アテローム(粉瘤・ふんりゅう、アテローマ)摘出手術は共済の対象になるの?
アテローム(粉瘤・ふんりゅう、アテローマ)と呼ばれるあまり聞いたことのない皮膚疾患があります。一般的には、皮膚が盛り上がることから「脂肪のかたまり」と呼ばれる良性の皮膚腫瘍です。徐々に大きくなっていき、野球のボールほどまで大きくなることがあります。細菌に感染すると赤く腫れて、膿(うみ)をもち強い痛みと熱を伴います。膿を無理に絞り出そうとしたりしないで早めに医師の診断を受けたほうがよい病気です。そこで、アテロームとはいったいどのような病気で、どのようなメカニズムで発症するのか、治療はどのように行われて、手術を受けると共済の保険の対象になるのかについて解説します。
アテローム(粉瘤)について
1.アテロームとはどんな皮膚病?
アテロームは、あまり聞きなれない病名ですが、年間100人に2人弱程度の率で発症し比較的多い皮膚病の1つです。医師の診断を受けなかった人もいるので実際はもっと多くの人が発症していると考えられます。ある皮膚科のクリニックでは1日1名程度手術の予約が入るほどです。アテロームは体のどこにでもできますが、比較的多い箇所は、背中や首の後ろ(うなじ)、頬(ほほ)、脇の下、耳の後ろ、耳たぶなどです。その原因は完全には解明されていません。体質的にできやすい人もいます。
一般的にアテロームは、「脂肪のかたまり」と呼ばれますが、実際は脂肪がかたまってできたものではないため、この呼び方は間違っています。本当に脂肪がかたまってできる病気は脂肪腫といいます。アテロームは、脂肪腫とは違い、一定の周期ではがれ落ちる皮膚の角質が、はがれ落ちずに皮膚の下にできた袋にたまってできる腫瘍のことです。袋は、何らかの原因で毛穴の一部が袋状の構造物となってできます。角質は袋にどんどんたまっていくため、時間の経過とともに徐々に大きく膨らんでいきます。袋にたまった中身は、垢(あか)・皮脂・汚れなどが入り混じっているので不快な臭いがします。さらに細菌に感染をしていると強烈な悪臭を放ちます。
良性の腫瘍ですが、化のうして赤く腫れ上がると痛みや熱を伴います。膨らみの中央に黒点状の開口部ができており、強く圧迫すると中から膿が出てくることがあります。アテロームは、まれに自然に開口部から袋の中の内容物が袋ごと出てしまうと、何もしなくても膨らみが自然消滅して完治することもありますが、基本的には自然治癒しない病気です。
2.アテロームが悪性化する心配はない?
アテロームは悪性化する心配はないのでしょうか? アテロームは、基本的に良性の腫瘍なので悪性化することはありません。しかし、非常にまれですが悪性化したという報告があります。悪性化するアテロームの傾向は、中高年の男性のおしりにでき、長く放置し巨大化したもの、あるいは炎症を繰り返したものといわれています。
アテロームが目立たない体の場所にできて、炎症を起こさなければ痛みも生じません。そのため放置すると、自然治癒しないので徐々に大きくなっていきます。アテロームは、「悪性化する可能性がゼロではないこと」「自然治癒が期待できないこと」「巨大化すると手術跡も目立つようになること」「早いと手術後の痛みも小さいこと」「費用も安く済むこと」などから早めに手術で取り除くことをおすすめします。特に、顔や首などの肌が出て目立つ部分は早い処置が必要です。
アテローム(粉瘤)の治療について
アテロームの治療は、現在は医学的には手術しかありません。インターネット上にアテロームを手術以外に自力で治す方法としてさまざまな情報が出ていますが、悪化させたり、長く放置することで巨大化したりするので手術以外の方法に頼ることは避けなければなりません。今までの手術は、皮膚を切開して内容物を袋ごと取り除いた後で縫合する方法で行われていました。最近は、アテロームの大きさが7cmをこえた場合や袋が周囲の組織に癒着をしている場合、内容物が完全に固形化している場合などを除き、「へそ抜き法(くり抜き法)」という体への負担を軽減させた手術法が一般的に行われます。アテロームの癒着は、腫れを何度も繰り返しているにもかかわらず放置することで起こります。
「へそ抜き法(くり抜き法)」は、皮膚を切開しないで代わりに円筒状のメスを刺し込み直径4mm程度の小さい穴を開け、そこから内容物と袋を取り除く手術法です。開けた穴の縫合は不要で、手術時間は5分程度、痛みも傷跡も小さいというメリットがあります。傷が完全にふさがるには約2~3週間かかり、穴の傷跡は最終的には、にきび跡程度のへこみが生じます。切開切除手術に比べると完治までの日数は長くなります。手術後、すぐに通勤・通学ができます。そのためアテロームと診断されたら、大きくなる前、炎症や感染で癒着を起こす前に手術することがおすすめです。
「へそ抜き法(くり抜き法)」ができないアテロームは、表面の皮膚を少し切開して、膿を外に出します。炎症や痛みを伴わないアテロームは、表面の皮膚ごと切り取る切開手術が行われます。この場合も、巨大でなければ局所麻酔で手術後には帰宅できます。
アテローム(粉瘤)治療に共済金は支払われる?
早く手術をしたほうがよいアテロームですが、全国共済に加入していれば無条件に共済金は支払われるのでしょうか? 共済金が支払われれば費用を心配することなく手術を受けられます。
全国共済の場合は、他と比べると診療報酬点数が1,400点という低い点数から共済金が支払われます。低い診療報酬点数でも共済金が支払われるということは、より多くの手術に対して共済金が支払われることを意味します。アテロームの手術では、基本的に半袖、半ズボンを着たときに肌が露出する部位にできたアテロームの手術に対しては、すべて共済金が支払われます。ただし、肌が隠れる部分にできた長径3cm未満の場合にのみ手術に対する共済金が支払われないので注意が必要です。長径が3cmをこえるアテロームに対する手術には共済金が支払われます。
まとめ
アテロームという皮膚腫瘍に関してどのような病気であるか、治療法、および手術を受けたとき、加入している全国共済から共済金が支払われるのかについて解説しました。アテロームは、手術しか治療法がありません。手術は、できるだけ早い時期に受けたほうがよいため、全国共済を活用して手術を受けることをおすすめします。その際、アテロームができている部位と大きさに注意してください。共済金が支払われない可能性があります。
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