主要28カ国で最も睡眠時間の短い日本 睡眠不足が引き起こす病気のリスクに備える

2020年1月29日

睡眠不足が引き起こす健康への悪影響を軽視することは避けなければなりません。病気のように急激に体調が悪化することはありませんが、睡眠は体を健康に維持するために重要な役割を担っています。総務省によると日本人の5人に1人が睡眠に不安を持ち、4人に1人以上が睡眠障害を抱え、自覚していない人も含めると、さらに多くの人が睡眠に関わる健康に問題があるといわれています。長期にわたる睡眠不足は健康に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。今回は、日本人の睡眠時間が短い理由、睡眠不足が引き起こす病気のリスク、および睡眠不足の解消法について紹介します。

第一章 なぜ日本人は睡眠時間が短いのか?

1.日本人の睡眠時間の実態

日本人の睡眠時間が短いことは、総務省の統計NHKの国民生活時間調査、心拍トレーニング製品を販売するポラール・エレクトロ・ジャパン株式会社が同社のユーザーから得た600万の睡眠データなどから、世界の各国の睡眠時間と比較して短いことが分かっています。同社のデータでは日本人の睡眠時間は先進国を含む28カ国中で最短、OECD(経済協力開発機構)の調査結果では世界主要国29カ国中で2番目に短いという結果が出ています。なお、総務省統計局の調査では日本人の平均睡眠時間は7時間42分ですが、都道府県別にみると最も短いのが神奈川県の7時間31分。最も長いのは秋田県で8時間2分です。

2.日本人の睡眠時間が短い理由

2-1 働きすぎ

OECDによる年間の労働時間の国際比較調査(2018年)によると平均は1,734時間、日本は1,680時間でアメリカ(1,786時間)、カナダ(1,708時間)よりは短く、イギリス(1,538時間)、フランス(1,520時間)、ドイツ(1,363時間)より長くなっています。ただし、OECDのデータでは、国によって年間の休日が異なっていたり、有給休暇を取得した時間が労働時間に含まれていたり、サービス残業時間が参入されていなかったり、パートタイマーの定義が異なっていたりと算出方法が国ごとに異なっており、一律に時間だけでは正確な比較は困難です。立命館大学の「労働時間の国際比較」の研究によると、日本の多くの会社で行われている「サービス残業」を加えた場合、日本の年間の労働時間はアメリカを上回り、主要国のなかでは最も多い1,986時間です。このため、その分の睡眠時間が削られて短くなっていると考えられます。

2-2 通勤時間が長い

人口の多い都市部では通勤時間が長く(郊外に住んで、職場が都心にあるなど)なって、その分睡眠時間が減っています。この傾向は、総務省の統計にあらわれており、人口密度が高く通勤時間が長くなっている都府県の睡眠時間は他の道県よりも短くなっています。日本は先進国のなかでは、人口密度が比較的高いことから通勤時間も長くなっていると推測されます。

2-3 スマートフォンの使いすぎ

総務省の最新の情報通信白書によるとスマートフォンの普及率は75.1%に達し、パソコンの普及率を上回っています。スマートフォンの普及が進んでいるのは日本だけに限りませんが、手元でいつでも簡単に使えることから眠る時間が減るとともに、寝る直前まで画面を見ていることで脳が興奮、覚醒して睡眠の質が低下します。

2-4 眠ることを減らしても頑張る価値観

日本人は、「眠らずに頑張ること」を好ましく考え、仕事や子育てで忙しいときは睡眠時間を減らし、時には不眠不休で働くことが美徳とみなされています。このように無理をしてでも頑張ることが日本人の睡眠時間を減らしている原因と思われます。

第二章 睡眠不足が引き起こす病気のリスク

睡眠時間の不足や睡眠の質が悪いと心と体に大きな悪影響を与え、さまざまな病気の原因となって最悪の場合は寿命をも左右します。厚生労働省は、睡眠不足や睡眠の質の低下は以下に示す病気を引き起こす可能性があるとして、病気予防のための睡眠に関する「健康づくりのための睡眠指針」を2014年に発表し注意を促しています。

1.脳・心血管疾患関連のリスク

厚生労働省は、厚生労働白書で長期間にわたって睡眠時間が6時間未満では狭心症や心筋梗塞の有病率が上昇、5時間以下では脳・心臓疾患の発症率が上昇、4時間以下では冠動脈性心疾患による死亡率が7時間以上8時間未満の睡眠時間の人に対して約2倍になるなど有病率と死亡率が高まると報告しています。

2.高血圧のリスク

アメリカの調査で4,810名中、647名が高血圧でしたが、年齢が32~59歳の場合、1晩の睡眠時間が6時間未満だと高血圧のリスクが2倍以上高いことと関連があったと報告されています。睡眠障害や睡眠不足だと夜間の血圧が上昇し、起床後はさらに上昇する恐れがあるため、高血圧で睡眠が不足している人は、明け方の心筋梗塞や脳梗塞などに特に注意が必要です。

3.糖尿病のリスク

睡眠不足の状態が長く続くと朝食後の血糖値上昇が激しくなるという実験結果があり、スウェーデンでの調査では睡眠時間が5時間以下の男性は、約2.7倍、睡眠障害があると約5倍、中途覚醒があると約4.4倍、そうでない者に比べて糖尿病を発症しやすいと報告されています。日本の大学でも糖尿病の外来患者に対して調査した結果、約4割の患者に明らかな不眠を認めたという報告があります。

4.肥満症のリスク

肥満はさまざまな病気の原因になることから避けなければなりません。アメリカでの調査によると、1日5時間以下の睡眠の女性は7時間/日の人に比べて32%(体重にして15kg)の肥満でした。男性を対象にした調査でも睡眠時間が5時間未満の人は、7年後に肥満になるリスクが5時間以上の人の1.2倍あり、逆に太った人は、7年後に睡眠時間が5時間未満になる確率がやせた人の1.2倍という結果でした。なお、睡眠時間が短い人ほど、食欲を促進する「グレリン」というホルモンの分泌が多く、食欲を抑制する「レプチン」というホルモンの分泌が少ないことが分かっています。

5.うつ病のリスク

NHKの番組に出演した大学教授の解説によると、原因ははっきりとは分かっていませんが、睡眠時間が極端に短かったり、長かったりする人や不眠の人は、うつ病になりやすいとのことです。また、うつ病患者の90%以上が不眠を訴え、不眠を中心に訴える患者の20%(中高年では50%)がうつ病を発症しているという報告もあります。また、3年間の追跡調査の結果、不眠の人が3年後にうつになる確率は、そうではない人と比較すると20代で4倍、高齢者で3倍とされています。

6.死亡のリスク

日本の大学で40〜79歳の男女約10万人を10年間にわたって追跡調査した研究で、対象者の平均睡眠時間より短い人長い人とも、死亡率が高くなる傾向がありました。また、アメリカで100万人以上を対象にした睡眠時間と寿命の関係の調査で、1日に6.5〜7.5時間の睡眠をとっている人が最も死亡率が低く、それ以上およびそれ以下の時間眠っている人は、寿命が短くなる傾向がありました。イギリスでも35~55歳の公務員約1万人を対象に17年間にわたって睡眠時間と健康状態を調査した研究で、平均の睡眠時間が5時間以下の人と、それ以上の睡眠時間の人を比較すると睡眠時間の短い人は1.7倍以上の高い死亡率でした。

7.その他のリスク

7-1 ストレスの蓄積・免疫力の低下

ストレスは心身の両面に悪影響を与えます。十分な睡眠時間と質の高い睡眠はストレスを軽減できますが、そうでない場合、昼間のストレスを十分に軽減できなくてストレスが蓄積していくリスクがあります。ストレス自体が免疫力を低下させますが、十分な睡眠がとれないと、夜の間に免疫システムが生産できる抗体や免疫細胞の活性化や機能抑制の働きのあるサイトカインの量が減少し、感染症にかかるリスクが増大します。

7-2 認知機能の障害

十分な睡眠時間をとらないと認知機能に障害をきたします。睡眠不足によって集中力が欠如し、記憶力も低下します。

7-3 事故やミスの増加リスク

睡眠不足は、集中力が欠如するうえに反射神経を鈍らせるので事故やミスを起こすリスクが高まります。

第三章 睡眠不足解消法

睡眠不足を防止し、質の良い睡眠ができる方法について紹介します。

1.厚生労働省の指針「睡眠12箇条」

厚生労働省は、病気予防のための睡眠に関する「健康づくりのための睡眠指針」を2014年に発表していることを紹介しましたが、そのなかで睡眠障害を事前に防ぐための睡眠に必要な知識を「睡眠12箇条」として提案しています。その項目は以下のとおりです。詳しくは厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針」のページでそれぞれについて解説されています。

  1. 良い睡眠で、からだもこころも健康に。
  2. 適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
  3. 良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
  4. 睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
  5. 年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
  6. 良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
  7. 若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
  8. 勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
  9. 熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
  10. 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
  11. いつもと違う睡眠には、要注意。
  12. 眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。

2.睡眠不足の防止と質の良い睡眠をとるための方法

2-1 適切な環境で睡眠をとる

騒音、照明、温度や湿度を適切にし、枕やベッドなど眠りやすい寝具を使って寝ます。

2-2 眠る直前に嗜好品を避ける

カフェイン、アルコール、ニコチンなどを含む嗜好品を寝る直前に摂取しないようにします。カフェインを含んだ飲み物は脳の興奮を高め、寝つきを悪くします。アルコールは寝つきを良くする効果もありますが、アルコールが体で分解されて出ていくことで覚醒しやすくなり、睡眠の質を悪化させます。ニコチンもアルコールと同様の覚醒効果があるので就寝前にタバコを吸うのは避けましょう。

2-3 不安や緊張などのストレスを発散させる

不安や緊張などのストレスを強く感じると興奮して眠れなくなります。ストレスの発散は簡単ではありませんが、お風呂に入ったり、好きな音楽を聞いたりしてリラックスできるようにしましょう。

2-4 適度な運動を行う

運動不足だと寝つきが悪くなるので散歩など適度な運動を日中にして、軽く体を疲労させておくと寝つきがよくなります。しかし、就寝前の激しい運動は神経が興奮して逆効果です。

2-5 生活リズムを規則正しくする

極端な夜ふかしや毎日の睡眠時間帯が大きく異なるなど生活のリズムが規則正しくないと寝つきが非常に悪くなります。

2-6 起床後に体内時計をリセットする

起床後にすぐ太陽の光を浴びることで体内時計をリセットできます。

2-7 眠る前に入浴する

眠る90分程度前に入浴すると寝つきがよくなります。すぐに眠る場合は、熱いお湯ではなくぬるめの温度にして入浴します。

2-8 夕食は寝る1時間前までに食べる

寝る直前の飲食は、胃や腸で消化吸収が始まり、体が消化吸収に集中することになって睡眠中に脳や体が休まらずに睡眠の質が低下します。

2-9 寝る前のスマートフォンの使用を避ける

スマートフォンの使いすぎが睡眠不足の原因の1つであることを紹介しましたが、特に寝る前に使用すると寝つきを妨げます。

第四章 まとめ

睡眠不足は積み重なると大きな病気の原因になるだけではなく、日常生活でも集中力や記憶力が悪化して仕事に悪影響を与えたり、思わぬ事故を起こしたりする可能性が高まります。睡眠不足を防止することも大切ですが、時には無理をして徹夜の仕事をこなさねばならなかったり、正月やお盆休みの渋滞で深夜になっても車の運転をしなければならなかったりすることは避けられません。一時的であれば良いですが、睡眠不足が長く続くと思わぬ事故でケガをしたり、場合によっては病気を発症したりするリスクが考えられます。万が一のときの備えとして全国共済に加入して病気やケガに備えてください。共済の種類や保障の内容は全国共済のホームページで確認できます。


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