その医療費は健康保険(公的医療保険)の対象になる?ならない?

病気やケガで多額の医療費が発生したときの負担を軽減できる健康保険には、大きくわけると公的医療保険と民間医療保険があります。ここでは公的医療保険について、基本的な内容と保険が適用されるケース・されないケースについて紹介します。特に病気やケガの治療にかかわる費用で公的医療保険ではカバーされない費用について理解し、万が一の場合に備えるようにしておくことは安心・安全に生活していくうえでとても重要です。

 

第一章 健康保険(公的医療保険)とは?

1. 健康保険(公的医療保険)制度の3つの特徴

公的医療保険の健康保険とは、医療費による生活リスクに対して国民全体で支え合うために国が定め、公的な機関(国や地方自治体など)が運営する保険の制度です。公的医療保険の健康保険制度は国によって異なりますが、日本の制度の特徴は以下の3つです。

(1)国民皆保険制度

国民皆保険制度とは、すべての国民に加入する義務があり、国民全員で医療費のリスクを軽減する制度のことです。そのため医療費が高額になっても、国民皆保険制度ではない国よりも医療費の負担を小さくできます。
例えばアメリカは国民皆保険制度が導入されていません。虫垂炎の治療費で比較してみると、日本では保険適用のため 8万円程度(高額療養費制度を利用)の負担で治療が受けられます。一方、アメリカ・ニューヨーク州では同じ虫垂炎の治療費が、日本医師会の「日本と諸外国の医療水準と医療費」によると152万円以上と多額の費用がかかります。高額な医療費がかかる病気やケガでは、医療を諦めなければならなくなるほどの負担になる可能性が あるため、国民皆保険制度はとても意義がある制度です。

(2)患者が医療機関を選べるフリーアクセス制度

「フリーアクセス」とは、患者が医療機関を選び、好きな病院・医師の治療を受けられる制度のことです。日本では常識ですが、海外ではまず必ずかかりつけ医を登録しなければならず、最初からフリーアクセスで病院や医師を選べない制度の国があります。病院や医師の評判や治療方針などを自分の意思で選び、また自分が希望する医療が最初から受けられるのは大きなメリットの1つです。

(3)現物(医療サービス)給付制度

現物給付制度とは、自己負担しなければならない医療費を支払うことで医療サービスを受けられる制度のことです。これに対して現金給付制度があります。現金給付制度には、例えば申請することで出産費用の一部を現金で給付される制度などがあります。現物給付制度は、保険証を提示するだけで面倒な手続きも不要で医療サービスを受けられるメリットがあります。

2.公的医療保険の種類

健康保険(公的医療保険)は、職業や勤務先、年齢によって、「国民健康保険」「健康保険(社会保険)」「船員保険」「後期高齢者医療制度」などにわかれます。ここでは「国民健康保険」と「健康保険(社会保険)」について概要を紹介します。

2-1 国民健康保険

「国民健康保険」は都道府県が市区町村とともに運営している健康保険のことです。国民健康保険には、自営業者やフリーランサーなどの個人事業主とその家族、農林漁業従事者、無職の人や年金生活者、3カ月をこえて在留する外国人などは必ず加入しなければなりません。

2-2 健康保険(社会保険)

「健康保険(社会保険)」とは、国が制度として全員加入を義務付けている公的医療保険のことです。運営は全国健康保険協会やそれぞれの企業が設立した健康保険組合、公務員が加入する共済組合が行っています。全国健康保険協会が運営する健康保険は「協会けんぽ」、企業の健康保険組合が運営する健康保険は「組合健保」と呼ばれます。健康保険(社会保険)には、企業や官公庁に勤務する給与所得者は必ず加入しなければなりません。一部のパートタイマーや零細企業に勤務する社員などで健康保険(社会保険)に加入できないときは、国民健康保険に加入しなければなりません。

2-3 国民健康保険と健康保険(社会保険)の制度上の違いと共通点

2-3-1 保険料の負担

国民健康保険の場合は、保険料は被保険者の全額負担ですが、健康保険(社会保険)は会社と被保険者である給与所得者が折半して負担します。

2-3-2 扶養義務の有無

国民健康保険には扶養という概念がなく、家族であってもそれぞれが被保険者として加入します。一方、健康保険(社会保険)では被保険者である給与所得者と同一の生計であれば配偶者や両親、子どもなどを扶養家族にできます。そのため家族がそれぞれ加入して保険料を負担しなくても健康保険を利用できます。保険料は扶養家族の有無や人数によって変動しません。

2-3-3 その他の違い

健康保険(社会保険)には、国民健康保険にはない制度上のメリットがあります。例えば出産のため会社を休んだときは出産手当金が給付されるほか、病気やケガで3日以上連続して会社を休んだときには、4日目から最長1年6カ月間(休職した期間の通算)傷病手当金を受け取れます。

2-3-4 制度上の3つの共通点

(1)医療費の自己負担割合

医療機関を受診したときに支払う医療費の自己負担は同一です。6歳(義務教育就学後)以上69歳以下は3割、70歳以上74歳以下は2割(70歳以上であっても現役並み所得者は3割)、未就学児の場合は2割負担です。ただし、市区町村などの自治体が、個別に子どもの医療費の全部または一部を助成しています。自治体によって助成の内容は異なります。なお、業務中や通勤途上の病気やケガなどの治療費に労働者災害補償保険(以下、労災保険)が適用されると医療費はすべて労災保険から医療機関に支払われます。

(2)高額療養費制度

医療費の家計負担が重くならないように医療費が所定の上限額を上回ると、こえた額が払い戻される「高額療養費制度」が利用できます。医療費は1カ月間(毎月1日~末日まで)の合計で、上限額は年齢や所得に応じて定められています。

(3)出産育児一時金

子どもが生まれて、申請すると「出産育児一時金」として1人について原則42万円が支給されます。

第二章 健康保険(公的医療保険)が適用されるケース

健康保険(公的医療保険)が適用される医療費は手術代、検査代、薬代など、一般的に病気やケガを治療するために必要、かつ直接的な費用です。ただし、次の章で解説しますが、病気やケガのために必要な医療費であっても以下の医療費などには適用されません。

  • 高度先進医療費など健康保険適用外の医療費
  • 労災保険が適用される場合の医療費
  • 健康診断、結核診断、人間ドック、予防注射など病気予防のための医療費
  • 医師が必要と認めない医療にかかわる費用

 

第三章 健康保険(公的医療保険)が適用されないケース

健康保険が適用されない費用には以下があります。これらの費用で大きな金額になって家計を圧迫する可能性のある費用は、「差額ベッド代」と「先進医療の技術料」「まだ広く認められていない治療法や新薬の投与」などです。差額ベッド代は、病院や病室のグレードによっては1日5,000円から数万円かかる可能性があります。また高度先進医療費を受けるには百万円をこえる費用がかかる場合もあります。

  • 入院中の食事代
  • 入院中に必要な日用品代などの雑費
  • 差額ベッド代
  • 健康保険適用外の治療費や手術代(保険が適用されていない新薬や施術法に治療、美容整形手術、正常な出産費用など)
  • 高度先進医療費
  • 業務上、および通勤途上での病気やケガで労災保険適用の医療費
  • 日常生活で生じ、病気とは言えない疲労による肩こり・腰痛などの施術費用
  • 予防注射、健康診断、結核診断、人間ドックなど病気予防のための費用
  • 医師が治療を必要と認めない医療費

公的医療保険が適用されない(保険適用外)医療サービスを受けるとその費用は全額を自己負担しなければなりません。保険適用の治療と公的医療保険が適用されない治療の両方を受ける場合もありますが、その場合、原則として保険が適用される医療費も全額自己負担しなければなりません。ただし、保険適用外診療と保険適用診療の併用を厚生労働省が認めている場合、保険適用の医療費については公的医療保険が適用されます。

 

第四章 まとめ

日本の健康保険は国民皆保険制度を採用しており、採用していない海外の国と比較すると、医療費の負担は低く抑えられています。しかし、高度先進医療や差額ベッド代などは健康保険(公的医療保険)では適用外のため、思いがけない多額の医療費が生じる可能性があります。このような万が一の場合には、できるだけ家計の負担を減らして備えておきたいものです。全国共済の生命共済は 先進医療にも対応しているため、万が一に不安がある場合、全国共済での備えをおすすめします。


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