先進医療にはどれくらいの治療費が掛かるのか?先進医療特約などには加入すべき?
医療技術は日々進歩しています。現在の治療法でなかなか治らない病気で苦労しているとしたら、新しい医療技術が開発されれば利用したいと誰もが考えます。それが可能になるのが先進医療という技術です。将来、誰にでも先進医療を使った治療を受けなければならない病気になるリスクがあります。このリスクを考えるうえで必要な先進医療の概要、費用、現時点で受けられる先進医療の種類、保障される保険に加入するときの考え方について解説します。
第一章 そもそも先進医療とは?
1.先進医療とは?
先進医療とは「公的医療保険の対象になっていない高度な医療技術」のことです。日本の医療制度では、医療技術に基づく治療法のなかで一定の有効性と安全性が評価されると、公的医療保険の対象となります。先進医療はその評価がまだ確定しておらず、公的医療保険の対象になるかどうかは未定ですが、効果が期待されている治療法です。なお、同じ技術であっても厚生労働省に申請・認可のない技術は先進医療にはなりません。
先進医療に基づく治療は、一定の条件を満たしている医療機関でしか受けられません。先進医療は最先端の設備や環境が必要なため、これらの基準を満たして届け出を行っている医療機関でなければ先進医療を提供できないからです。先進医療には受けられる医療機関が少ない、費用が掛かるなどの問題があります。しかし、高度な技術を使った新しい治療法を受けられることは、今までの治療法では治療が困難な病気に高い効果が期待できます。ライフプラン・ライフステージによっては現状の保険適用の医療技術では治療が困難な病気に対して、効果が期待できる治療法を選択できるようにしておくことは重要です。
2.現時点で受けられる先進医療の種類
先進医療には先進医療AとBがあり、2023年2月15日時点において先進医療Aが28種類、Bが58種類、計86種類です。2022年8月時点計84種類でしたが、先進医療Aが4種類増加し、Bは2種類減少しています。具体的な先進医療の技術名、適応症、技術の概要は厚生労働省の「先進医療の各技術の概要」で公開されています。
先進医療Aとは、「先進医療技術とともに用いる医薬品や医療機器などに法律上の承認・認証・適用がある、または人体への影響が極めて小さい医療技術」のことです。先進医療Bとは、「法律上の承認などが得られていない医薬品や医療機器を用いた医療技術、もしくは法律上の承認などを得た医薬品・医療機器を用いていても、その実施にあたって重点的な環境や評価が必要とされる医療技術」のことです。
3.先進医療を受けられる医療機関名
先進医療を受けられる医療機関名が、都道府県名とともに厚生労働省の「先進医療を実施している医療機関の一覧」で公開されています。2023年2月15日時点において先進医療Aが計1508件、先進医療Bが計445件登録されています。
4.先進医療を受けるときの医療機関での手続きなど
先進医療は、一般的な保険適用による治療を受けるなか、患者が希望し、医師がその必要性と合理性を認めた場合に行われます。先進医療を受けるときには治療内容や必要な費用などについて医療機関から説明があり、納得できれば同意書に署名します。実際に治療を受けるときの手続きは、保険適用の治療を受けるときと同じで、被保険者証(老人医療対象者は健康手帳も)を窓口に提出します。 医療費控除を受ける際に必要になるので、領収書は大切に保管しましょう。
第二章 先進医療はどれぐらいの治療費が掛かるのか?
先進医療は健康保険の適用を受けられないので全額負担になることや最先端の設備や環境を必要とするため、一部を除き一般的に高額な医療費が掛かります。先進医療の主な治療費用について紹介します。治療を受ける医療機関や患者ごとに同じ先進医療を受けても費用は変わるため、概算としてみてください。データは厚生労働省による2020年7月1日から2021年6月30日までの実績のまとめです。2022年10月時点で先進医療ではない医療技術は除かれています。同時点で行われた先進医療技術数は83種類、実施医療機関数は267施設、全患者数は5,843人です。
実施件数が多い先進医療の上位5位の平均費用 |
||
先進医療技術名 |
実施件数 |
平均費用 |
陽子線治療 |
1,285件 |
約265万円 |
重粒子線治療 |
683件 |
約319万円 |
ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断 |
614件 |
約3万円 |
術後のアスピリン経口投与療法 |
488件 |
約0.1万円 |
細胞診検体を用いた遺伝子検査 |
459件 |
約8万円 |
負担が大きい先進医療の上位5位の平均費用 | ||
先進医療技術名 |
平均費用 |
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イマニチブ経口投与およびペムブロリズマブ静脈内投与の併用療法 |
約920万円 |
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周術期デュルバルマブ静脈内投与療法 |
約610万円 |
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自己軟骨細胞シートによる軟骨再生治療 |
約405万円 |
|
重粒子線治療 |
約319万円 |
|
陽子線治療 |
約265万円 |
上記の先進医療のうち、「ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断」「自己軟骨細胞シートによる軟骨再生治療」を除く残りの6種類はすべてがん関連の医療技術です。
第三章 先進医療に備える特約には加入すべき?
保険適用では原則として医療費の3割負担で済みます。さらに、高額な医療費が掛かったときは高額療養費制度が利用できます。この制度により月額の医療費が数百万円になっても、一般的な所得であれば1カ月の負担限度額は約10万円です。なお所得によって限度額は異なります。
しかし、先進医療を受けた場合、先進医療にかかわる医療費は保険適用がないため全額自己負担しなければなりません。そのうえ、 高額療養費制度も利用できません。そのため先進医療を受けたくても金額的理由で受けられない可能性が生じます。保険は一般的にリスクが発生したときに、そのリスクで生じる金銭的な負担や不安を軽減するために加入します。自動車保険では多くの人が、事故を起こして数億円の損害賠償を支払うことになるわずかなリスクを回避するために無制限の金額の保障を付けています。同様に先進医療を受ける可能性は誰にでもあるため、リスクに備えることは必要と言えるでしょう。
ただし、リスクの大きさとそれに対する安心感、費用負担の重さで考えることも重要です。自動車保険は、数億円の損害賠償になるような事故を起こす確率は低いけれど、起こしたらほぼ保障できない、そのため加入する人が多いのではないかと思います。一方、先進医療は数億円までは必要ないため、必要になったときに生活水準を落とさずに医療費を払える経済的余裕があれば無理に加入する必要はないでしょう。数百万円の負担が重くて、先進医療を受けたくても受けられない可能性があれば、費用負担を考慮して加入したほうが安心感を得られます。先進医療を特約として付加しても月額1,000円程度で済みます。もしものリスクに備えて加入すると大きな安心感を 得られるのではないでしょうか。
第四章 まとめ
必要な医療を受けたいと思っても、いざというときに高額な治療費が掛かって受けられない可能性があります。手頃な掛け金で始められる全国共済は、基本コースにも先進医療費が加えられています。また、別途特約(医療特約または熟年医療特約)でさらに充実した保障が受けられて、いずれも月額1,000円で付加できます。全国共済への加入、または特約の付加をおすすめします。
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