新型コロナウイルス流行下で災害が発生したら?『複合災害リスク』に備える

近年は、梅雨や台風の季節に気象災害による甚大な被害が多く発生するようになりました。また、巨大地震が日本でいつ起きてもおかしくないと予測されています。新型コロナウイルスがまだ流行しているときに自然災害が発生する複合災害が起きる可能性があります。その場合、従来の自然災害のときと同じような対応では終息しかけていた新型コロナウイルスが、爆発的に感染拡大するリスクが生じます。そこで、感染症がまだ流行しているときに自然災害が発生するときや自然災害が複合して発生した際に備えておく方法・知識について紹介します。

第一章 複合災害とは?

複合災害とは、複数の災害がほぼ同時に、または1つの災害からの復旧が完全にできていない段階で別の災害が起こることです。複合災害として起こる可能性のある災害は自然災害(地震、津波、台風、強風・竜巻、豪雨・洪水、土砂崩れ・土石流、豪雪、火山噴火、落雷など)、原子力発電所の事故、有害化学物質による汚染などの特殊災害、および感染力の強いウイルスや細菌による感染症被害が考えられます。

複合災害は、以下の理由により単独災害よりも被害の拡大、支援の困難、被災住民の金額的・精神的ダメージの増大を招き、元の正常な生活への復興が困難になります。

  • 最初の災害によるダメージで地盤、河川の堤防、家屋などの耐久力が低下したところに次の災害が起きるため、被害がさら拡大する。
  • 複合災害は、災害エリアが拡大することから救助隊の活動や支援の食料・医療関連の物資の配送が困難になって被害が拡大する。また、感染症が同時に起きた場合、現状の避難場所では感染しないために必要な距離やその他の感染対策を十分に取れないことから、集団感染が拡大するリスクが高くなる。
  • 災害の復興が終わっていないところに、あるいは復興がやっと終わったところに次の災害が起きるため被災者の金額的・精神的負担が大きくなるうえ、国や自治体の財政負担も大きくなる。

第二章 新型コロナウイルス流行下における複合災害リスクについて

防災関連の50以上の学会で構成される「防災学術連携体」が、新型コロナウイルスの脅威がまだ継続しているなか、大規模地震の発生するリスクがあること、雨期、および台風の季節が近づいていることから2020年5月1日、「感染症と自然災害の複合災害」への備えが必要として、緊急メッセージを発表しました。メッセージでは新型コロナウイルスなど感染力が強く重症化のリスクが高い感染症が流行している時期に自然災害が起きたときの注意として以下の5つを訴えています。新型コロナウイルスの終息が見えないなか、改めて自然災害が複合して起きたときの心構えをしっかり持って、適切な対応を国や自治体と連携して行わないといけません。

1.感染症と自然災害の複合災害リスクが高まっている

新型コロナウイルスの感染リスクがまだ継続しているなか、近年、毎年のように起こっている避難を伴う大規模な自然災害が起きれば、その地域では感染症と自然災害による複合災害に襲われ、オーバーシュート(医療許容量をこえる感染者の爆発的増加)の可能性が高くなるなど、極めて厳しい状況になることをしっかり認識しておく必要があります。複合災害の危険性の軽減・ウイルス感染の爆発的拡大を防ぐため、居住している地域のハザードマップや地域防災計画などを参考にして、地震・火山災害、河川の氾濫や土砂災害などの危険性と避難の必要性について、今のうちに自ら確認しておくとともに、自主防災組織、ボランティア、自治体職員、医療・福祉関係者などと協力することや、高齢者や体の不自由な人への支援ができるようにしておかなければなりません。

2.感染リスクを考慮した避難が必要である

災害発生時には公的避難所が開設されますが、ウイルス感染のリスクが高い場合、従来とは避難の方法を変えなければなりません。避難所の数を増やし、学校では体育館だけでなく教室も使い、避難者間のスペースを確保し、ついたてを設置する、消毒液などの備品を整備するなどの対応が必要となります。さらに感染者、感染の疑いのある人がいる場合には、建物を分けるなど隔離のための対策も必要です。政府および都道府県・市町村の関係者は、強固に連携して準備することが求められます。また、住民はこれに協力することが必要です。

避難が必要になったときのために近くの避難場所をあらかじめ決めておきましょう。必ずしも指定された避難所へ行く必要はありません。安全が確保できる近くの親戚や知人の家などを自主避難先としてお願いしておきましょう。また、近隣同士で相談して、その地区の頑丈なビルの上層階を避難場所とすることも有効です。自宅で居住が継続できる場合は、自宅避難をしましょう。その場合、食料や水などを十分に備蓄しておく必要があります。ただし、自宅避難が可能かどうかは、災害の種類や規模によって異なります。また、災害時の感染防止対策について、自主防災組織や町内会で相談しておきましょう。避難が必要になる地域では、自主防災組織や町内会が、公的避難所を利用する予定の人数を把握し、その人数と情報をあらかじめ市町村に伝えておくことが「密閉、密集、密接」の3密を避けるためには重要です。

3.地震・火山災害との複合災害に備える

雨期や台風の季節だけではなく、日本は4つのプレートの衝突部に位置し、世界の地震の10%、世界の活火山の7%に集中しています。大地震は、いつ、どこで起きても不思議でないことを常に忘れないようにしておかなければなりません。地震・津波、火山噴火などによる災害が発生した場合も想定し、複合災害への備えをこれまで以上に進めておく必要があります。身近なことでは、地震の揺れで家具が転倒しないように壁に固定する、防災用の備品を確認する、津波に対する避難路・避難先を確認するなど、これまで指摘されている防災対策を少しずつでも進めておきましょう。

4.気象災害との複合災害に備える

梅雨の時期、その後の夏から秋にかけては大雨・猛暑・台風などによる気象災害が全国的に多発する季節になります。また、地球温暖化による気候変動の顕在化に伴って豪雨の頻度や強さが長期的に増大する傾向にあり、2018年7月の西日本豪雨や2019年の東日本台風(台風19号)など、
多くの地域が広域豪雨による甚大な水害、土砂災害に見舞われています。2020年以降も気象災害の発生に備える必要があります。最新の気象情報や自治体などから発表される避難情報を常に確認し、防災用の備品の準備、洪水や土砂災害に対する避難路・避難先を確認するなどの防災対策を可能なものから少しずつでも進めておきましょう。

5.熱中症への対策も必要である

気象庁から2020年の夏は平年より気温が高くなるという予報が出されており、暑くなると熱中症対策が重要となります。熱中症により基礎体力が衰えると、ウイルス感染者の重症化のリスクが高まります。暑さに負けないように、健康維持に心がけるとともに、扇風機や空調設備の整備もできる範囲で早い時期に準備しておきましょう。

第三章 新型コロナウイルス流行下における複合災害への備え

新型コロナウイルスのように感染力が強く重症化もしやすい感染症が流行しているときに、複合して災害が生じたときには「防災学術連携体」の緊急メッセージでも触れられていたように、従来の避難方法だけでは十分ではありません。行政による「公的避難所の増設」「学校の体育館だけでの避難生活ではなく教室も使い、避難者間のスペースの確保、ついたてによる簡易的な隔離」「消毒液やマスクなどの備品整備」「感染者や感染の疑いのある人との居住エリア・建物の分離」などが必要です。

1.一般市民として備えるべきこと

一般市民としては、繰り返しになりますが、3密をできるだけ避けるために親戚や近隣と事前に相談して自主避難先や近隣の安全なビルの上層階への避難を考えておくことが必要です。また、食料や水など十分な量を備蓄しておくと、災害の規模や状況に応じて自宅に住み続ける「自宅避難」が可能です。また、新型コロナウイルスと熱中症は、「体がだるい、頭痛、筋肉痛、発熱、味覚障害」などの症状では共通しているので見分けるのが困難な可能性もあることから、熱中症にならないような生活を心がけることが重要です。新型コロナウイルスからの感染を完全に防止することは困難ですが、熱中症は十分な注意を払えば防止できます。なお、災害時に必要な情報とアプリについて内閣府が「災害時に便利なアプリとWEBサイト」というページを開設しています。デマに惑わされないために正しい情報を知る方法、災害時にどう行動すればよいかについて確認できます。

2.企業として備えるべきこと

自然災害は、24時間いつでも起こることから企業の営業時間・勤務時間中に発生したときを考慮して、企業も備えを怠らないようにしなければなりません。企業は非常事態が発生したとき、企業の存続に重大な影響が出ないように重要な業務が継続できるための対策を、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)として準備、計画しておく必要があります。また、東日本大震災が発生したとき、BCPが用意されていたにもかかわらず、意思決定者のBCP発動の遅れ、現場へのBCPの周知不足・訓練の未実施などで有効に生かせなかったことから、BCPを計画通りに実行できるようにするBCM(Business Continuity Management:事業継続マネジメント)で、計画、手順、施設、リソースおよびコミュニケーションなどを含めて戦略からテスト、メンテナンスまでの全過程を網羅してBCPを生かせるようにする必要があります。

また、従来型のBCPは地震や洪水など災害別にどのように対処すべきかのシナリオが考えられています。しかし、複合災害が起きると、その組み合わせすべてについてシナリオを考えることは、組み合わせ数が多すぎて現実的ではありません。特に、近年は想定外のことが頻発していることからシナリオどおりに対応できない可能性があります。そこで、シナリオではなく施設・事業所・工場といった設備などの自社のリソースや道路・電気・港湾といった公共インフラのリソースなどが使用不能になったときや、特定の役割を担う担当者と連絡が取れないなどの人的なリソースがどのような状況・状態になるかを想定します。リソースが使えなかった場合にどうするかを考えて対策を講じるアプローチが求められています。このような対策をしておくことで、複合災害がどのような災害の組み合わせで起きたとしても容易に対応できます。つまり、BCPをシナリオベースからリソースベースにして策定しておくことが必要です。

なお、企業も新型コロナウイルスなどの感染症が流行しているときの複合災害を想定して避難所での生活によるリスクを考慮しておく必要があります。そのため企業も事業所内で避難生活ができるように、一般家庭の在宅避難と同様に従来よりも食料品や日用品の備蓄、および電気や水道を代替できるように準備して社員が3密をできるだけ避けられるように検討しておかなければなりません。企業が、あらゆる危機を乗りこえて事業を継続するために必要な内容を内閣府が「事業継続ガイドライン-あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応-」として公表しています。

第四章 まとめ

日本は、地震や火山の噴火などの自然災害が起きるリスクが高い国であることや、近年の気象変動による自然災害が大規模化していること、さらに未知のウイルスによる感染症のリスクも加わることから、複合災害リスクについての意識を高め、万が一に慌てなくてもよいように対策を怠らないように備えておく必要があります。しかし、災害を免れることは不可能です。そして、自然災害による被害は資産価値の大きな住宅・家財を破壊してゼロにしてしまう恐れがあります。生活再建をスムーズに行う備えとして火災保険や地震保険への加入が必要です。加入にあたっては全国共済の新型火災共済地震特約への加入がおすすめです。

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