セルフメディケーションでメガネやコンタクトレンズは税額控除されるの?

2018年12月13日

1年間に原則として10万円以上を医療費として支出すると10万円をこえた金額は確定申告をすることで税金の還付を受けられる医療費控除は、多くの人に知られています。これに加えて、新しい医療費に関する税額控除が受けられるセルフメディケーションと呼ばれる制度が2017年度からスタートしました。新しく始まったセルフメディケーションとはどのような制度なのか、医療費控除との違いについて、およびメガネやコンタクトレンズの購入費用も税額控除の対象になるのかについて紹介します。

第一章 セルフメディケーションとは

1-1.セルフメディケーションとは

セルフメディケーションとは、自分の健康に自分自身で責任を持ち、体の不調を感じたら早期に自分で手当をして治すという考え方のことです。体調を管理し、病気の予防を積極的に行って、病気になっても病院に行かなくてもよいように症状の軽い段階で一般の薬局で購入できる医薬品で健康管理を行います。

1-2 セルフメディケーションと医療費控除の違い

違いは2つあります。1つは、控除対象の医療費がセルフメディケーションは、一般の薬局で特定の医薬品を購入するために支払った金額ですが、医療費控除は医療機関で受けた医療や医薬品を対して支払った金額である点です。

もう1つは、控除対象となる金額が、セルフメディケーションが1万2,000円をこえた金額であるのに対して、医療費控除は10万円をこえた金額である点です。セルフメディケーションが税額控除の対象になる金額が少ないため利用しやすい制度です。

1-3 セルフメディケーションで還付を受けられる条件

セルフメディケーションで還付を受けるには以下の条件を満たすことが必要です。

・所得税や住民税を納めていて、勤務先での定期健康診断を含む「特定健康診査(メタボ健診)」「予防接種」「定期健康診断(事業主健診)」「健康診査」「がん検診」のいずれかを受けていること
・医療用から転用された特定成分を含む医薬品を年間1万2000円以上購入すること

1-4 還付される特定の医薬品とは

還付対象の医薬品は一般の薬局で購入できるすべての医薬品ではありません。一般の薬局で医師の処方箋なしに購入できる医薬品には、「一般用医薬品」と「要指導医薬品」があり、OTC医薬品、市販薬、大衆薬などと呼ばれることもあります。OTCとは、Over The Counterの略で薬局のカウンター越しにアドバイスを受けて購入する薬という意味です。セルフメディケーションで還付される対象となる医薬品は、「一般用医薬品」と「要指導医薬品」のなかで「スイッチOTC医薬品」と呼ばれる医薬品です。「スイッチOTC医薬品」とは、医師の処方箋がなければ購入できなかった医療用医薬品から切り替え(スイッチ)が行われて、一般の薬局で購入できるようになった医薬品のことです。医療用医薬品と同じ成分が含まれているので薬剤師の指示に従って服用する必要があります。

対象となる医薬品は限定されていますが、一般的に利用している医薬品の多くが含まれており、その種類は2019年11月19日現在で1,708あります(追加または販売中止になることもあり製品名や種類数は変動します)。製品名は厚生労働省のウェブサイトに掲載されています。

なお、多くの対象製品や薬局のプライスカードなどに一般社団法人 日本OTC医薬品情報研究会の登録商標である以下のマークが表示されています。表示されていない可能性もありますが、その場合は薬局でセルフメディケーション対象の医薬品かどうかを確認してから購入しましょう。

画像引用:一般社団法人 日本OTC医薬品情報研究会

1-5 還付される対象となる金額と還付金額

税金が還付される対象金額は、セルフメディケーション対象の医薬品を1月1日から12月31日までの1年間に1万2,000円以上を購入したとき、こえた部分の金額(上限金額8万8,000円)です。1万2,000円未満の場合は還付されず、また10万円以上を購入しても還付対象となる金額は8万8,000円です。還付される税金は所得税と住民税です。

還付される金額は、所得税が収入によって税率が変わるため世帯によって、還付対象の金額が同じであっても異なります(住民税率は10%)。セルフメディケーション対象となる医薬品を年間5万円購入し、年収から所得控除されて所得税が課税される金額が300万円の場合と600万円に場合の税金の還付額は以下の金額となります。なお、実際の還付額は還付を受ける人の所得控除の内容によって変動します。

1-5-1 所得税課税金額が300万円の場合(所得税率10%)

還付金額=(5万円-1.2万円)✕(所得税率10%+住民税率10%)=0.76万円

1-5-2 所得税課税金額が600万円の場合(所得税率20%)

還付金額=(5万円-1.2万円)✕(所得税率20%+住民税率10%)=1.14万円

1-6 セルフメディケーションによる還付を受ける場合の注意点

セルフメディケーションの還付を受ける場合に注意しなければならない点が2つあります。1つは、医療費控除とセルフメディケーションによる税金の控除は、いずれか一方しか利用できないことです。そのため、医療費控除とセルフメディケーションの両方とも税金控除が受けられる場合は、どちらの控除を受けたほうが得になるかを計算して、得なほうを選んで控除を受けなければなりません。

もう1つは、医療費控除もレシートが必要ですが、セルフメディケーション対象の医薬品を購入したときのレシートも残しておかなければ還付を受けられないことです。

第二章 メガネやコンタクトレンズは控除されるの?

メガネやコンタクトレンズの購入費用は、税額控除の対象ではないと思っている人も多いのではないでしょうか。確かに、遠視や近視など日常生活の不便さを解消するための視力の矯正でメガネやコンタクトレンズを購入する費用は税額控除の対象になりません。しかし、視力の回復のために医師に必要と指示されて購入したメガネやコンタクトレンズの費用は税額控除の対象になります。具体的には、斜視、白内障、緑内障などの治療で手術後の眼の機能回復に必要と指示された、あるいは幼児で視力が弱く医師に眼鏡が必要と指示されたために購入するときの費用は税額控除できます。この費用は、セルフメディケーションではなく医療費控除として受けられるため、その年の医療費が合計で10万円をこえている必要があります。

まとめ

新しい医療費税額控除制度のセルフメディケーションとは何か、医療費控除による税額控除との違い、およびメガネやコンタクトレンズの購入費用が税額控除できる可能性について紹介しました。まだ、あまり知られていないセルフメディケーションは税額控除対象になる金額が医療費控除に比べると小さく、医療費控除が利用できない世帯でも利用できる可能性が高いので、これを機会に利用するようにしてください。また、メガネやコンタクトレンズの購入費用も医師の指示による場合は医療費控除が受けられます。こちらも対象になる場合は忘れないように利用して無駄な税金を払わないようにしましょう。

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