児童手当ってどんな制度?気になる支給額や対象年齢について

多くの家庭にとって子育ては心身の負荷とともに多くの費用がかかります。少子化対策もあって国は子どもの出産から育児、教育に至るまで多くの支援制度を設けて家計の負担を軽減しています。ここでは、そのなかの1つ、児童手当の制度の概要、手当の申請方法、および賢い使い方について紹介します。

第一章 児童手当とはどんな制度?

1.児童手当とは

児童手当とは、子どもの健全な育成と資質の向上、および家庭生活の安定を目的として児童手当法に基づいて養育者に現金で支給される手当金のことです。国にとって子どもは次の時代を担う大切な人材になるため、多くの国が子どもの養育費用を支援しています。なお、児童手当と異なりますが、離婚により父親と生計が同じではない児童を養育している母などに支給される児童扶養手当(対象は18歳以下)、および障がい児を家庭で養育している父母などに支給される特別児童扶養手当(対象は20歳未満)もあります。

2.制度の始まりから現在まで

児童手当は、1972年に制度がスタート。このときは第3子以降の子どもに対して義務教育修了時までの期間、月額3,000円が支給されました。その後、1974年に月額4,000円、1975年に月額5,000円に引き上げられ、1986年にようやく第2子以降にも支給が拡大されました。しかし、第1子への支給はまだ開始されていません。このように児童手当は、当初は、第2子や第3子がいる家庭への支援を目的としていました。

第1子まで拡大されて支給されるようになったのは少子化問題が話題になり始めた1992年からです。また、中学生以下の児童すべてに児童手当が支給されるようになったのは2010年からです。この間、あるいはその後、給付期間の縮小や拡大、所得制限の強化や緩和など時代背景によって変化して現在の制度に至っています。

3.児童手当の制度の概要

3-1 支給対象児童

0歳から中学校終了(15歳に到達後の最初の年度末)までの国内に住所を有する児童(留学のために海外に住んでいて一定の要件を満たす場合は支給対象児童です)

3-2 受給資格者

児童手当支給対象児童を保護し養育している者。

受給資格者は、以下のルールが適用されます。

  • 父母が離婚協議中などにより別居している場合は、児童と同居している親に優先的に支給
  • 父母が海外に住んでいる場合、その父母が、日本国内で児童を養育している人を指定(父母指定者)すれば、その人に支給
  • 児童を養育している未成年後見人がいる場合は、その未成年後見人に支給
  • 児童が施設に入所している場合や里親などに委託されている場合は、原則として、その施設の設置者や里親などに支給

3-3 支給額

支給額は児童の年齢によって以下の金額です。

子どもの年齢 児童手当支給額
0歳~3歳未満まで 1万5,000円
3歳~小学校修了前まで 1万円(第3子以降は1万5,000円)
中学校卒業まで 1万円

*所得制限世帯(特例給付)の対象児童は一律支給額が特例で5,000円に減額されます。

3-4 所得制限世帯になる年収とは

児童手当は保護者の年収の所得制限があり、一定額以上の年収をこえると児童1人一律5,000円に減額されます。このとき、保護者が夫婦の場合、どちらかの所得の多い年収によって決まります。例えば、一方の年収が所得制限の限度額をこえると所得制限の対象となり、夫婦の年収のいずれも所得制限の限度額以下の年収で、合算して所得制限の限度額をこえる場合は、所得制限の対象外になるので注意が必要です。

所得制限の限度額は、手当を受け取る人の前年の12月31日時点での税法上の扶養親族の人数に応じて以下の金額です。例えば、専業主婦の世帯で児童が1人(=扶養親族などの人数が2人)の場合、所得制限限度額は698万円(年収額だと917.8万円)です。

扶養親族の数 所得制限限度額(単位:万円) 年収額(単位:万円)
0人 622 833.3
1人 660 875.6
2人 698 917.8
3人 736 960.0
4人 774 1,012.1
5人 812 1,042.1

*所得額とは、会社員の場合、年収の金額から給与所得控除を差し引いた金額です。給与所得控除とは所得税や住民税を計算するときに年収から差し引ける金額のことです。

4.支給の開始月と支給日

4-1 支給開始月

児童手当は、原則として支給の請求があった次の月分から請求者名義の口座へ振り込まれます。しかし、月末に出産して当月中の申請ができないときや、あるいは災害や引っ越しなどやむを得ない事情で当月中の申請ができないときは、出産の翌日から15日以内に児童手当を申請し承認を受けると、その月も支給対象になって受け取れます。この特例は「15日特例」と呼ばれます。

4-2 支給日

支給日は、毎年3回、前月までの4カ月分が支給され、支給日は以下の通りです。

  • 6月14日(2月~5月分)
  • 10月14日(6月~9月分)
  • 2月14日(10月~1月分)

*14日が休日の場合は、金融機関の前営業日に振り込まれます。

5.児童手当見直しの可能性

現行の支給額・支給条件の制度は、2019年度以降に以下の条件の見直しが検討されています。

5-1 所得制限の条件

現行は、保護者が夫婦の場合、どちらか一方の所得が約960万円をこえない限り所得制限対象外ですが、夫婦の合算所得で約960万円をこえると所得制限対象になる可能性があります。

5-2 特例給付の廃止

所得制限の条件で支給される児童手当は、特例による給付ですが、この特例による支給が廃止される可能性があります。

第二章 児童手当の申請方法

1.子どもを出産したら最初に行うべきこと

子どもを出産したら、出生日の次の日から数えて15日以内に居住している市区町村(手当を受け取る人が公務員の場合は勤務先)への児童手当支給の申請手続きを行います。里帰り出産などで、居住している市区町村以外で出生届を提出した場合は、別途居住している市区町村で児童手当の申請手続きを行う必要があります。なお、出産後に児童手当の申請が遅れてしまったり、忘れてしまったりした場合は、さかのぼっての支給の申請はできないので必ず行いましょう。

2.児童手当の申請後に行う手続き

児童手当の申請認定後も6月分以降の児童手当を受け取るために、6月中に現況届を提出します。また、氏名の変更や市区町村内で転居をした場合などでも届け出が必要です。現況届の提出をしないと6月分以降の児童手当を受けられなくなります。

3.その他の届け出が必要な事項

  • 児童を養育しなくなったなどで支給対象となる児童がいなくなったとき
  • 養育している児童の住所が変わったとき
  • 手当を受け取っている人または養育している児童の氏名が変わったとき
  • 海外に住んでいる父母から「父母指定者」として国内で児童を養育している人の指定を受けるとき
  • 同じ市区町村の中で住所が変わったとき
  • 他の市区町村へ転居したとき など

第三章 児童手当の有効な(賢い)使い方

子どもが生まれると出費が増えます。加えて共働き世帯では、妻が育児休暇を取得すると収入が減るため家計が厳しくなります。子どもが成長すると教育費の負担が家計を大きく圧迫します。文部科学省が発表した2016年度の子どもの教育費調査によると、幼稚園から高校卒業までの教育費は、すべて公立の場合約540万円、すべて私立の場合約1,770万円かかります。大学は卒業までに国立で約240万円、私立文系で約390万円、私立理系で約530万円、私立医・歯系で約2,370万円です。

そのため、児童手当は支給されていないものとしてすべて積立貯蓄にして、高校、大学の教育費にあてるのが最も賢い使い方です。途中で預金の引き出しができない学資保険などにするのがおすすめです。

第四章 まとめ

児童手当について支給額、対象児童、児童手当の申請方法など制度の概要と児童手当の賢い使い方について紹介しました。子どもの教育費は、住宅の取得費用、老後の生活費と並ぶ人生の三大費用です。制度を理解したうえで賢い使い方をすることで、大きな金額になる教育費の負担を軽減して家計にゆとりももたらせます。また、子どもが小さいときは事故によるケガなどで思わぬ出費がかさみます。共済の保険で万が一にも備えておくと万全です。

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