“がん保険”は本当に必要? 治療費・負担額から見る正しい選び方

2017年6月10日

三大疾病の一つでもあるがんは、発症率がとても高い病気です。

 

よって、誰もが、がんに対する保障が十分にあるがん保険に加入すべきだと考えるはずです。

 

しかし、必ずしも誰もががん保険に加入した方が良いというわけではありません。

次の3つの理由が考えられるからです。

 

 

  • 通院保障がついていないがん保険がある
  • がん以外の保障項目がない
  • 保険料が2,000円~4,000円する

 

 

がん保険はがんの保障に特化した保険で、医療に上乗せして契約する方が多い傾向にあります。しかしそれでは、掛金(保険料)の掛け太りが生じます。

 

がん保険にこだわらなくても、がんになった時でもカバーしてくれる共済があります。

 

それは、都道府県民共済グループ 全国共済です。

 

今回は、がん保険に本当に入った方が良いのか? 全国共済の保障から検証していきます。

 

日本人のがんの罹患率

現代日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなると言われています。

生涯でがんに罹る確率は、男性で61%、女性で49%となっており、男性の方が高くなっています。

 

 

 

 

 

 

性別におけるがんの死亡割合は、男性が4人に1人、女性が6人に1人がんで亡くなっています。

 

がん検診を早めに行い、死亡リスクを下げる努力も必要かと思います。

 

 

がんの治療法について

 

 

がんには大きく分けて3種類の治療法があります。

 

手術・抗がん剤治療・放射線治療がそれで、合わせてがんの3大療法と呼びます。

 

実際には、状況に合わせて、これらの療法を駆使して治療が行われていきます。

 

 

手術について

がんになってしまった部分とその周辺を手術で取り除く治療をしています。

 

がんがまだ小さく早期のうちに発見された場合は、手術が簡単で効果的です。

 

多くのケースで手術は選択肢に入ってくると思われます。

近年は技術も進歩して、腹腔鏡下手術等のより負担の少ない手術法も増えてきています。

 

 

 

腹腔鏡下手術とは

腹腔鏡はお腹の中(腹腔)を観察する内視鏡の事です。

 

 

おへその近くに1cm程度の小さな穴を開け、そこから筒状の器具を通しその管から内視鏡を挿入します。

 

そして腹腔内のスペースを作るため体にとって刺激の少ない炭酸ガスを注入します。

さらに、左右の下腹部に3~4ヵ所5~10mmの小さな穴を開け、外套管を設置します。

 

そこから専用の細い器具を出し入れし、腹腔内のモニタ―を見ながら手術を行います。

 

 

 

抗がん剤治療とは

手術だけではすべてのがんを取り除き切れない場合や、手術後の再発防止などに使われるのが抗がん剤です。

 

手術や放射線治療が、がんになった部分にだけ行われる処置(局所療法)であるのに対して、抗がん剤は全身に効果があり転移した時やそれを予防する時に有効的です。

 

抗がん剤は、がんのメカニズムに作用して、細胞を破壊して拡散するのを防ぎます。

 

反面、正常な細胞にも作用してしまうため副作用があり、身体への負担がかかるという事がマイナス点です。

 

また効果が出るまで時間を要するため、治療は長引き費用もかかってしまいます。

 

 

放射線治療とは

放射線を患部に照射することで、がん細胞を破壊するという治療法です。手術に代わる根治療法のほか、再発の予防のためにも用いられます。

 

照射方法によっては、がん周辺の正常な細胞に放射線を浴びせてしまうことになりますが、

放射線を浴びることそのものに痛みは無く、手術や抗がん剤に比べると、身体への負担や副作用は少ないと言えます。

 

今ではこのように、がん治療の種類も多様化し、医療の技術が進んで、がんも外来治療をするケースが多くなりました。

 

長期にわたって治療をするのに、通院保障がないのは、とても不安ですよね。

 

従って、がん保険の保障範囲を確認することがとても重要になります。

 

 

がんのステージと治療法

 

がんのステージは通常4期に分けられますが、IA期・IB期・ⅡA期・ⅡB期・ⅢA期・ⅢB期・ⅢC期・Ⅳ期の8つに分類されます。

 

 

 

IA期の治療法(ステージ1)

がんが粘膜のみに認められる場合は、内視鏡による治療を行う事が多いです。

 

逆に進行して粘膜下層までがんが達している場合は手術を行います。手術後は、状態に応じて化学療法(抗がん剤)が行われます。

 

 

 

IB期~ⅢC期の治療法(ステージ1~ステージ3)

一般的には手術で治療します。

 

手術後は組織を病理検査に回し、状態を精密な検査で判断します。

 

その結果によって術後の治療法を決めるのですが、多くの場合は経過観察か化学療法が選択されます。

 

 

 

Ⅳ期の治療法(ステージ4)

この段階ではがん細胞が転移拡散しているため手術ではなく主に化学療法【抗がん剤治療】が選択されます。

 

また、痛みを軽減させることが目的の緩和療法が用いられる場合もあります。

 

 

入院にてがん治療をする際、自己負担額はどのくらいかかる?

 

がん治療の費用が、トータルでいくらかかるのかは、様々なケースがあるため一概にいくらとは言い切れません。

 

ですがあくまで目安として、下表の厚生労働省の医療給付実態調査の統計と算出した平均費用を参考にしてみてください。

 

 

 

がんの治療には3割負担の場合だと平均して20万円前後の費用がかかります。

 

しかし、実際には健康保険の高額療養費制度があるためそれを適用すると、公的保険の範囲内での治療費に関しては実質月8万円程で済んでしまいます。

 

意外と費用がかからないので、ぜひ検証したいところです。

 

 

高額療養費計算式 ~70歳未満の場合~

次に、高額療養費制度についてご説明します。

 

この制度を併用することで、自己負担分が格段に減ります。

 

また、高額療養費制度を利用できる場合、所得によって自己負担額は変わります。

 

一覧表で、どこに該当するのか参考にしてみてくださいね。

 

 

 

高額療養費制度を利用することで、おそらく多くの方は、自己負担限度額が10万円程度に収まるのではないでしょうか?

 

保険適用外の諸経費(1日分)

 

入院して、がん治療した時の自己負担額を検証する

では実際に、胃がんになった場合のシュミレーションをしていきましょう。

 

(例1)

年齢:53歳

性別:男性 

年収:750万円

加入コース:総合保障2型+医療1型特約

病名:胃がん

入院日数:20日間(大部屋)

医療費:65万円(手術代含む)

高額療養費制度適用(月またぎで無いケース)

 

 

[自己負担分計算]

医療費:83,930円

※80,100円+(650,000円-267,000円)×0.01

食事代:27,600円

雑 費:30,000円

 

自己負担分合計:141,530円

 

      

[共済金給付金額]

入院一時金:20,000円

入院共済金:90,000円 (4,500円×20日)

手術共済金:200,000円

在宅療養共済金:40,000円

 

共済金合計:350,000円

 

350,000円-141,530円=208,470円

          

自己負担分よりも214,470円も余る結果に!

 

(例2)

医療費1ヶ月目・325,000円

2ヶ月目・325,000円

高額療養費制度適用(月またぎのケース)  

 

[自己負担分計算]

医療費:161,360円

 

※80,100円+(325,000円―267,000円)×0.01=80,680円

80,680円×2ヵ月分=161,360円

 

食事代:27,600円

雑 費:30,000円

 

自己負担分合計:218,960円

      

 

[共済金給付金額]

入院一時金:20,000円

入院共済金:90,000円 (4,500円×20日)

手術共済金:200,000円

在宅療養共済金:40,000円

 

共済金合計:350,000円

 

350,000円-218,960円=131,040円

          

自己負担額よりも131,040円余る結果に!

 

 

(例3)

年齢:70歳

性別:男性 

年収:330万円

加入コース:熟年2型+医療1型特約

病名:胃がん

入院日数:20日間(大部屋)

医療費:65万円(手術代含む)

高額療養費制度適用(月またぎで無いケース)

 

 

[自己負担分計算]

医療費:44,400円(一般所得)

食事代:27,600円

雑 費:30,000円

 

自己負担分合計:102,000円

      

[共済金給付金額]

入院一時金:10,000円

入院共済金:50,000円 (2,500円×20日)

手術共済金:60,000円

在宅療養共済金:20,000円

共済金合計:140,000円

140,000円-102,000円=38,000円

          

自己負担分よりも38,000円も余る結果に!

 

どのケースを見ても、年齢が異なっていても、自己負担分よりも余る結果になっています。

 

これは、掛金(保険料)を極力抑えつつも、高額療養費制度を利用することで、大幅なコスト削減をはかることが可能という事になります。

 

 

がん治療は全国共済で完璧にカバーできるか?

今回、比較的多くの医療費がかかる胃がんを例に取って、がん保険における入院保障の必要性について検証してみました。

 

高額療養費制度を利用する事を前提として、全国共済の総合保障2型+医療1型特約に加入していれば充分に入院費は共済金でまかなえる事が、検証結果からわかりました。

 

また、70歳以上の高齢者においても、高額療養費制度を適用すれば、さらに自己負担分が軽減されます。

 

そのため、70歳以降の保障内容が総合保障型よりも大きく軽減されたとしても、65歳未満の加入者同様に、共済金にて入院費をまかなうことができるようになります。

 

改めて全国共済の加入コースが安価な掛金(保険料)ではあるものの、充実した内容となっている事が、検証により明確になったと思います。

 

がん保険に特別加入しなくても、少ない掛金(保険料)でバランス良く保障してくれる全国共済の方がより充実している印象を受けました。

 

 

再入院をする確率を把握する必要性について検証していきたいと思います。

 

 

がんの再発する確率は?

再発とは、手術などで取りきったかのように思われた原発巣が目に見えないほどの大きさで残ってしまい、その後増大して見つかる事をいいます。

 

再発のタイプは(再発形式)大きく分けて三つあります。

 

1. がんがあった部位と同じ場所やその近くに現れる「局所再発」

2. がんが周囲の組織に浸潤し、周辺のリンパ節に発生する「領域再発」

3. がんがリンパ管や血管を通って局所から遠く離れた部位に現れる「遠隔再発」

 

実は、がんの種類や性質などから、再発のしやすさ、転移の起こりやすさや場所についてもある程度予測ができ、対策をとることが可能です。

 

 

入院日数が無制限の保障制度の方がいいのか?

捉え方は人それぞれ違うと思いますが、

 

データを分析して考えると、医療の進歩により、部位別で見えても再発率は想像以上に低くなりつつあります。

 

入院したとしても、平均入院日数が、20日前後と長期間では無い事から、がん保険の売りの一つでもある、入院日数保障無制限の制度に対して、特に注目して意識する必要は無いように思います。

 

 

抗がん剤治療は外来治療で治すことが多い!?

 

抗がん剤治療をする際に、必ず入院をしなければならないというイメージを持つ人が多いと思いますが、医療の進歩により外来で化学療法を受けながら仕事をするなど、有効に時間を使われる患者さんも多くいらっしゃいます。

 

実際の所、入院をされずに、投薬剤で治療される方が多くなっている傾向にあり、

厚生労働省のデータ「平成23年患者調査」によると、がんで入院治療をされている患者さんは約16万人、

外来で治療されている方が約21万人と外来治療が入院治療を上回っている結果となっています。

 

がん患者の抗がん剤の使用率と使用者数

 

 

外来治療はどれくらいかかるか?

外来治療は、どれくらい治療費がかかるのでしょうか?

平均的な外来治療費を見てみましょう。

 

 

 

上記表を見てみると、入院外でかかる医療費はこちらが想像していた以上に低い費用で治療が済んでしまう事が分かります。

 

しかしながら、ステージが進行して、術後に抗がん剤治療を受けるような事になると、外来治療にて高額な医療費がかかるケースも出てきます。

 

従って、不謹慎かもしれませんが、ステージ4のケースだと5年生存率が極めて低くなります。

それに伴い、治療費の総合計額も低くなる可能性があります。

 

経過観察を含めた治療期間及び治療費が多くかかるステージ3の1年目~5年目までの治療費例をもとに、ガン保険に加入する必要性についての最終的な検証をしてみましょう。

 

年ごとにがんの治療費について、がん種別に比較しよう

 

今回は胃がん、直腸がん、乳がんの治療例を出しながら検証していきたいと思います。

 

そこで、疾病ごとの1年目~5年目の治療費及び健康保険適用後(高額療養費制度含む)の費用を主に掲載致しました。

 

 

胃がん:50歳男性、一般所得の場合

※引用して算出(予測数値)

 

 

上記の表は、胃がんの治療費例(ステージ3)です。

 

抗がん剤治療をせずに入院治療及び経過観察で終了したケースのため、1年目は入院費がかさんだ分、高額にはなっていますが、全国共済の総合保障2型+医療1型特約に加入しているため、入院費をまかなえる結果となりました。

 

また、それ以外の外来治療費を加算した収支合計額においても、全国共済から350,000円の共済金を受けているため、ほぼまかなえる形となりました。

 

結腸がん:50歳男性 一般所得の場合

※引用して算出(予測数値)

 

上記の表は、結腸がんの治療費例(ステージ3)です。

 

入院治療及び外来治療(術後の化学療法と経過観察)を行ったケースのため、1年目は入院費や抗がん剤治療の費用がかさんだ分、高額になってしまいました。しかし、全国共済の総合保障2型+医療1型特約に加入しているため、入院費はまかなえる結果となりました。

 

しかしながら、収支合計額においては、全国共済から350,000円の共済金を受けてはいるものの、外来治療費に467,662円もかかっているため、残念ながら-257,494円と赤字の結果となってしまいました。

 

乳がん:50歳女性 一般所得の場合

※引用して算出(予測数値)

 

上記の表は、乳がんの治療費例(ステージ3)です。

 

入院治療及び外来治療(術前・術後の化学療法と経過観察)を行ったケースです。

 

5年間化学療法を行っているため治療費も高額になっていますが、入院費は入院保障2型に加入していたためまかなえる形となりました。

 

しかしながら、収支合計額においては全国共済から250,000円の共済金を受けてはいるものの、外来治療費で1,209,543円かかっているため、-1,042,643円と大幅な赤字となってしまいました。

 

がん保険に加入するべきか?

 

がん治療にかかる入院費は、全国共済の加入コース(一部のコースを除き)単独で加入するか、入院になった時の保障が充実している医療1型特約を付加しておくと、まかなえる可能性が高いということがわかりました。

 

しかしながら、がん治療においては外来治療が増加傾向にあるのと、先程の事例を参考に検証してみると、化学療法を実施した時、貯金を崩さざるを得ないケースも出てくるため、一概に全国共済の加入コースに入っていても不足するケースが生じます。

 

そこで、次は年齢や性別において、おすすめのがん特約がついた保障をあげます。

 

男性:30歳~65歳以下 一般所得の場合

・加入コース+医療1型特約

・加入コース+医療1型特約+がん診断給付金50万円 特約・保険

※加入コースとは全国共済のコース

 

男性:65歳~70歳未満 一般所得の場合

・加入コース+医療1型特約+がん診断給付金100万円 特約・保険

※加入コースとは熟年型のコース

 

男性:70歳以上 一般所得の場合

・加入コース+医療1型特約+預貯金

※加入コースとは熟年型のコース

 

女性:30歳~65歳以下 一般所得の場合

・加入コース+医療1型特約+がん診断給付金100万円 特約・保険

※加入コースとは全国共済のコース

 

女性:65歳~70歳未満 一般所得の場合

・加入コース+医療1型特約+がん診断給付金150万円 特約・保険のコース

 

女性:70歳以上 一般所得の場合

・加入コース+医療1型特約+預貯金

※加入コースとは熟年型のコース

 

掛金(保険料)を支払う余裕があり、先々の生活費に共済金または保険金をあてたい方は、手厚い保障のがん保険に加入することも一つの選択肢だと思います。

 

保険の掛太りにならないために

いかがでしたでしょうか?

 

シュミレーションを元に、がん保険に加入する必要性の有無を検証してきました。

 

保険の掛太りを防ぐには、掛金(保険料)が安い全国共済に加入する事(1部のコースを除き)を前提に考えると、コスト削減が可能になります。

 

たとえば、男性の場合、65歳~70歳以下の方以外は、がん診給付金が50万円の特約または保険に加入するか、治療費のために30万円程貯金をしておくと安心です。

 

対して女性の場合は、乳がんに罹る確率もあるのでがん診断給付金が100万円~150万の特約または保険か、もしくは治療タイプ別のがん保険に加入しておくと安心かと言えます。

 

現状をよく把握した上で保険の掛太りに注意して、しっかり選択していきましょう。

 

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