よく耳にする「健康寿命」とは?「健康寿命をのばす」には?

2000年にWHO(世界保健機関)が健康寿命の概念を提唱してから、ただ長生きをするために寿命をのばすだけでなく、自立した生活ができるための健康寿命に関する関心が高まっています。日本の平均寿命は世界で女性が1位、男性も2位、男性・女性を合わせて1位と長寿大国です。寝たきりの生活や介護に依存しないでも自立した生活ができる健康寿命について紹介し、どうすれば健康寿命を長くできるかについて紹介します。

第一章 健康寿命とは?

1.健康寿命の定義

健康寿命について厚生労働省は、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義しています。

かつては、できるだけ長生きできることが幸せなことであるとして平均寿命をのばすことが重視されてきました。しかし、平均寿命は年々のびて、「人生100年時代」が現実のものになりつつあります。厚生労働省は、「2007年に日本で生まれた子どもの半数が107歳よりも長く生きると推計されている研究があることを示して100年という長い人生をすべての国民が元気に活躍し続けられる社会、安心して暮らすことのできる社会をつくること」が重要な課題と述べています。

この課題解決の前提として必要なことが健康寿命をのばすことです。平均寿命だけがのびても健康寿命がのびなければ、寝たきりの生活や介護してもらわないと日常生活に困難な状態が長く続くことになります。これでは、長生きできても満足な人生であったとは言えません。日本において平均寿命と健康寿命の差が小さければ、これから高齢化や長寿化がますます進展しても大きな問題ではありませんが、どの程度の差があるのか次に紹介します。

2.平均寿命と健康寿命との差

厚生労働省によると2017年の日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.26歳で男女とも過去最高を更新しました。医療の進歩や近年の健康志向の高まりで今後も平均寿命はますますのびていくと思われます。

一方、厚生労働省の最新データでは2016年の健康寿命が公開されており、2016年と2010年の平均寿命と健康寿命を比較するとその差は次の表のとおりです。

2016年の平均寿命と健康寿命の年齢 2010年の平均寿命と健康寿命の年齢
平均寿命 健康寿命 平均寿命 健康寿命
男性 80.98歳 72.14歳 8.84年 79.55歳 70.42歳 9.13年
女性 87.14歳 74.79歳 12.35年 86.30歳 73.62歳 12.68年

2010年と比較すると平均寿命と健康寿命の差は少し縮小していますが、男性で9年弱、女性で12年以上もの差があります。この期間は、健康上の問題で自立した日常生活を送れない年数ですが、9年から12年という年数はかなり長い期間です。昔であれば、子どもなどの家族、あるいは地域共同体による助け合いで健康上の理由で自立した生活が困難な高齢者をある程度支えていました。しかし、少子化や地域共同体の崩壊が進んだことで高齢者のみの世帯の場合、自立した生活が送れないため「老老介護」や「認認介護」などの深刻な課題が大きな社会問題となってきています。「老老介護」は、高齢者が高齢者を介護すること。「認認介護」とは、認知症の高齢者を認知症の高齢者が介護することです。

第二章 健康寿命をのばすためにすべきこと

健康寿命をのばすことにより、人に依存することなく自分の好きなことができるために生きがいのある人生を送れます。それだけでなく医療費を抑制できるなどの経済的なメリットや、看病や介護が減らせるので家族の肉体的・精神的な負担を減らせます。また、社会的には、高齢者の人口比率が大きくなっていくなかで現役世代にかかる負担が増大していますが、医療費を抑制できれば現役世代の負担を軽減できて経済の活性化にも貢献できる可能性があります。健康寿命をのばすことは自分だけにメリットがあるだけでなく家族や社会に貢献できます。ではどのようにすれば健康寿命を効果的にのばせるのでしょうか?

健康寿命をのばす方法としてはすべきことがたくさんありますが、ここでは厚生労働省が推奨・提案している方法を紹介します。

1.スマート・ライフ・プロジェクト が提唱する健康寿命をのばす方法

厚生労働省は、「健康寿命をのばしましょう。」をスローガンにした「スマート・ライフ・プロジェクト」を推進しています。そのなかで「運動」「食生活」「禁煙」「健診・検診の受診」の4分野を中心に具体的なアクションの実践を呼びかけています。

1-1 運動

歩くことが健康によいこと、生活習慣病の予防効果があることは科学的に実証されています。生活習慣病の予防で具体的に必要な1日の歩数は、男性で9000歩、女性で8000歩が目安といわれています。しかし、この歩数に対して多くの人が平均1000歩、時間にして10分程度が不足しています。そこで毎日の生活に「10分の運動をプラス」することを提唱しています。

1-2 食生活

生活習慣病を効果的に予防するには350gの野菜が必要です。しかし、日本人の平均の野菜摂取量は280gで1日あたり70gが不足しています。そこで「1日あと70gの野菜をプラス」することを提唱しています。

1-3 禁煙

たばこには4000種類もの有害物質が含まれ、その害は体内に蓄積されて、男性はもちろん女性の場合は子宮に悪影響をおよぼして子どもにも影響することが科学的な研究によって明らかになっており、禁煙を提唱しています。

1-4 健診・検診の受診

初期の段階では自覚症状のない病気が多いので、健診・検診を受診して早期発見・早期治療を提唱しています。

2.健康手帳 による健康寿命をのばす方法

同じく厚生労働省は、健康を守るために役立つようにと「健康手帳」の配布やダウンロードを実施しています。そのなかで健康寿命をのばすために必要なことを、前述の「スマート・ライフ・プロジェクト」と重複する内容も含まれていますが、以下の7つを紹介しています。

2-1 生活習慣病を防ぐ

生活習慣病とは、食習慣、喫煙、運動習慣、飲酒などの生活習慣により発症する病気です。具体的には糖尿病、循環器疾患、がん、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などがあります。生活習慣病の予防に大切なことは、生活習慣病について知って、「日頃から予防」や「定期的に健康診断を受けて結果をチェックし、病気の早期発見・早期治療」を心がけることです。

2-2 適切な食生活を目指す

適切な食生活とは、「栄養バランスのよい食事をとる」「塩分を控える(1日あたり男性8g、女性7g未満)」「野菜をたくさん、果物を適度に摂取する」ことです。

2-3 適度な運動をする

「運動を30分以上・週2回」を習慣にして、運動量を現状よりも10分多く行うように心がけます。

2-4 十分な睡眠を取る

健康維持には規則正しい睡眠による休養が大切です。規則正しい睡眠は体内時計が狂わずに健康維持に必要なホルモンの分泌や体の生理的な活動が調整されます。

2-5 禁煙をする

たばこにはストレスを発散させる効果もありますが、それを大きく上回る害があるので禁煙が必要です。たばこを吸わない人は、他人のたばこの煙を吸わされてしまう受動喫煙をしないように注意をします。

2-6 お酒と上手に付き合う

過度なアルコール摂取は健康障害をもたらします。飲酒するときの1日の量はビール中瓶なら1本、日本酒なら1合、チューハイなら350ml缶1本、ウイスキーならダブル1杯程度にします。

2-7 歯・口腔の健康を守る

歯周病は歯だけでなく全身の健康に悪影響を与えます。歯周病は進行しないと痛みや違和感に気づきにくい病気です。毎日の歯磨きと定期的な歯石除去を行います。

第三章 健康寿命と共にQOLを高めて生きがいのある人生を

人生100年時代を生きがいのある充実した人生にするには健康寿命のほかに以下の条件を整えて生活の質を示すQOL(Quality Of Life:クオリティオブライフ)を高めることが必要です。

  • 安定した収入や十分な貯蓄など経済状態
  • 生きがいに必要な社会との積極的な関わり合いができる社会的環境
  • 安定した住居を持ち、頼れる家族や友人関係を持つなどの生活環境

1.QOLを高めるには

QOLを高めるには、個人ごとに上記のどれに大きな価値観を持つかによって異なります。まず、自分にとって何に最も生きがいを感じるかを見つけましょう。例えば、友人・知人との語らいであればコミュニケーション能力を若いときから高められるように努力をすることが必要です。また、人に頼られることに生きがいを強く感じるなら、趣味や資格などを身につけるとその分野で頼られる存在になれます。

2.QOLを下げる要因

QOLを高められるコミュニケーション能力が十分にあっても、あるいは趣味や資格をたくさん持っていても、以下の状態であればQOLは低下します。健康であれば、経済状態も場合によっては働けるのでQOLの低下を防止できます。

  • 運動不足や悪い食生活で運動能力が低下する
  • 身体的・精神的な疲労や悩みでストレスをためる
  • 経済状態が悪化する

第四章 まとめ

現在は、年齢が上がるごとに病気になるリスクや死亡するリスクが一般的に高くなることから民間の生命保険では高齢になるほど保険料は高くなっていきます。しかし、同じ年齢でも健康な人と健康ではない人で、病気になるリスクや病気で死亡するリスクは異なるため、そこに着目した生命保険が現れ始めています。また、より多くの人が健康寿命に注意した生活を送るようになって医療費の低下が現実的になると保険料全体が下がることも期待できます。一人ひとりが健康に留意した生活を送るようにすると、医療費だけの問題にとどまらず社会全体の活性化につながります。健康寿命をできるだけのばす生活を送るように努力すれば、病気になるリスクを軽減できます。

ただし、病気や事故を完全に防ぐことは困難なため、万が一の備えとしてできるだけ保険料が安くて保障の充実した保険への加入は必要です。全国共済の総合保障型熟年型の保険はその点でおすすめできる保険です。

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