冬こそ気をつけたい『ヒートショック』への備え

寒い季節が近づいてきていますが、国や地方自治体は2011年に入浴中に突然死で亡くなった人が約1万7,000人(東京都健康長寿医療センター)に達したとして注意を促しています。この突然死の主な原因は、急激な温度変化で血圧が上下に大きく変動することなどが原因で起こる「ヒートショック」です。このなかで高齢者は約1万4,000人で全体の約8割を占めます。そのため高齢者は寒い季節にはヒートショックを起こさないように注意することが必要です。そこで、ヒートショックとは何か、なぜ起こるのか、起こりやすい人の傾向、および予防策について解説します。

第一章 ヒートショックとは?

ヒートショックとは、気温の変化によって血圧が上下に大きく変動して、それにより失神したり、不整脈を起こしたり、脳内出血、大動脈解離、心筋梗塞(こうそく)、脳梗塞などの、心臓や血管の病気や健康被害が起こることです。交通事故による死亡事故が発生するとテレビや新聞でよく報道されるので、多くの人が亡くなると私たちは感じています。しかし、警察庁 によると交通事故による死亡者数は2018年度の1年間で3,532人です。死亡者数の年度が異なりますが、ヒートショックで亡くなる人は交通事故によって亡くなる人の約5倍にもなり、想像以上に多い人数です。ヒートショックは、暖房の効いた部屋から暖房をつけていない浴室やトイレなど温度差の大きな場所へ移動したときに主に起こっています。温度差が10度をこえると危険といわれています。

第二章 なぜヒートショックが起こるのか?

ヒートショックが起きるのは気温の変化によって血圧が上下に大きく変動することであると説明しましたが、なぜ気温の変化によって血圧が変動し、血圧の大きな変動がなぜ心臓や血管に病気を起こすのかについて説明します。

動物には、外気温が変動しても体温を一定に保つ恒温動物と外気温に合わせて体温が変動する変温動物がいます。人は恒温動物です。そのため外気温が下がると体温を上げるために筋肉を震わせて体内に熱を作り、また同時に体温が外に逃げないように皮膚の下の血管を細めて血液が流れる量を減らしてできるだけ体温が下がらないようにします。このとき血管が縮むと、血液が流れにくくなるので血圧が上昇します。逆の場合は、血圧は降下します。血圧の上昇や降下が急激に起こっても健康で若ければ健康上の大きな問題は生じませんが、高血圧や糖尿病などの持病のある人や動脈硬化などが進行している高齢者は、血圧の急上昇で心筋梗塞、脳梗塞や脳出血などの重篤な病気を引き起こしやすくなります。また、血圧が急降下すると脳への血流が減少するため、めまいや立ちくらみ、ひどいときは失神します。

第三章 ヒートショックの傾向

1.ヒートショックが起きやすい時期と場所

ヒートショックは暖房の効いた部屋とつけていない部屋での温度差が大きくなる冬の時期の浴室、トイレ、洗面室で多く発生しています。浴室では服を脱ぐために温度差がさらに大きくなり、その後、熱いお湯につかることでまた急激な温度差が生じるので、ヒートショックが起こりやすくなります。トイレでは排便するために力を込めると血圧が上昇。排便後には急激に血圧が低下します。そのためヒートショックが起こりやすくなります。

ヒートショックが主な原因で起きる入浴中の溺死(できし)者数は、東京都福祉保健局 によると2014年から2018年の5年間の平均で年間1,432人(東京都内23区)です。うち、寒い時期の12月、1月、2月の3カ月間の平均は661人で全体の半分に近い46%にもなります。単月で比較すると、最も多い1月の平均は258人で、最も少ない9月の平均42人と比較すると約6倍です。冬の寒い季節はヒートショックに注意をしなければならないことが分かります。

2.ヒートショックを起こしやすい年齢や人

厚生労働省 の2014年の人口動態統計によると家庭の浴槽での溺死者数は 4,866人で、高齢化の進展の影響などで10 年間で約1.7倍に増加しています。このうち65歳以上74歳未満は894人(18.4%)、75歳以上84歳未満は2,106人(43.3%)、85歳以上は1,427人(29.3%)です。65歳以上の高齢者全体では9割を占めます。年齢以外では、高血圧、糖尿病、肥満体質など生活習慣病のある人やその予備軍、および心臓の病気のある人もヒートショックを起こしやすいので注意が必要です。

第四章 ヒートショックの予防策

ヒートショックを防ぐ基本は、防寒をしないで暖かい部屋から寒い部屋へ移動する自宅内で起こりやすいため住宅内でも温度差を小さくすることです。そして、最も危険性が高まる入浴時にヒートショックを起こさないように注意することで予防できます。

1.暖房器具の設置や断熱効果を高めるリフォームを実施する

冷え込みやすい浴室、脱衣所、洗面所、トイレなどに暖房器具の設置や断熱効果を高めるリフォームを可能であれば実施します。浴室をリフォームするときは浴室暖房ができるユニットバスにすると手間がかからずに浴室を暖められます。また、浴室の床にマットを敷いておくと浴室に入ったときに冷たさを軽減できます。

2.使用前に暖める

トイレは使用回数が多いので、その都度暖めるのは難しいかもしれませんが、浴室や脱衣所は入浴する前、移動式の暖房器具などを利用して十分に暖めてから入浴するようにしましょう。浴室を暖めるには暖房器具を使う以外に以下の方法があり、かなり温度を上昇させられます。

  • 浴槽にお湯をはるとき、高い位置のシャワーを使ってお湯をはるとシャワーの蒸気で浴室が暖まります。
  • お湯をはるとき浴槽のフタを外しておくと湯気で浴室の温度が上昇します。

3.お湯の温度を低めにする

お湯の温度が高過ぎると体温も急激に高くなって血圧が上昇し、心臓に大きな負担が生じます。そのためヒートショックを防止するにはお湯の温度は低めの38~40℃にするのが効果的です。そして、長湯を避けてお湯につかっている時間は10分程度にとどめましょう。また、浴槽に入る前には手や足など心臓に遠い場所からかけ湯をして入り、浴槽から出るときはゆっくり立ち上がって出ます。お湯につかっているときは血圧が低下しており、その状態で急に立ち上がって浴槽から出ると、脳まで血が十分に流れていかずにめまいや失神する可能性があるからです。

4.一番風呂を避ける

一番風呂は、浴室を入浴前に暖めていないと温度差が大きいので避けましょう。一番風呂の後にすぐ入ると浴室が暖まっており、温度差が小さくなっているのでヒートショックの予防に効果的です。1人住まいなどで一番風呂でしか入浴できないときは、夜間を避けて昼間の時間帯に入浴できれば温度差を小さくできます。

5.食事や飲酒の直後は入浴を避け、入浴前に水分を摂取する

飲酒後や食後は血圧が下がることが知られていますので、直後の入浴を避けます。また、入浴中に汗が出ると血液がドロドロになって血管が詰まりやすくなるのでコップ1杯の水分を摂取してから入浴するようにしましょう。

6.家族が注意する

高齢者や生活習慣病のある人は入浴するとき、家族に声をかけて入浴を知らせます。家族は、いつもより入浴時間が長いときは異常が起きていないか浴室を確認することが必要です。

まとめ

寒い季節に多く起こるヒートショックによって亡くなる人が多いこと、そのメカニズム、予防策などについて紹介しました。ヒートショックが起こりやすいのは65歳以上の高齢者が多いため、ヒートショックによる入院治療など万が一に備えて全国共済の「生命共済 熟年型」への加入をおすすめします。合理的な掛け金で安心できる保障を受けられます。

全国共済への加入をお考えの方は、まずは資料請求からいかがでしょうか?
こちらから全国共済への資料請求ができますので、ぜひお役立てください。