認知症保険はどんなもの?人生100年時代の備え

高齢化の進展によって人生100年時代を迎えつつあります。長寿は喜ばしいことですが、公的年金だけでは老後の生活資金が不足するといわれ、長生きするほど経済的な負担が増大していきます。また、病気やケガなどによって自立した生活が困難になって介護が必要になるリスクも考えなければなりません。特に認知症になると本人だけなく家族にも経済的・精神的・肉体的・時間的に大きな負担が生じます。人生100年時代に安心して老後を送れるように認知症によるリスクを軽減できる認知症保険について紹介します。

第一章 認知症患者の現状と予測および認知症が原因の介護について

1.認知症患者数の現状と予測

高齢化の進展で認知症の患者数が増加しています。2020年の65歳以上の認知症患者数は推計で約600万人ですが、厚生労働省は2025年に高齢者の5人に1人の約700万人になると予測。さらに2060年には少ない予測で4人に1人の約850万人、多い場合は3人に1人の1,150万人にまで増加する可能性があります。

認知症は以下の5つ理由からできるだけ認知症にならないように一人ひとりが予防を心がけることが重要です。また、仮に発症しても社会全体で認知症患者が家族や地域社会と「共生」し、人間としての尊厳や希望を持って生活できていけるようにしなければなりません。

  1. 長生きするほど発症率が高まり、誰でも発症する可能性があること
  2. 一部の種類の認知症を除き根本治療法がまだなく症状の進行を抑える対症療法しかないこと
  3. 65歳以上で介護が必要になる原因は認知症が1位(全体の24.3%)であること(厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」)
  4. 介護が必要になると家族にも経済的・精神的・肉体的・時間的な負担が大きくのしかかること
  5. 認知症の前段階の「MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)」状態の約半数が5年以内に認知症に移行する可能性が高いこと

「MCI」とは、日常生活に支障はないものの記憶などの能力が低下している状態のことです。この段階で認知症を発症の予防活動を開始することで認知症を予防したり、認知症の発症を遅らせたりすることが期待できます。もの忘れが以前より増えた、あるいはもの忘れの程度が同年齢の人に比べて強いと感じたときは、早めに専門医を受診することで認知症の早期発見・早期治療が可能です。

2.認知症は介護が必要になる原因の1位

高齢になると運動能力が衰えてきるため介護が必要になりますが、そのほかにもさまざまな原因で介護を受けないと生活できなくなります。そのほかには「認知症」「関節疾患」「転倒などによる骨折」「脳血管疾患(脳卒中)」などがあります。認知症は自立した日常生活を1人で送ることが困難で、介護が必要になる原因の第1位(24.3%)です。なお、2位は「脳血管疾患(脳卒中)」の19.2%、3位は「転倒・骨折」の12.0%です。

なお、介護保険では多少の支援があれば日常生活が送れる要支援者になった場合も利用できます。要支援が必要になる原因の1位は「関節疾患」で18.9%。2位は「高齢による衰弱」で16.1%。3位は「転倒・骨折」で14.2%。認知症は上位に入っていません。しかし、認知症は支援よりも介護が大変な要介護になる原因の1位のため、認知症になると家族の負担が大きくなります。

3.介護が必要になったときの費用と介護期間

公的介護保険サービスの自己負担費用を含む介護に要した費用は介護期間中の費用(月額)と一時費用(住宅の改造・改築費用や介護用ベッドの購入など費用)にわかれます。公益財団法人 生命保険文化センターの「2021年度生命保険に関する全国実態調査」によると月額費用の平均は8.3万円です。金額別の分布では15万円以上が16.3%で最も多く、1万円~2万5千円未満が15.3%、2万5千円~5万円未満が12.3%、10万円~12万5千円未満が11.2%と続きます。一時費用の合計額の平均は74万円です。金額別の分布では、15万円未満が18.6%と最も多く、費用ゼロが15.8%、25万円~50万円未満が10.0%と続きます。15万円未満(かかった費用ゼロを含む)が全体の34.4%と多いため、平均の74万円を大きくこえる多額の費用が必要になる場合もあることがわかります。

介護期間(介護中の場合は経過期間)は、平均が約5年の61.1カ月。期間の分布別では、4~10年未満が31.5%と最も多く、10年以上が17.6%、3年~4年未満が15.1%、2年~3年未満が12.3%と続きます。10年以上の介護期間が2割弱あるため、介護費用が多額になるリスクを考慮しておく必要があります。

第二章 認知症保険とはどのようなもの?

家族が認知症になると経済的負担が大きくなる可能性があります。公的介護保険が利用できますが現金の給付は受けられません。認知症になって収入が減ったり、家族も介護のために仕事を変わったり、辞めたりすると収入が減るため、現金の給付が受けられると安心できます。

認知症保険は、介護が必要となる原因の1位である認知症に特化し、公的介護保険でカバーできない保障が受けられる民間の保険のことです。認知症による介護費用については公的介護保険のほかに民間の介護保険が利用できます。介護保険は認知症保険と同様に現金の給付が受けられます。しかし、保障条件が「公的介護保険の要介護2や要介護3以上の状態」となっていることが多く、要介護度が低い場合には保障の対象にならない問題点があります。一方、認知症保険は、保障の条件に要介護度がないものも多く、医師によって認知症と診断されると保障対象になるのが一般的です。認知症患者は、その症状が軽いと多少の支援があれば日常生活が送れるので、要介護度の判断が低くなることがあります。しかし、要介護度が低くても目がはなせず家族の負担が重くなることが考えられます。そのため介護保険ではカバーできない保障を認知症保険であればできます。

第三章 『認知症保険』を選ぶときのポイントは?

認知症保険は保険会社によって保障内容や保険金を受け取れる条件などに違いがあります。認知症保険だからということだけで安易に加入しないで、詳細をしっかり確認してから加入する必要があります。認知症になった後でも加入できる認知症保険もありますが、一般的な加入時期は認知症の発症や要介護状態なるリスクが高くなる50代以降に検討するとよいでしょう。

加入する認知症保険を選ぶときのチェックポイントは以下です。

  • 保障金額、保険料
  • 加入条件(年齢、健康状態など)
  • 給付条件(認知症の診断確定、要介護状態の認定、認知症の状態が一定期間の継続など)
  • 給付金の受け取り条件(一時金のみか、年金と併用の可否など)
  • 待機期間(不担保期間・免責期間)の有無
  • MCI(軽度認知障害)や要支援に対する保障の有無
  • 予防給付の有無(認知症の発症がない場合の給付金の支給など)
  • 付帯サービス(認知症予防アプリ、診断書取得サービス、介護・健康相談サービスなど)の内容
  • 認知症以外の保障内容(医療保障、死亡保障、損害賠償保障など)の有無

第四章 まとめ

認知症は発症すると記憶障害が起き認知能力が低下します。そのため介護保険に加入するだけでなく加入していることや預貯金などの資産、そのほかの重要な情報について家族と共有しておくことが大切です。また、認知症を発症すると本人が給付金の請求ができない可能性があります。そのため、請求ができる指定代理請求人をあらかじめ決めておきましょう。指定代理請求人には、多くの場合、被保険者の戸籍上の配偶者や3親等以内の親族がなれます。


全国共済への加入をお考えの方は、まずは資料請求からいかがでしょうか?
こちらから全国共済への資料請求ができますので、ぜひお役立てください。