高齢の方は要注意!転倒事故の危険性と起こりやすい場所

高齢になると足・腰の筋力の衰えによる運動能力の低下、および老化による視力やとっさの判断力の低下などが重なって体のバランスの維持が難しくなってきます。その結果、ちょっとした段差などにつまずくだけでバランスを崩して転倒しやすくなります。転倒する場所や時間帯によっては、軽い転倒でも大きな事故につながる可能性があります。そして高齢者の場合はケガだけで済まずに、たった一度の転倒で寝たきりになってしまうリスクが高くなります。転倒しやすいことを自覚し、転倒しやすい危険な場所を認識して転倒を未然に防ぐことが重要です。そこで転倒で生じるリスクや原因、転倒しやすい場所や状況、および転倒防止策などについて紹介します。

第一章 高齢者にとっての転倒の危険性と原因

1.高齢者が転倒したときの危険性の特徴

1-1 軽い転倒でも大きな事故になりやすい

若ければ、転倒しそうになってもバランスを維持できて転倒を回避したり、バランスを崩しながらも転倒したときのダメージが小さくなるようにできたり、受け身をとってダメージを小さくできます。しかし、高齢者は筋力の衰えで、道路や壁などに頭や顔、あるいは体全体を強く打ち付けるため大きなケガを負います。車の通行量の多い狭い道路、急勾配の階段などでは軽いふらつきでも大きなケガ、最悪は死に至る危険性が生じます。また、高齢になると骨粗しょう症を発症していたり、骨の強度が低下していたりするため、軽い転倒でも骨折して治療が長引いてしまう可能性があります。

1-2 軽い転倒でも治療が長引き寝たきりになりやすい

若ければ、転倒しても軽度のケガで 済むことが多く、早い回復が期待できます
。しかし、高齢者は転倒によるケガの程度が重くなり、完治するまでに安静にしていなければならない期間が長くなります。安静にしている期間が長くなると、高齢者は身体機能の衰えを招き、寝たきりになる危険性があります。転倒して、特に大たい骨を折ると歩けるようになるまでに長い時間を要するため、骨折が完治してもそのまま寝たきりになることも少なくありません。また、ケガの程度が重くなくても転倒した恐怖で運動や歩行に自信を失って体を動かさなくなると筋力が低下していき、さらに転倒しやすくなります。

1-3 要介護状態になりやすい

転倒によるケガで動けない状態が長く続くと、歩行機能が衰えてリハビリしても動けなくなる「要介護」状態に陥ります。内閣府の「平成30高齢社会白書」によると、高齢者が「要介護」となる主な原因は、「認知症」「脳血管疾患(脳卒中)」「高齢による衰弱」に次いで4番目に多いのが「骨折・転倒(全体の12.5%)です。特に女性は、全体の15.2%を占め、男性の7.1%の2倍以上であるため、女性は男性よりも転倒に対する注意がより必要です。寝たきりになると高齢者自身のQOL(生活の質)が低下するだけではなく家族にも大きな負担がかかり家族のQOLも低下します。

2.高齢者が転倒する主な原因

転倒の主な原因は大きく分けると「加齢による身体機能の低下」「運動不足」「病気や薬の影響」です。

加齢に伴って身体機能が徐々に低下することは避けられません。筋力の低下で瞬発力、持久力、バランス能力が低下し、また、反射神経や柔軟性も衰えます。運動不足はこれらの低下を加速させて重くします。その結果、ちょっとしたことで転倒し、転倒したときのケガの程度が重くなります。その他にも視力や聴力、判断力の低下で自分の予測と実際にできることとの差異が大きくなることで転倒しやすくなります。 差異の例は、高齢者ではありませんが、例えば子どもの運動会で親が親子リレーなどに参加すると、走るイメージと実際の走力がかみ合わずによく転倒することです。

また、高齢になると持病を抱えることも多くなり、薬を飲むことも多くなります。薬の作用・副作用によっては、立ちくらみやふらつき、眠気などの症状が出ることもあり、転倒しやすい状態になることがあります。また、異なる病気で異なる医師から薬を処方されていると、薬同士の作用でめまいやふらつきなどが出る可能性があります。薬の処方を受けるときは異なる医師から受けている薬を正しく伝えるようにしましょう。なお、服用時には医師が指示する薬の量を変えたり、勝手に服用を止めたりするようなことを避けなければなりません。

第二章 転倒はどのような場所で起こりやすい?

東京消防庁が公開している日常生活事故での高齢者の救急搬送データ(交通事故を除く)によると、高齢者の救急搬送件数は、2015年から2019年の5年間で約38.3万件です。事故には「転ぶ(転倒)」「落ちる」「誤飲などによってつまる」「ぶつかる」「切る」「おぼれる」などがあります。そのなかで「転倒」は、不明・その他を除くと全体の82%と大半を占めます。

高齢者の事故の多い発生場所は「住宅等居住場所」の56%、次に「道路・交通施設」の34.5%と、この2つで全体の大半を占めます。その他には医療施設、公園、公共施設などの場所があります。さらに住宅等居住場所を厳密に屋内と庭などの屋外に分けると、9割以上が屋内です。そのため転倒事故の多くは自宅内で起きていることが分かります。

1.高齢者の転倒が起きやすい自宅内の場所

自宅内での転倒が発生する場所の多い順は以下のとおりです。

事故発生場所

構成比

1

居室・寝室

74.3

2

玄関・勝手口

10.3

3

廊下・縁側・通路

7.6

4

トイレ・洗面所

3.2

5

台所・調理場・ダイニング・食堂

2.9

6

その他

1.7

2.高齢者の転倒が起きやすい自宅外の場所

多いのは自宅外(主に屋外)の「散歩や買い物で出かける途中の交通施設を含む道路(35%)」および「公共施設、医療施設、公園、その他(9%)」です。住宅等居住場所を除くと転倒の多くが主に道路や交通施設内で起きています。

道路で転倒しやすいのは、「舗装された道路やマンホールのふたが雨でぬれているとき」や「歩道と道路に段差があるとき」などです。同様に駐車場の車止めなどの段差にも注意が必要です。自宅外の施設では、入口付近の段差、マットの縁などにつまずくこと、および雨の日などのぬれた床で滑らないようすることなどの注意が必要です。

第三章 高齢者の転倒を防ぐために行うとよいこと

高齢者の転倒事故を防ぐには事故の多くが自宅内で起きているため、自宅内で転倒しにくいようにすることが最も重要です。高齢者の転倒を防止するためのポイントについて紹介します。

1.転倒しやすい場所をリフォームする

滑って転倒・落下しないように玄関・廊下・浴室・トイレ・階段などに手すりを設置し、入り口などにある段差をなくすようにリフォームします。自治体から費用の補助が受けられるので住んでいる自治体の窓口に相談しましょう。

リフォームまで至らなくても高齢者がよく通る場所・生活する部屋ではテーブルや装飾品などの物や段差のあるカーペット、あるいは家電製品のコードなど、つまずく箇所がないか確認して、それらがなくなるように配置を替えるなどの対策を実施しましょう。玄関の上がり口など段差の大きい場所には段差を解消できるように踏み台を置いておきます。また、高齢者がよく動く動線上は暗い場所が生じないように明るい照明に変更しましょう。フローリングの床や廊下、階段が滑りやすいときは滑り止めを施してスリップによる転倒を防止します。

2.外出時は転倒しにくい靴を選ぶ

小さい段差でもつまずいて転倒しそうになるのは、足を高く上げて歩行できなくなるからです。できるだけつま先がそり上がっている靴、またスリップしにくい構造の靴底を選び、それを履いて外出します。雨や雪の日は、できれば外出を避けましょう。

3.筋力とバランス感覚を鍛える

1と2の対策に加えてバランスを崩しても転倒しないように、また万が一、転倒してもケガの程度を軽減できるように体を鍛えます。

体を鍛えるには毎日、ウォーキングや足腰の筋肉を使う軽い運動、および柔軟性を高めるためのストレッチ運動を行います。高齢になると歩行時に足が上がらずに、すり足になりやすいので足を上げて着地できるように意識して歩行します。なお、無理な運動は逆に転倒のリスクを高めるため、運動の強度は徐々に高めていきます。また、イスに座ってもできるような運動を中心に行うと運動による転倒を防止できます。

第四章 まとめ

高齢者が転倒すると、ケガが完治しても寝たきりになって介護が必要になる可能性があります。また、ケガをすると運動量が減って体力の低下や食欲が減退して免疫力の低下を招き、他の病気にかかりやすくなるリスクも増加します。高齢者の場合、入院期間が長引くことも多くなります。転倒しないように対策するとともに医療費の負担を軽減するために全国共済への加入をおすすめします。


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