親の注意で多くは防げる子どもの死因上位の「不慮の事故」

子どもは大人がまったく予測や理解できない行動をよくします。その行動が、ケガ、場合によっては病気を発症し、最悪は死に至る危険性があります。厚生労働省の2018年の人口動態統計によると、子どもの死亡原因の上位を不慮の事故が占めていることから、国も子どもの事故防止対策を推進しています。そこで、子どもに起きた不慮の事故死の現状、年代別に起こりやすい事故、不慮の事故の予防策、および事故が起きたときの万が一に備えるために必要な子ども向けの共済について紹介します。

第一章 子どもの不慮の事故死における現状

1.2018年度の年齢(5歳階級)別死因順位

年齢(5歳階級)別の不慮の事故の死因順位は、人口動態統計によると以下の表の通り、全年齢を通じて上位を占めています。幸いにも死亡に至らなかった不慮の事故によるケガや病気の公的なデータはありませんが、医師の手当てを受けなければならない件数だけに限定しても極めて多く発生しています。( )内の数字は、最初の数字が死亡人数、2番目の数字が人口10万人に対する死亡率です。

1位 2位 3位 4位 5位
0歳 先天奇形など
(617、67.2)
呼吸障害など(263、28.6) 不慮の事故(65、7.1) 乳幼児
突然死
症候群
(56、6.1)
妊娠期間などに
関連する障害
(50、5.4)
1~4歳 先天奇形など(151、3.9) 不慮の事故
(81、2.1)
悪性新生物(73、1.9) 心疾患
(31、0.8)
肺炎
(23、0.6)
5~9歳 悪性新生物
(81、1.6)
不慮の事故
(75、1.5)
先天奇形など
(38、0.7)
その他の
新生物
(14、0.3)
心疾患・
インフルエンザ
(12、0.2)
10~14歳 悪性新生物(114、2.1) 自殺
(99、1.9)
不慮の事故
(64、1.2)
心疾患
(23、0.4)
先天奇形など
(22、0.4)

2.子どもの年齢別事故発生比率と死因別順位

2-1 子どもの年齢別事故発生比率

子どもの年齢別事故発生比率は以下の表の通りです。この表から小学校入学前の未就学児(6歳児まで)で全体の約3分の2になることが分かり、この年齢の子どもに対する注意が特に必要です。さらに0歳児が全体の約4分の1を占めて圧倒的に多く、1歳児は0歳児に次いで多く、0歳児と1歳児で全体の3分の1以上を占めることから、この年齢の子どもに対しては一層の注意が必要です。

年齢 事故発生比率(%) 年齢 事故発生比率(%)
0歳 24.7 8歳     5.0
1歳 11.5 9歳     4.3
2歳 6.7 10歳     2.8
3歳 5.5 11歳     3.6
4歳 5.2 12歳     3.0
5歳 4.3 13歳     4.7
6歳 5.6 14歳     7.1
7歳 6.1

*0~1歳合計36.2%、0~6歳合計63.5%
*上記は2010年~2014年の人口動態調査から消費者庁がまとめて公表している数値です。

死因事故内容 死亡人数 備考
窒息 94 寝具や食品・玩具などの誤嚥(ごえん)などによる窒息事故
交通事故 91 自転車や自動車を使用中の事故
溺水 68 浴槽内や屋外での溺水(できすい)事故
転落・転倒 17 建物からの転落やその他の転倒事故
火事・やけど 11 ライターの火遊びなどによる火災事故
その他 8 有害物質、その他の原因不明の事故
合計 289

*数値は2016年度の死亡人数で地震などの自然災害を原因とする死亡を除いています。
*死亡人数は2010年度まで急速に減少(1980年度は3,851人、2010年度は506人)、その後も減少を続けていますが、減少率は低下してきています。

2-3 詳細な死因別・年齢別の死亡事故発生比率順位(1位~5位)

子どもの死因別・年齢別の死亡事故発生比率順位(1位~5位)は以下の表の通りです。この表からは、0歳児を除いて全年齢で交通事故死が多いことが分かります。窒息は0歳~2歳時までに特に多く、溺水は3歳~14歳までに多く起きています。( )内の数字は各年齢における死因の発生比率です。

年齢 1位 2位 3位 4位 5位
 

0歳

窒息
(就寝時)
(31.9%)
窒息
(胃の内容物の誤嚥)
(22.5%)
窒息
(詳細不明)(11.0%)
窒息
(食物の誤嚥)
(9.8%)
交通事故(5.8%)
 

1歳

交通事故(28.2%) 溺水
(浴槽内)
(23 .1%)
窒息
(胃の内容物の誤嚥)
(9.4%)
窒息
(食物の誤嚥)
(7.7%)
窒息
(その他の誤嚥)
(5.1%)
 

2歳

交通事故(43.4%) 窒息
(胃の内容物の誤嚥)
(8.1%)
溺水
(その他の原因)
(7.3%)
窒息
(食物の誤嚥)
(5.9%)
窒息
(詳細不明)(4.4%)
 

3歳

交通事故(36.5%) 建物からの転落
(16.1%)
溺水
(屋外)
(8.9%)
溺水
(浴槽内)(7.1%)
窒息
(食物の誤嚥)
(5.4%)
 

4歳

交通事故
(35.8%%)
建物からの転落(13.2%) 溺水
(浴槽内)(8.5%)
溺水
(その他の原因)
(8.5%)
溺水
(屋外)
(7.5%)
 

5歳

交通事故(47.1%) 溺水
(屋外)
(13.8% )
溺水
(浴槽内)(6.9%)
溺水
(その他の原因)
(4.6%)
建物からの転落
(3.4%)
 

6歳

交通事故(49.6%) 溺水
(屋外)(19.5%)
溺水
(その他の原因)
(6.2%)
溺水
(浴槽内)(4.4%)
建物からの転落
(4.4%)
 

7歳

交通事故(58.5%) 溺水
(屋外)(20.3%)
溺水
(その他の原因)
(5.7%)
建物からの転落
(3.3%)
その他の転落(2.4%)
 

8歳

交通事故(57.4%) 溺水
(屋外)(16.8%)
溺水
(その他の原因)
(5.0%)
窒息
(食物の誤嚥)
(4.0%)
建物からの転落
(4.0%)
 

9歳

交通事故(44.8%) 溺水
(屋外)(17.2%)
建物からの転落
(6.9%)
溺水
(その他の原因)
(6.9%)
不慮の首つり
(絞首)
(4.6%)
 

10歳

交通事故(51.8%) 溺水
(浴槽内)(10.7%)
溺水
(屋外)
(8.9%)
窒息
(食物の誤嚥)
(5.4%)
不慮の首つり
(絞首)
(3.6%)
 

11歳

交通事故(37.0%) 溺水
(屋外)(20.5%)
建物からの転落
(8.2%)
溺水
(浴槽内)(6.8%)
溺水
(その他の原因)
(5.5%)
 

12歳

交通事故(45.9%) 溺水
(屋外)(16.4%)
溺水
(浴槽内)(13.1%)
窒息
(詳細不明)
(6.6%)
窒息
(胃の内容物の誤嚥)
(3.3%)
 

13歳

交通事故(44.2%) 溺水
(屋外)(16.8%)
溺水
(浴槽内)(12.6%)
建物からの転落
(7.4%)
窒息
(食物の誤嚥)
(4.2%)
 

14歳

交通事故(38.9%) 溺水
(屋外)(19.4%)
溺水
(浴槽内)(11.8%)
建物からの転落
(9.7%)
溺水
(詳細不明)
(4.2%)

*上記は2010年~2014年の人口動態調査から消費者庁がまとめて公表している数値です。
*地震などの自然災害を原因とする死亡を除いています。

第二章 年代別・場所別の起きやすい事故

年齢別に起きている事故について大きく分類して紹介しましたが、1歳児、1歳児~3歳児、3歳児~6歳児くらいに分けて場所別などにどのような事故が起きやすいのか具体的に紹介します。

1歳児くらいまで

・リビング
感電、暖房器具によるやけど、誤飲による窒息、ソファやベッドからの転落、転倒など

・キッチン
調理器によるやけど、イスやテーブルからの転落、転倒など

・浴室
浴槽の残り湯による溺水、熱い湯によるやけど、転倒など

・階段
転落

・その他
誤って子どもに上から物を落とす、上の兄・姉が抱いて落とす・食べて良くない食べ物を食べさせる、柔らかいまくらなどの寝具やおもちゃなどによる窒息など

1歳児~3、4歳児くらいまで

・室内
熱くなる家電製品(暖房器具、調理器、アイロンなど)によるやけど、浴室での溺水など

・駐車場
転倒、熱中症、花火やライター・マッチなどの火遊びによるやけど、車から見えにくく予測ができない子どもの行動による交通事故など

・道路
急な飛び出しによる交通事故、転倒など

・ベランダ
転落、転倒など

3歳児~6歳児くらいまで

・道路、公園、プール
道路の歩行中や自転車での走行中の急な飛び出しなどで自動車やその他に衝突・転倒、遊具から転落、転倒や手足をはさむ、プールで溺水など

第三章 不慮の事故に対する予防策

不慮の事故の予防策を死亡人数の多い窒息・交通事故・溺水の事故別に紹介します。

1.窒息事故の予防策(乳幼児)

  • 大人用ベッドではなくできるだけベビーベッドを使用し、硬めの寝具を使用する。
  • 乳幼児でも払いのけられる軽い掛けふとんを使用し、顔にかからないように注意する。
  • 寝かしつけるときは子どもは仰向け状態にする。
  • 子どもが寝る場所顔のそばには窒息防止のために柔らかいもの、ひも状のものを置かないようにする。
  • 寝ている間に動いてベッドや壁などの隙間に挟まれないように隙間をなくす。
  • 添い寝をするときは子どもの顔を圧迫しないように注意する。
  • 授乳のあとはゲップをさせる(ゲップが出なかったときは15分ほど様子を見る)。

2.窒息・誤飲・誤嚥事故の予防策

ブラインドやカーテンなどのひもが首に絡まないようにし、窓際にはイス、ソファーなどを置かない。

  • ドラム式洗濯機には危険であることを分からせて近づけないようにし、また小さい子が入らないように踏み台になるものを近くにおかない。
  • 車に乗せているときはパワーウインドウボタンを操作できないようにする。
  • のどにつまる可能性のある硬い食べ物は小さく切るか、砕いてから与える。
  • 気管支に誤って入りやすく化学反応が生じて肺炎を起こしやすいピーナツ、枝豆、アーモンドなどの硬いナッツ類は3歳ころまで与えない。
  • 食べながら遊んだり、寝転んだりすることを禁止する。
  • おもちゃやその他の、子どもが口に入れやすいものを放置しておかない。特にたばこ(たばこを消すために使った灰皿や缶などの水の誤飲は危険)、ボタン電池、樹脂製の吸水性のボール、磁石など、および医薬品、洗剤、化粧品、アルコール類などの誤飲は非常に危険。

3.交通事故の予防策

  • 子どもと一緒に自動車の通る道を歩くときは手をつなぎ、歩道、白線の内側を大人が車線側に立って歩く。
  • 飛び出しの危険なことや交通ルール(自転車を使う場合を含む)を教えてルールに従った行動を守らせる。
  • 道路上や道路のそばで遊ばせないようにする。
  • 車道越しに子どもに声をかけない(子どもが急に車道に飛び出す危険性がある)。
  • 車に乗せるときはチャイルドシート(6歳未満)を使用するか、安全ベルトを着用させる。

4.溺水事故の予防策

  • 浴槽、洗濯機、バケツ、洗面器などの水は利用後には抜いておく。
  • 入浴時やビニールプール、海や川、ため池などの水遊びをしているときは目を離さないようにする。
  • 水のある危険な場所へは近づかないように教育する。

5.上記を含むその他の事故に対する予防策や事故時の対象法・緊急連絡先

以下のサイトでは窒息・交通事故・溺水を含み、転落・転倒・やけどやその他のさまざまな事故事例と予防策、また万が一に事故が起こったときの応急手当法と困ったときの相談窓口が分かります。

子どもを事故から守る!!事故防止ハンドブック(消費者庁)

6歳児までの不慮の事故事例と予防策から応急手当法や誤飲したときの緊急連絡先などが記載されています。

Safe Kids Japanのホームページ(NPO法人 Safe Kids Japan)

国立成育医療研究センター、産業技術総合研究所などと連携して子どもの傷害予防に関するさまざまな活動を行う「NPO法人 Safe Kids Japan」のホームページです。事故事例と予防策が記載されています。

第四章 まとめ

子どもの不慮の事故は、どのような危険が子どもに起こるのかをあらかじめ理解して適切な予防策をすることで多くの場合は事故を防止できます。本記事を参考にして大切なお子様を不慮の事故から守ってください。なお、万が一、事故が起きたときに備えて共済の「こども1型」に加入しておくことをおすすめします。月額1,000円の掛け金で、不慮の事故による入院の場合は1日目から1日あたり5,000円(360日を限度)、通院でも1日目から1日あたり2,000円(90日を限度)の保障を受けられます。また、後遺障害が残ると最大300万円、死亡・重度障害では最大500万円の保障を受けられます。

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