よく聞く「先進医療」とは?「先進医療共済金」って?
病気の原因の究明、効果的な医薬品の開発、病気の治療に効果的な医療機器の開発など医療分野の技術の目覚ましい進歩によって、人類は長寿命、難病の克服、体に負担のかからない検査・診断・手術による治療など多くのメリットを得ています。今も例えばiPS細胞、AI(人工知能)、および超高精細画像技術などによって新しい医療技術の開発や実用化のニュースが数多く報道されます。また、新しい医療技術とともに「先進医療」という用語も報道でよく聞くようになりました。難病や苦しい闘病生活を送っている人にとって、新しい医療技術は希望の光となります。
そこで、新しい医療技術がどのようにして利用できるようになるのか、「先進医療」とはどのような医療なのか、先進医療を受けるときに必要な費用、および先進医療を受けたときに医療費の保障が受けられる「先進医療共済金」について解説します。
第一章 先進医療とは?
1.先進医療とは?
先進医療とは、法律で「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養」と定義されています。法律の定義を少し分かりやすくいい換えると、先進医療とは、健康保険や国民健康保険などの公的な医療保険の対象になっていない新しい医療技術に「患者の安全性」を確保し、「医療費の負担増大の防止」「治療の選択肢の拡大」「治療の利便性の向上」の観点から実施される医療のことです。
2.保険診療・保険外診療・混合診療とは?
公的な医療保険が対象になっている医療技術は、「保険診療」と呼ばれ、科学的な根拠に基づいた最良の医療法の「標準治療」で行われます。保険が適用されない先進医療を含む新しい医療技術は「保険外診療または自由診療」と呼ばれます。また、「保険外診療」による治療を受けるときも保険が適用される医薬品、および血液・レントゲンなどの検査を利用した治療も一緒に行われるのが一般的です。このように「保険診療」と「保険外診療」が一緒に行われる診療は「混合診療」と呼ばれます。
厚生労働省は、この「混合診療」を原則として禁止しています。そして、「混合診療」の場合、受けた医療全体が「保険外診療」とみなされ、「保険診療」による治療であっても自己負担をしなければなりません。ただし、厚生労働省は、例外として「混合診療」における「保険外診療」が先進医療の場合は、一緒に受けた「保険診療」による治療費は公的な医療保険の対象になるとしています。
3.先進医療による治療を受けたときのときの費用はいくら?
「混合診療」として100万円の医療費(先進医療に関わる費用30万円、保険診療に関わる費用70万円)の場合、患者が負担する費用は以下の金額です。
患者が負担する医療費51万円=30万円(先進医療費:全額自己負担)+70万円×0.3(3割負担の場合に自己負担する保険診療費)
なお、保険診療に関わる費用の21万円に対しては、高額療養制度が利用でき、医療費の実質負担額が軽減されます。例えば、年収が370万円から770万円の家庭で年齢が70歳未満、公的医療保険の負担割合が3割、上記の自己負担額の21万円を月初から月末までの1カ月間で支払っていた場合、約12.6万円が戻ってくるので公的医療費の実質負担額は約8.4万円です。
先進医療の個々の治療費は、数千円から数百万円をこえる金額まであります。個々の先進医療費はこのあとの「先進医療の費用はどれくらいかかるの?」で具体的な金額について紹介します。
4.先進医療の利用方法
保険診療との併用が可能な先進医療は、厚生労働大臣の承認を受け、厚生労働省が個々の先進医療について実施が可能な施設基準の条件をクリアした医療機関でしか受けられません。新しい高度な医療技術による治療方法が開発されると、病気で苦しんでいるときはそれを利用したいと考えますが、すべての新しい医療技術を先進医療として利用できません。
先進医療として承認されている医療機関は、厚生労働省のサイトに記載されています。先進医療技術・医療機関は、新規に追加されたり、削除されたりします。また、先進医療技術は、先進医療AとBの2種類があり、先進医療Aが29種類、1121件、先進医療Bが65種類、765件あります(2019年5月1日現在)。
第二章 先進医療の費用はどれくらいかかるの?
病気の人やその家族は、既存の保険診療による治療で病気がなかなか治る可能性がない場合、先進医療による治療を受けたいと考えるかと思います。しかし、先進医療に関わる医療費(保険診療以外の治療費で技術料)は全額自己負担になるためその先進医療の自己負担分がいくらかかるか気になるのではないでしょうか。そこで先進医療に関する厚生労働省のデータから、先進医療を受けた患者の自己負担額の平均金額と保険診療費の平均金額、主な先進医療の個々の医療費について紹介します。
以下の数値は、2019年1月に開催された第71回先進医療会議(厚生労働省)で報告された2017年7月1日から2018年6月30日までの1年間に実施された先進医療の実績データです。そのため金額は年度によって変わります。また、同じ先進医療を受けても医療機関によって費用は変わる可能性があります。実際に先進医療を受ける場合、費用については医療機関で事前に確認するようにしてください。
1.先進医療の費用(平均額)
先進医療費用 | 約84.1万円 |
保険診療費用 | 約15.6万円 |
合計費用 | 約99.7万円 |
※【ご参考】先進医療を受けた患者数 約2.9万人
2.高額な先進医療の費用
先進医療の名称 |
平均費用 |
オクトレオチド皮下注射療法(先天性高インスリン血症) 先進医療B |
約372.8万円 |
重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病に対する 脳死ドナー又は心停止ドナーからの膵島移植 (重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病) 先進医療B |
約366.9万円
|
ゲムシタビン静脈内投与および重粒子線治療の併用療法(膵臓がん) 先進医療B |
約314.0万円 |
重粒子線治療 先進医療A |
約313.4万円 |
陽子線治療 先進医療A |
約271.6万円 |
※【ご参考】10万円を切る金額で利用できる先進医療数は20あります。
※補足
先進医療A
- 未承認等の医薬品若しくは医療機器の使用又は医薬品若しくは医療機器の適応外使用を伴わない医療技術(4に掲げるものを除く)
- 以下のような医療技術であって、当該検査薬等の使用による人体への影響が極めて小さいもの
- 未承認等の体外診断薬の使用又は体外診断薬の適応外使用を伴う医療技術
- 未承認等の検査薬の使用又は検査薬の適応外使用を伴う医療技術
先進医療B
- 未承認等の医薬品若しくは医療機器の使用又は医薬品若しくは医療機器の適応外使用を伴う医療技術(2に掲げるものを除く。)
- 未承認等の医薬品若しくは医療機器の使用又は医薬品若しくは医療機器の適応外使用を伴わない医療技術であって、当該医療技術の安全性、有効性等に鑑み、その実施に係り、実施環境、技術の効果等について特に重点的な観察・評価を要するものと判断されるもの。
3.利用の多い先進医療の患者数と平均医療費
先進医療の名称 | 利用患者数 | 平均の金額 |
多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術 先進医療A |
約2.39万人 | 約65.6万円 |
陽子線治療 先進医療A |
約0.17万人 | 約271.6万円 |
重粒子線治療 先進医療A |
約0.10万人 | 約313.4万円 |
MRI撮影および超音波検査融合画像に基づく 前立腺針生検法 先進医療A |
約0.04万人 | 約10.8万円 |
ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する 迅速診断(PCR法) 先進医療A |
約0.02万人 | 約2.4万円 |
第三章 先進医療共済金とは?
先進医療共済金とは、多くの人が保険診療でなかなか病気が治らないときに、少しでも可能性があるなら新しくて高度な先進医療で最善の医療を受けたいという患者や家族の思いをかなえたいときに助けになる共済金のことです。先進医療は、公的な医療保険が利用できずに全額が自己負担(先進医療と併用される保険診療を除く)になるため、高額な先進医療を受けるのは経済的な負担が大きく、先進医療を受けたくても経済的な理由で断念をしなければならない可能性があります。
全国共済「生命共済」の「総合保障型」基本コースにプラスして「医療特約」に加入、または「熟年型」の基本コースにプラスして「熟年 医療特約」に加入すると先進医療を受けたときに先進医療共済金が支払われます。支払いは基本コースの支払い限度額をこえたときで、支払金額は全国共済の基準によって以下の金額が支払われます。
「医療特約」の場合、1万円から150万円(18歳から60歳のとき)、または1万円から100万円(60歳から65歳のとき)が支払われます。
「熟年 医療特約」の場合、1万円から100万円(65歳から70歳のとき)、または1万円から50万円(70歳から80歳のとき)が支払われます。
第四章 基本コースに「医療1型特約」のプラスがオススメ
生命共済の基本コースに加入していて、まだ医療特約に加入していない満18歳から満64歳の健康な方は、「医療1型特約」をプラスすることをオススメします。基本コースに特約として「医療1型特約」を付けると前述の先進医療を受けたときに1万円から150万円(満60歳以降にご加入で60歳~65歳の方は1万円~100万円)の共済金が全国共済の支払い基準によって支払われます。なお、支払い対象になる「先進医療」とは、すでに説明していますが、厚生労働大臣が「先進医療」ごとに定める施設基準に適合し、届け出が受理された病院または診療所において行われるものに限定されます。「先進医療」の共済金は、基本コースの支払い限度額をこえた場合に、全国共済の定めにより支払い限度額の範囲内で支払われます。
その他に以下の保障も同時に受けられます。
保障内容 | 支払われる共済金 |
1回の入院に対して入院一時金 | 2万円 |
所定の手術に対する費用として | 5万円・10万円・20万円のいずれか |
在宅療養費として | 4万円 |
疾病障害に対する費用として | 100万円 |
※疾病障害の範囲および手術の支払い基準は全国共済の定めによります。一部支払いの対象とならない手術があります。
※「入院一時金」の共済金は、入院日数に関わらず、一律に共済金が支払われます。(日帰り入院も保障の対象)
※「在宅療養」の共済金は、入院共済金が支払われる入院を20日以上継続した後、保障期間内に生存して退院した場合が支払いの対象です。
先進医療共済金だけでなく手厚い保障が月額1,000円の掛け金で受けられるため基本コースに付加することをご検討ください。
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