が支払われる事由によって課税される場合と、課税されない場合があります。
1.共済金が課税されないときの支払い事由
受け取った共済金のうち、原則として不慮の事故や病気を事由として支払われる共済金には課税されません。具体的には、入院や通院をしたとき、手術を受けたとき、あるいはがんと診断されたときに受け取れる共済金などには課税されません。これらの共済金については、共済金を受け取るのが契約者本人の場合だけではなく、配偶者や子どもなどの直系親族、および生計を同じくする親族も含めて原則として非課税です。
ただし、例外として共済金の受取人と被保険者が同じで、かつ被保険者の亡くなった後に共済金の請求が行われるときは、相続財産とみなされて課税対象になることがあります。また、重度障害になって死亡時と同じ金額の共済金を受け取ったときは、病気やけがを原因として支払われるため非課税ですが、受け取った共済金を治療費や介護費として使いきらないうちに相続が発生すると、残った金額が相続税の非課税額をこえると、こえた金額に対して相続税が課税されます。
2.共済金が課税されるときの支払い事由
受け取った共済金のうち、不慮の事故や病気による死亡を事由として支払われる共済金を共済金の受取人が受け取ったときは、共済契約者(掛け金の負担者)、被共済者(保障の対象者)、共済金の受取人の3者が誰であるかによって、課税される税金(所得税、相続税、または贈与税)が異なります。なお、「新型火災共済」の共済金(臨時費用共済金を含む)は非課税です。ただし、火災による死亡に際して支払われる共済金については、上記の不慮の事故や病気による死亡を事由とした共済金と同じ扱いです。
第二章 死亡時に支払われる共済金に課税される税金について
1.死亡時に支払われる共済金に課税される税金
死亡時に支払われる共済金は、共済契約者(掛け金の負担者)、被共済者(保障の対象者)、共済金の受取人の3者が誰であるかによって、課税される税金(所得税、相続税、または贈与税)の種類は下記の表のようになります。
共済契約者 | 被共済者 | 共済金の受取人 | |
所得税が課税されるときの3者の条件 (共済契約者と共済金の受取人が同一のとき) |
A(例えば夫) | B(例えば妻または子ども) | A(夫) |
相続税が課税されるときの3者の条件 (共済契約者と被共済者が同一のとき) |
A(例えば夫) | A(夫) | B(例えば妻または子ども) |
贈与税が課税されるときの3者の条件 (共済契約者、被共済者、共済金の受取人がすべて異なるとき) |
A(例えば夫) | B(例えば妻) | C(例えば子ども) |
*表中の共済契約者(掛け金の負担者)、被共済者(保障の対象者)、共済金の受取人とは、以下の人のことです。
- 共済契約者(掛け金の負担者):共済の契約者(名義人)で、共済の契約上の権利を有し、掛け金を支払う義務や告知義務を負います。
- 被共済者(保障の対象者):保障の対象になる人で、被共済者が事故や病気で入院や通院をしたとき、および死亡したときに共済金が支払われます。
- 共済金の受取人:共済金を受け取る人で契約者が指定しますが、指定のない場合は、被共済者の法定相続人が共済金の受取人になります。
2.所得税が課税されるときの計算方法
共済契約者と共済金の受取人が同一のとき、被共済者の死亡に伴う共済金を受け取ると、共済金の受取人には一時所得として所得税が課税されます。課税対象となる金額は、死亡共済金以外に他の一時所得がないときは、以下の計算式で得られた金額です。
課税対象額=(受け取った共済金の総額-払い込んだ掛け金の総額-一時所得の特別控除額50万円)☓1/2
上記の計算で得られた金額が、給与所得や不動産所得などその他の所得と合算されて、最終的に課税される所得税が計算されます。
3.相続税が課税されるときの計算方法
共済契約者と被共済者が同一のとき、被共済者の死亡に伴う死亡共済金を受け取ると、共済金の受取人には相続税が課税されます。ただし、死亡共済金には、残された家族の生活を保障するという重要な目的があるため、全額が課税対象額になりません。以下の金額が非課税控除金額として共済金から控除できます。控除できる金額は以下の計算式で求められます。
非課税控除金額=500万円☓法定相続人の人数
法定相続人が、例えば妻と子ども2人であった場合、非課税控除金額は1,500万円です。したがって、受け取った共済金の金額が1,500万円未満であれば相続税は課税されません。受け取った共済金が1,500万円をこえた場合は、こえた金額に対して相続税が課税されます。しかし、共済金以外の相続財産も残された家族の今後の生活に必要なものであることから相続税の課税に対しては大きな金額の基礎控除額が認められています。相続税の基礎控除額は以下の計算式で求められます。
基礎控除額=3,000万円+600万円☓法定相続人の人数
法定相続人が、3人の場合、基礎控除額は4,800万円です。受け取った共済金が非課税枠をこえても、こえた金額と死亡共済金以外の相続財産との合計が4,800万円未満の場合、相続税は課税されません。死亡共済金の非課税枠とその他の相続財産の合計金額が、4,800万円をこえた場合のみ相続税が課税されます。
4.贈与税が課税されるときの計算方法
共済契約者、被共済者、共済金の受取人がすべて異なるときに、被共済者の死亡に伴う死亡共済金を受け取ると、共済金の受取人には贈与税が課税されます。贈与税の課税対象額は以下の計算式で求められます。
贈与税の課税対象額=死亡共済金−基礎控除額110万円
したがって、死亡共済金の金額が110万円をこえると贈与税が課税されます。なお、上記のすべての計算式は、2019年5月現在のもので今後の税制改正で変更にされる可能性があります。
第三章 まとめ
共済金は、不慮の事故や病気、あるいは死亡などの事由が発生すると受け取れますが、受け取った共済金に課税される場合と、課税されない場合があること、また課税されるときにはどのような税金が課税され、課税額はどのように計算されるかについて解説しました。
課税額は、受け取る共済金の金額以外にも、給与所得や相続財産の総額などさまざまな条件によって変動するため、簡単に計算できませんが、一般的には共済金受取人に相続税が課税されるような契約をすることで最も課税額を少なくできます。贈与税が課税されるような契約と比較すると課税される税額に大きな差が生じるので注意が必要です。加入時には、課税関係もしっかり調べて共済金の受取人を決めて加入することが重要です。
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