賃貸住宅でも火災保険は必要?
消防庁が2019年9月に発表した2018年の総出火件数は 3万7,981件 です。日本全体で1時間に4.34件の火災がどこかで発生しています。火災は最も高額な不動産の資産価値をゼロにしてしまう可能性があることから、持ち家世帯の多くは火災保険に加入(内閣府の公表しているデータによると82% )しています。賃貸住宅に関する加入率は公表されていませんが、持ち家も賃貸住宅も火災に遭遇する確率は同じです。被害額は建物を除く家財のみで小さくなりますが、それでも大きな経済的負担が生じます。そのため、賃貸住宅に住む場合も火災保険の加入で家財に対する保障をして万が一に備えることは欠かせません。特に、近年は大雨や強風による被害も各地で多く起こっています。これらの被害のほか落雷などに対しても火災保険に加入していれば、一定の条件で保障されます。今回は、賃貸住宅を借りるときに不動産仲介会社から加入を求められる保険の内容や、火災保険を含むその他の保険について押さえておくべきポイントを解説します。
第一章 賃貸住宅で火事を起こした場合、賠償責任はあるのか?
賃貸住宅に住むときに最も気になるのは、自分の過失で火事が起き、建物や他の部屋の住人の家財に損害を与えると、その損害額が極めて大きくなるため、その損害賠償責任を負わなければならないのかという不安ではないでしょうか。一般的に過失によって他人の体や財産に損害を与えると損害賠償責任を負います。火事は何らかの過失がなければ起きないので、火事を起こして損害が発生すれば損害賠償は免れないと考えるかもしれません。しかし、火事については失火責任法という法律があり、その法律に「重大な過失により発生させた火事でない限り、損害賠償責任を負わなくてもいい」と定められています。そのため、重大な過失で火事を発生させない限り、損害賠償責任は負わなくてもよいことになっています。
賠償責任が発生する重大な過失とは、以下のような場合です。
- てんぷらなどを作る料理で油を火で加熱しているにもかかわらず、その場を離れて出火させた
- タバコの火が完全に消えたことを確認せずに部屋のゴミ箱に捨てて、そのまま外出して出火させた
過失と重大な過失の差は紙一重です。裁判所の判断によっては、重大な過失と自分では思っていなくても重大な過失と判断される可能性もあります。そのため、自身の家財を守るため、また自分の起こした火事でなくても失火元に対して、火事の原因が重大な過失で起きていない限り損害賠償ができないので家財の評価額に見合う火災保険(家財保険)に加入しておいたほうが安心して賃貸生活を送れます。
第二章 賃貸住宅に住むときに必要な保険とは?
賃貸住宅に住むときに発生する損害、および損害賠償責任の内容と、それに備えるために必要な保険について以下の3つの保険を紹介します。この3つの保険に加入することで賃貸住宅に住むときの損害や損害賠償のリスクに備えられます。
1.家財保険(火災保険の家財を対象に加入する保険)
賃貸住宅に住むとき、万が一の火災で建物や他の部屋の家財など大きな損害を自分の過失で発生させたとしても、その過失が重大な過失でない限り損害賠償の責任は負う必要がないことを紹介しました。しかし、隣の部屋や建物の住人の失火によって家財の損害を受けたり、大雨や強風、雷で家財に損害が発生したりする場合があるので、家財の損害に対する保障のために家財保険に加入しておかないと万が一のときに大きな経済的負担が生じます。
2.借家人賠償責任保険
賃貸住宅に住む場合、借家人は退去する際に部屋を原状回復する義務を負うという契約を入居するときに交わします。そのため、部屋の壁や床に汚れや傷を付けると入居時の状態に原状回復する義務が生じます。この費用を負担できないと大家さんから損害賠償を問われる可能性があります。
この場合の原状回復の原因が火事の場合、失火責任法では「重大な過失により発生させた火事でない限り、損害賠償責任を負わなくてもいい」と定められており、重大な過失がない限り火事で生じた部屋を原状回復する義務はないと思うかもしれません。しかし、失火責任法は、民法が定める「他人の体や財産に不法行為によって損害を与えた場合に賠償責任が生じる」という規定に基づく損害賠償責任が回避されることのみを定めています。
一方、原状回復義務を果たせないときは、契約で定めた「債務不履行」にあたるため、失火責任法による重大な過失以外は損害賠償の責任を負わないという定めは、大家さんとの契約には適用されません。他の部屋の家財に対する賠償責任は生じなくても大家さんとの契約で定めた原状回復義務は果たさねばならず、部屋を全焼させてしまうとその損害賠償額は簡単に賠償できないほど高額になることがあります。そのため、借家人賠償責任保険への加入が必要です。借家人賠償責任保険で保障されるのは、「火災、破裂・爆発、水ぬれ」を起こしたときに生じた損害で大家さんに対する補償のみです。
3.個人賠償責任保険
上記2つの保険でカバーされない賠償責任が生じる場合として、「水道の水の出しっぱなしによる水ぬれで階下の部屋の家財に損害を与えた」「子どもが遊んでいて窓ガラスを割った」などがあります。これらの日常生活を送るなかで思いがけずに起こるさまざまな賠償責任のリスクに備える保険として個人賠償責任保険への加入が必要です。
第三章 賃貸住宅に住むリスクに備えるには家財保険に特約を付けることがおすすめ
賃貸住宅に住むときに加入が必要な保険は、「家財保険」「借家人賠償責任保険」「個人賠償責任保険」の3つですが、このうち、「借家人賠償責任保険」「個人賠償責任保険」は、その保険のみに単独で加入できません。家財保険に加入すれば、特約として2つの保険を付加できるため、賃貸住宅に住むときは3つをセットにして加入するのがおすすめです。
賃貸住宅の契約のとき、不動産仲介会社から契約・入居の条件として3つの保険への加入をすすめられますが、そのすすめられる保険に必ずしも加入する必要はありません。必要な保障額がいくらかを確認して別の保険会社で加入することを伝え、加入した証明として保険証書のコピーを提出すれば問題ありません。不動産仲介会社がすすめる保険は、過剰な保障内容になっている可能性があるため、必要な保障だけにすることで保険料を節約できます。また、保険料が合理的な共済の家財保険に加入することでも保険料を軽減できます。
第四章 まとめ
賃貸住宅に住むときに万が一に備えて安心して生活するには3つの保険に加入することが必要です。全国共済の「新型火災共済」に加入すれば特約を付加することで、3つの保障すべてを受けられます。さらに必要に応じて「地震保険」も特約として付加でき、掛け金も安くておすすめです。
家財の保障は、1人あたり400万円まで受けられ、月額の掛け金は木造でわずか280円(年払いは3,200円)。借家人賠償責任は、1,000万円までの保障で木造住宅の場合、月額の掛け金は360円(年払いは4,000円)、鉄筋コンクリート造りの建物の場合、月額の掛け金は180円(年払いは2,000円)。また、個人賠償責任保険は、保険限度額が3億円で、年額保険料が1,680円(1か月額あたり140円)で済みます。
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