保険や共済の契約時 での申告『告知義務』とは?ウソをついたらどうなる?
保険や共済で、生命保険や医療保険などを契約するときに 申告が必要な『告知義務』とは、どのようなものなのか、告知が必要な理由などについて解説します。また、虚偽の申告など告知義務違反をしたときのリスクについても解説します。
第一章 『告知義務』について
1.『告知義務』とは
生命保険に加入するときに契約者または被保険者の健康状態やこれまでにかかったことのある病気で現在は治癒している病歴(既往歴)、および職業などについて正確に告知しなければならない義務のことです。告知以外にも加入する人の年齢や保険の契約金額によっては健康診断の結果や医師などによる診断結果が必要になる場合があります。
2.『告知義務』の必要性
『告知義務』が必要な理由は、健康状態が良い人と悪い人が同じ条件で保険に加入できてしまうと、支払う保険料と受けられる保障の公平性が保てないためです。そのため、健康状態、既往歴、および病気やケガのリスクが異なることから職業などの告知も義務付けされています。
3.一般的な告知に関する質問項目
告知が必要な項目は、健康状態に関する質問、身長・体重・職業・年収・他社の保険加入状況などです。なお、告知で問われる項目は、保険会社や加入する保険の種類などによって異なり、一部の保険では職業の告知のみで加入できたり、告知が必要なかったりする場合があります。健康状態などを記入する書類を「告知書」と言い、本人が告知書に記入し、保険会社への提出が必要です。健康状態などを保険会社や担当者に口頭で伝えただけでは告知したことになりません。
健康状態に関する質問には以下のような項目があります。
(1)現在の健康状態
過去3カ月以内に医師による診察・検査・治療・投薬などの有無とその内容
(2)既往歴
過去5年以内に病気やケガでの入院を7日以上継続の有無、あるいは過去5年以内に病気やケガの手術の有無やその内容。
(3)健康診断・人間ドックの結果
過去2年以内の健康診断・人間ドックで所定の臓器または検査項目において、「要経過観察・要再検査・要精密検査・要治療」などの異常の有無とその内容。
(4)身体の障害
視力・聴力・言語・咀嚼(そしゃく)機能の障害、あるいは手・足・指・背骨の欠損、変形、障害の有無とその内容。
(5)妊娠(女性限定)
加入時点における妊娠の有無、あるいは過去5年以内の妊娠・分べんに伴う異常での入院・手術の有無とその内容
(6)がん
過去にがんまたは上皮内新生物の発症の有無とその内容。
第二章 全国共済の告知内容
告知書の質問項目は、保険会社や加入する保険によって違いがあります。 一般的な告知に関する質問項目は第一章のとおりですが、ここでは全国共済にある『健康告知内容』を紹介します。
下記の「健康告知内容」に該当すると花粉症を除き、全国共済には加入できません。ただし、内容によって一部条件付きで加入できる場合があります。くわしくは「全国共済」の窓口へ問い合わせしてください。なお、健康状態については告知のみで医師などによる診査は不要です。
(1)現在、病気やケガの治療中、または検査や治療が必要と指摘されている(健康診断や人間ドックなどで、検査や治療が必要と指摘された場合を含む)、もしくは検査中である。
(2)以下に示す慢性疾患の診断を受けている、もしくは医師から治療をすすめられている。または慢性疾患が治ってから5年以内である。
・慢性疾患(先天性を含む)の病名
- 悪性腫瘍(がん・肉腫など)
- 消化器疾患、肝硬変、慢性膵(すい)炎、胆石症など
- 循環器疾患(狭心症、心筋梗塞、不整脈、高血圧症など)
- 呼吸器疾患(気管支ぜんそく、間質性肺炎、肺線維症、肺結核、肺気腫など)
- 神経・筋疾患(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血、髄膜炎、てんかん、筋炎など)
- 腎・尿路疾患(腎炎、ネフローゼ、尿路結石など)
- 代謝・内分泌疾患(糖尿病、痛風、甲状腺機能亢進症など)
- 精神疾患(統合失調症、アルコール症など)
- 運動器疾患(骨髄炎、椎間板ヘルニア、変形性関節症など)
- 血液疾患(悪性貧血、白血病など)
- アレルギー性疾患および膠原(こうげん)病(リウマチ、ベーチェット病など)
- 耳鼻咽喉および眼疾患(中耳炎、メニエール病、白内障、緑内障など)
- 女性性器疾患(子宮筋腫、卵巣腫瘍など)
(注)「など」とは、3カ月以上の治療または経過観察を必要とする病気のこと。
(3)慢性疾患や中毒のため以下に示す薬を常用している。
・常用している薬の名称
- 血圧降下剤
- 抗潰瘍剤
- 鎮痛剤
- 睡眠剤
- 抗糖尿病剤
- 精神安定剤
- 覚醒剤・違法ドラッグ・麻薬・大麻
(4)過去1年以内に、病気やケガで連続14日以上の入院か、同じ病気やケガなどで20回以上の通院治療を受けた。または、過去3カ月以内に以下に示す心身の異常を感じる症状や変調があった。
・心身に異常を感じる症状や変調とは、「血たん」「頚(けい)部・胸腹部・腰部の痛み」「しこり(乳房・頚部など)」「血便・血尿その他の不正出血」「妄想や幻覚・幻聴」「体重の増減(10kg以上)」のこと。
(5)手術を受け、治ってからまだ1年以内である。
(6)体に残る障害や先天性の病気により、日常生活において他人の手助けを必要とする状態である。
第三章 『告知義務違反』をするとどうなる?
『告知義務違反』とは、故意に、または重大な過失によって重要な事実を告知しなかったり、事実と違うことを告知したりすることです。
もし、契約後に『告知義務違反』が発覚すると保険会社は契約を解除できます。契約が解除されると保障は受けられず、支払った保険料も通常は戻ってきません。発覚の前に保険金や給付金の支払い事由が発生していても支払われません。ただし、保険金や給付金の支払い原因と告知義務違反の内容に因果関係がまったくないときは支払われます。
勘違いやうっかりして『告知義務違反』したことに気がついたら、すぐに保険会社に連絡しましょう。内容によっては、契約の取り消しや、契約内容を変更しなければならなくなります。あとから『告知義務違反』が判明すると一方的に契約解除されたり、場合によっては戻ってくる可能性のある支払い済みの保険料が戻ってこなかったりします。 今後、新規の保険契約ができなくなる可能性もあるため、正直に申告するようにしましょう。
なお、告知義務違反があった場合でも以下のような場合、契約は解除されません。
(1)保障の開始日から一定期間を経過して有効に継続している場合。 (ただし、保険会社が定める一定期間の経過後であっても重大な告知義務違反の場合は「詐欺による契約の取り消し」となって契約が取り消される場合があります。)
(2)保険会社が告知義務違反を知ったときから1カ月以上が経過している場合
(3)保険会社が意図的に契約者または被保険者に事実を告知しないように妨げたり、事実を告げないようにすすめたりした場合
第四章 まとめ
生命保険に関する苦情で最も多いのは、「給付金不支払決定」です。支払われない理由は『告知義務違反』による契約の解除が占めています。そのためウソの告知をしても大丈夫だろうと思わずに正しく告知するようにしましょう。告知は保険加入者の公平性を期するためですから、告知書には事実をありのままに記入しなければなりません。また口頭告知は正式な告知にはなりません。勘違いやうっかりによる間違った告知も『告知義務違反』となります。十分に注意して告知するようにしてください。
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